4定道議会予算特別委の質問・答弁概要(27年12月7日)(道議会 2016-03-14付)
四定道議会予算特別委員会(二十七年十二月七日開催)における赤根広介委員(北海道結志会)、真下紀子委員(日本共産党)の質問、および柴田達夫教育長、山本広海教育部長、菅原行彦学校教育局指導担当局長、馬橋功教職員課長、野﨑弘幸教職員課服務担当課長、安部和彦教職員課制度担当課長、堀本厚健康・体育課長の答弁の概要はつぎのとおり。
◆部活動指導について
赤根委員 道教委は、十七年度から十九年度の三年間、国の委託を受けて、「運動部活動における外部指導者との連携の在り方に関する調査事業」を行った。
現在、指導者不足の解消、あるいは、教員の負担軽減につなげようと、中学校の部活動指導を民間事業者に委託する動きがある。例えば、東京都の杉並区教委が二年前に導入したのに続き、本年度は、大阪市教委も八校をモデル校に指定して、運動部あるいは文化部の技術指導を技術経験豊かな外部コーチに任せている。
教育現場をめぐる環境が大きく変化する、あるいは、教員の多忙化、顧問の専門性の不足など、難しい課題を抱えていると考えるが、道教委では、運動部活動について、その意義をどのように認識しているのか伺う。
また、中学校および高校の部活動について、どのような課題があると認識しているのか、併せて、各学校から、部活動に関し、どのような要望があるのか伺う。
堀本健康・体育課長 運動部活動の意義について。学校の教育活動の一環として行われる運動部活動は、スポーツに興味と関心をもつ同好の生徒が、より高い水準の技能や記録に挑戦する中で、スポーツの楽しさや喜びを味わうことはもとより、体力の向上や健康の増進をはじめ、生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続する資質や能力を育成するものである。
さらに、自主性や協調性、責任感、連帯感の育成や、仲間や指導者と密接にふれ合うことによって、学級内とは異なる人間関係を形成することなど、学校教育が目指す生きる力の育成や豊かな学校生活を実現させる役割を果たす意義や効果があるものと認識している。
また、部活動の課題について、少子化に伴う生徒数の減少によって、種目によってはチーム編成ができない状況がみられるほか、部活動の指導にかかわって、学校の小規模化に伴う教職員の減少による練習・引率等の負担の増加や、生徒の部活動指導に対するニーズの高度化・専門化による顧問、指導者の不足などの課題も生じていると認識している。
こうした中、学校からは、部活動指導を担う外部指導者の導入など、部活動にかかわる条件整備について、要望が寄せられている。
赤根委員 国の委託による外部指導者の連携事業の調査について、どのように評価し、課題を認識しているのか伺う。
堀本健康・体育課長 調査研究事業について。本事業では、十七年度から三年間、実技経験のある指導者がいない道立高校で、一学年二学級以下の学校など、延べ百十七校に外部指導者を派遣して、顧問教諭と外部指導者の役割を分担した指導体制や指導力を高めるための外部指導者との連携の在り方などをテーマに調査研究を行った。
研究の成果としては、派遣された外部指導者のうち、九二・五%の外部指導者から、指導方針等の共通理解など、顧問教諭と十分に連携を図り、指導することができたとの報告があったほか、半数を超える学校からは、外部指導者の協力によって、指導の効率化や生徒の意欲の向上、より高度な技術の習得などの点で改善が図られたとの報告があり、外部指導者の導入による一定の効果がみられた。
しかし、一部の外部指導者からは、顧問教諭の校務との関係で十分な打ち合わせ等が行うことができなかったなどの報告もあり、学校との連携を図る上での課題もみられた。
赤根委員 二十六年に日本体育協会が実施した、全国で無作為抽出した中学校六百校、高校四百校の調査によると、担当教科が保健体育ではない、かつ、現在担当している部活動の競技経験なしの教員が、中学校で四五・九%、高校で実に四〇・九%、さらに、これらに該当する教員のうち、約四〇%が自分自身の専門的指導力不足を課題としている。
世界一多忙とも言われる日本の教員にとって、部活動が大きな負担となっているという声も聞かれる。
一方で、部活動においては、授業だけではとれないコミュニケーションが生徒と密にとれるという利点もあるということも成果として挙げられている。
道教委として、部活動のこうした状況をどのように把握しているのか伺う。
堀本健康・体育課長 部活動の状況について。道教委においては、運動部活動の在り方や充実策などについて検討するため、校長会や中体連、高体連、大学教授、道体育協会等で構成する「運動部活動等推進委員会」を設置しており、構成委員からは、専門的な指導を行うことができる教員が少なくなってきている、生徒数の減少に伴う学校規模の縮小によって、部活動の設置数が少なくなってきているなど、現在の部活動の状況について報告をいただいている。
