名寄市教委が教育研究集会開催 教育改善プロジェクト委が研究成果報告 小・中教職員、保護者等200人参加(市町村 2016-02-03付)
市を挙げた教育力の向上に向け研鑚を積んだ
【旭川発】名寄市教委は一月二十六日、市民文化会館EN―RAYホールで市教育研究集会を開催した=写真=。市内小・中学校の教職員のほか、保護者、地域住民など約二百人が参加。市教育改善プロジェクト委員会が学習指導の工夫改善や校内研修の充実など、本年度の研究成果を報告した。また、道教育大学大学院の笠井稔雄教授が講演。参加者は市を挙げた教育力の向上に向け研鑚を積んだ。
名寄市では、二十四年度から市教育改善プロジェクト委員会を立ち上げ、様々な取組を推進。児童生徒の学力・体力向上、豊かな心の育成に努めてきた。
同委員会の研究発表の場を兼ねた研究集会は、市のさらなる教育向上を目指し、今後の研究内容の方向性を確認するとともに、共通理解を深めることをねらいとしている。市教育研究所、市教育相談センター主管。
冒頭あいさつに立った小野浩一教育長は「学校のみならず地域や保護者など、社会総がかりで教育活動を進めることが重要。皆さんには、生きる力の育成の大切さをあらためて認識し、本市の教育課題解決に向けて取り組んでほしい」と呼びかけた。
同委員会の研究発表では、名寄東中学校の堀田大次郎教諭が学習指導の工夫改善、豊西小学校の香川寛明教諭が校内研修の充実、智恵文小学校の六本木典子教諭が教育資源等の活用、名寄南小学校の神野秀和教諭が市教育研究所調査研究部の実践を報告した。
堀田教諭は、市内の全児童生徒を対象に行った「市学習規律十項目」のアンケート調査結果の概要などについて説明した。
香川教諭は本年度に行った道教委の学校力向上に関する総合実践事業実践指定校等への視察研修、新体力テスト実技研修会などを紹介。六本木教諭は、『私たちの道徳』や地域資源の活用について解説した。
神野教諭は、市教育研究所で市内の小学五年生と中学二年生を対象に、家庭学習についてアンケート調査したことを報告。小・中学生において、宿題はするが自習の時間が少ないこと、中学生で二時間以上ゲームやスマートフォンをする割合が五割にのぼったことを課題に挙げた。
今後は保護者と連携して子どもの生活習慣の改善に当たるほか、自学形式での学習会の開催など、学校全体で取組を推進していくこととし、協力を求めた。
◆つながりが学力を育む 道教育大院の笠井稔雄教授が講演
名寄市教育研究集会において、道教育大学大学院の笠井稔雄教授が「〝つながり〟が学力を育む~人間関係が豊かになれば、子どもの学力はもっと伸びる」と題して講演した。成果を上げている学校の特長を紹介した上で、学校における温かい人間関係が教育活動に大きな影響を与えていることを解説。「つながり」を強める教育活動の展開を呼びかけた。
笠井教授は、課題を抱える家庭が多い地域でも、子どもを荒れさせずにやる気を引き出す学校づくりなどによって、成果を上げた学校があることを報告した。
つぎに、その学校のすべての子どもの力を引き出している「力のある学校」の特長「スクールバスモデル」を紹介。①気持ちのそろった教職員集団②戦略的で柔軟な学校運営③豊かなつながりを生み出す生徒指導④すべての子どもの学びを支える学習指導⑤ともに育つ地域・校種間連携⑥双方向的な家庭とのかかわり⑦安心して学べる学校環境⑧前向きで活動的な学校文化―八点を挙げた。
その上で、「子どもと子ども、子どもと先生、先生同士のつながりが強固であるほど、成果を上げている学校が多い」と解説した。「家族の結束、子どもと学校・先生との関係格差〝つながり格差〟が学力格差を生む要因」と指摘。「つながり」の観点から自校の強みと課題を分析するよう求めた。
また、保護者の収入や学歴、人間関係等が子どもの学力に影響があることに言及。「経済格差が子どもの体験格差、ひいては学力格差に続いていく。せめて学校では、子どもたちに必要な体験活動を取り入れ、つながりを強める教育を行ってほしい」と訴えた。
(市町村 2016-02-03付)
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