また、教育職員の時間外勤務等実態調査からは、休日業務の主なものとして、中学校および高校の教諭においては部活動の割合が一番多いことや、勤務日および休日における部活動従事時間が増加しているなどの課題が明らかとなっている。
道教委としては、こうした課題に対応するためには、教員の指導力の向上や外部指導者の積極的な活用、活動時間の工夫などの取組が必要であると考えている。
赤根委員 指導にかかわる教員のすべてが専門の競技歴を有しているとは限らない状況の中で、自ら指導方法を勉強しながら指導に当たっている教員もいると聞いている。
こうした教員の支援に、どのように取り組んでいくのか伺う。
菅原学校教育局指導担当局長 教員の指導力の向上について。道教委では、これまで、運動部活動を担当する教員の指導力の向上を図るため、部活動の意義や指導上の留意点について、教育課程に関する教師用指導資料に盛り込むほか、初任者の手引に掲載するとともに、部活動の運営や指導方法の工夫を行う上での参考となるよう、効果的な実践事例集を作成し、学校および市町村教委に活用を促してきた。
また、本年度から、新たに、運動生理学やスポーツ障害の防止などのスポーツ医科学等を活用した専門的な指導力の向上を図るため、医師や大学教授などをモデル校に派遣し、生徒の発達の段階を踏まえた指導方法の工夫・改善のための校内研修を行うなどの「運動部活動の工夫・改善実践事業」を進めている。
今後は、モデル校における実践の成果を取りまとめ、各市町村教委や学校に情報提供するなどして、運動部活動を担当する教員の指導力の向上に取り組んでいく。
赤根委員 教員の指導力の向上に加え、部活動の指導員には、安定した人材の確保が課題である。
東京都杉並区は、二十五年度から希望校を対象に、土日に限って運動部の指導を民間事業者に委託している。
もちろん、すべてを外部に委託するのは、今後、議論が必要と考えるが、先に取り組んだ外部指導員の委託の調査結果でも、学校が情報を入手して、直接、外部指導者に依頼している割合が非常に高いという結果が出ている。
教育委員会が外部指導者を一元的に管理する組織、あるいは、部活動指導員の人材バンクのような組織を確立して、学校側の要請に応じて派遣する仕組みづくりを、道教委が先頭に立って、モデル地域の指定も含めて、研究し、確立していくことが必要と考えるが、今後、どのように取り組んでいくのか伺う。
柴田教育長 外部指導者の活用について。道教委においては、運動部活動における外部指導者の活用に関し、これまでも、効果的な外部指導者の活用にかかる実践事例集の作成・配布、また、専門的指導者がいない道立高校への外部指導者の派遣、さらには、外部指導者人材リストの作成などの取組を進めてきたほか、国に対して、部活動指導を担う外部指導者の導入に関する財源措置の拡充について要望してきた。
また、市町村でも、学校支援地域本部事業において、地域人材を活用した部活動での技術指導などの取組がみられる。
道教委としては、今後とも、こうした取組を進めるほか、新たに、外部指導者等の活用にかかる他都府県の取組事例について情報収集を行い、課題や効果などについて研究を進め、年度内を目途に、優れた取組を事例集として取りまとめ、市町村教委等に情報提供するとともに、「運動部活動等推進委員会」から意見を伺いながら、外部指導者等を効果的に活用した指導体制の在り方などについて、検討を進めていきたい。
◆教職員の登用等について
真下委員 幹部に占める女性職員の割合について、総数とともに、教職・事務職それぞれ、経年で示していただきたい。また、他県との比較についても示しいただきたい。
馬橋教職員課長 管理職に占める女性の割合について。道教委に勤務する行政職のうち、道教委事務局の管理職員については、二十三年度は二百三十四人で、そのうち、女性は九人、割合が三・八%、二十七年度は二百三十四人で、そのうち、女性は十七人、七・三%となっている。
道立学校事務長については、二十三年度は二百六十八人で、そのうち、女性は十人、三・七%、二十七年度は二百五十四人で、そのうち、女性が十二人、四・七%となっている。
また、札幌市を除く公立学校の校長、副校長、教頭については、二十三年度は三千六百二十二人で、そのうち、女性は二百八十一人、七・八%、二十七年度は三千三百七十六人で、そのうち、女性は二百六十人、七・七%となっている。
教育委員会事務局の管理職員については、全国調査がないことから、比較することはできないが、学校職員については、二十六年度の全国の女性比率は一五・二%と、本道の七・七%と比較して約二倍となっている。
真下委員 公立学校教員の女性の割合は、全国比では低い方で、二〇一五年で養護教諭や栄養教諭を除いて三六・二%となっている。しかし、管理職が七・七%と非常に低迷して、全国では下から二番目という低位で経過している。道教委事務局も七・三%、道立学校の事務職員でも四・七%。女性の昇進状況は経年で、どのようになっているのか伺う。
馬橋教職員課長 女性の管理職への昇任の状況について。道教委事務局の管理職への昇任者については、二十三年度は三十二人で、そのうち、女性は二人、六・三%、二十七年度は二十八人で、そのうち、女性は四人、一四・三%となっている。
道立学校事務長への昇任者については、二十三年度は二十六人で、そのうち、女性は四人、一五・四%、二十七年度は四十八人で、そのうち、女性は二人、四・二%となっている。
また、公立学校教頭への昇任者については、二十三年度は百九十九人で、そのうち、女性は十八人、九・〇%、二十七年度は二百三十人で、そのうち、女性は二十五人、一〇・九%となっている。
真下委員 全体数に占める女性幹部職員の割合に対して、昇進・管理職の割合が低いままだということである。教職員の全体数に対する女性比率相当に管理職が増加していかない理由は何か。
また、子どもたちに学力や体力の向上を呼びかけている道教委自身が、女性の登用率では全国比で低位、下から二番目に甘んじているのはなぜなのか伺う。
馬橋教職員課長 全国と比較して女性管理職の割合が低い要因になどについて。本道においては、教員全体に占める女性教員の割合が、二十六年度で三九・七%であり、全国平均の五一・三%と比較して一〇ポイント程度低い状況にある中で、二十七年五月に、公立学校の全女性管理職を対象としたアンケート調査を取りまとめたところ、管理職の業務が多忙であり、仕事と家庭の両立が困難になること、管理職になった場合、勤務地等に関する希望を出しづらく、結果として広域異動となること、公宅に入居しなければならないことなどが、管理職を志す女性が少ない理由として挙げられている。
― 再質問 ―
真下委員 道教委自身が、なぜ、低位に甘んじているのかということについては答弁がないが、アンケート結果に現れている課題に対して、道教委自身の対応がまだ十分にできていないということで良いのか伺う。
馬橋教職員課長 女性管理職の割合が低い要因についての再質問であるが、道教委としては、女性職員の比率が低い中で、管理職の登用等について、働きかけを行ってきたが、残念ながら、まだ低い状況になっていることから、今後、様々な取組などを通して、女性の管理職候補者を増やしていきたいと考えている。
真下委員 道内では、遠距離への転勤が伴うこと、また、多忙であることなど、今、答えられたことが要因にあると思う。併せて、同僚への負担増加に、遠慮がちになることも考えられる。女性の登用が進まない理由には、そのほかに、今、昇格を望まない、望めないことがあると聞いている。
子どもを産み・育てながら、管理職に就くことができるためには、何が必要と考えているか。また、職場にしわ寄せがいかないような配慮が同時に求められる。現状においては、十分ではないと考えているが、見解を伺う。
馬橋教職員課長 女性の登用に向けた取組などについて。ただ今申し上げた調査では、管理職を志す女性教員を増加させるために有効と思われる取組として、複数選択式で、教頭等の多忙化の解消が約九割、人事上の配慮が約七割、給与等処遇の改善が約六割の回答となっている。
調査の結果から、女性が働きやすい職場環境づくりや異動に対する配慮など、仕事と家庭の両立支援に努めていく必要があると考えている。
真下委員 これまでの対応状況では、管理職昇進を望む教職員が増えていくとは、なかなか考えられない。これまでの対策の改善なしに、管理職昇進希望者の増加は望めないのではないか。
道教委では、来年度の人事異動方針に、上位職への登用や管理職への登用を進めるとしているが、これまでの対応から、どのように改善していくと考えているのか伺う。
馬橋教職員課長 女性の登用について。二十八年度の事務局職員および道立学校事務職員を対象とした人事異動方針において、意欲や能力を有する女性職員が、その力を十分発揮できるよう、幅広い職務経験の付与や上位職への登用を行うこととしており、特に、指導力やマネジメント能力の優れた者について、管理職への登用を積極的に進めることとしている。
このため、育児や介護などによって異動や昇任が困難である場合は、家庭生活とキャリア形成の両立が可能となるよう、できる限り人事配置に配慮することとしたところであり、教員についても、同様の取扱いを検討している。
道教委としては、こうした方針を踏まえた人事異動上の取扱いや、校内の業務処理体制の改善による多忙化の解消などを通じて、これまで以上に女性職員の管理職への登用につなげていく。
真下委員 男性教職員の配偶者の産休取得率はどうなっているか。それに比べて、産休のあとに続く育休の取得率がどのようになっているのか伺う。
馬橋教職員課長 男性職員の育児に関する休暇について。男性職員の配偶者出産休暇は、男性職員が配偶者の出産に際しての入退院や出産時の付き添いなどを行う場合に、配偶者の入院日から出産までの間に合計で三日間、取得可能な制度となっている。
学校職員については、二十六年度は五百九十四人の男性職員が取得し、その割合は八一・六%となっている。
また、育児休業については、職員の子が三歳に達するまで休業を取得できる制度となっており、二十六年度は十三人の男性職員が取得し、その割合は、二・九%と、配偶者出産休暇と比較して、大幅に低くなっている。
― 再質問 ―
真下委員 女性職員の育休取得と、さらに男性職員の配偶者産休と比べても、男性の育休取得が非常に少なくなっている。なぜ、このような差があると考えているか伺う。
馬橋教職員課長 男性職員の育児休業等について。道教委では、子育て支援として、次世代育成支援対策法に基づく、特定事業主行動計画を策定し、管理職向けの子育て職員対応マニュアルの作成・配布などを通して、男性の育児休業の取得促進に努めてきているが、その取得率は二・九%と、女性の取得率九四・五%と比較して低くなっている。
その要因としては、休暇の取得によって仕事から離れることの不安や、職場へ与える影響への気づかいのほか、育児に関する役割分担の女性への偏りなど、男性職員の意識の問題もあるものと考えている。
道教委としては、女性が仕事を続け能力を発揮するためには、配偶者の積極的な育児への参加が重要と考えており、本年度、新たに普及啓発リーフレットを作成し、全道立学校に配布した。今後、職場研修などを通して、制度の一層の周知に努め、男性職員の意識改革を進めていく。
真下委員 育休について、仕事から離れることや職場に与える影響は、男女を問わず不安である。だから、両性ともに安心して育休を取れるようにしていくことが大事だが、そこまで意識改革が進んでいない状態であると思う。
そのほかにも、多忙や広域配転などは、男性の教職員にとっても、同じように大きな負担となっている。女性だけに特化した対策が、逆に、同僚への負担を増やすことになってはならないと考えるし、育児や介護は、男性であっても担えるわけであるから、こうした平等性を大事にしていくことが必要だと思う。
両性の平等の観点から、教職員の多忙さの解消を実効あるものにしなければならないと考えるが、どのように取り組む考えなのか伺う。
安部教職員課制度担当課長 教職員の多忙化解消に向けた取組について。道教委では、教職員の多忙化の解消に向けて、市町村教委や学校関係者、PTAなどで構成する「時間外勤務等縮減推進会議」での論議などを踏まえ、これまで、週休日の振替期間の特例および休憩時間の制度の見直しなど勤務時間にかかる制度改正や、「部活動休止日の設定等にかかる申し合わせ」の見直しなどの具体の取組を進めてきた。
本年度は、新たに道内すべての学校を対象に、時間外勤務等の縮減に関する重点取組項目等の取組状況などについて調査を行っている。
また、男女を問わず、すべての職員が仕事と家庭を両立し、子育て中であっても生き生きと働くことができる職場環境を目指して、特定事業主行動計画に基づき、年次有給休暇や育児休業の取得の促進などに努めてきており、二十七年四月には第三期の計画を策定し、子育てに関し管理職や男性職員をはじめ全職員の意識改革を図ること、長時間勤務に関する意識を改め、働き方そのものの見直しにつながる取組を推進することとしている。
道教委としては、こうした調査の検証・分析を行うとともに、新しい特定事業主行動計画に基づく仕事と子育ての両立を推進する取組などを通じて、実効性のある時間外勤務等の縮減や男女ともに働きやすい職場の環境づくりに努めていく。
― 指 摘 ―
真下委員 女性の登用も含めて、阻んでいる環境は、多忙化の改善がなかなか進まないということだと思う。これから一層の努力を求めたいと思うし、男性にも、両性の平等という観点から、考える機会にしていただきたい。
真下委員 教職員・事務職員とも、正職員と非正規職員がいるが、この状況がどうなっているのか伺う。
期限付ということ以外に、正職員と同等待遇で、何年にもわたって期限付を繰り返すことは、能力を認めているのにもかかわらず、仕事の面でも処遇の面でも、あまりにも不安定ではないか。正職員への登用を早めて、安定した職務環境によって、安心して児童生徒の教育を担える環境整備こそが必要なのではないかと考えるが、見解を伺う。
馬橋教職員課長 期限付教諭などについて。二十七年五月一日現在、札幌市を除く道内の公立学校教職員四万四百十一人のうち、六百三十五人の期限付教諭および百十人の期限付事務職員を配置している。
期限付教職員については、数年後に学級減や統廃合が見込まれる場合や、保護者の転勤などによる児童生徒数の増に伴い、当初見込んでいた学級数を上回った場合、さらには、登録者の採用辞退があった場合などにおいて、人事管理を弾力的に行うため、任用している。
期限付教職員は、毎年度実施する公立学校教員採用選考検査などに合格した場合、正規教職員として採用されることになり、二十六年度においては、四百十九人の期限付教職員が採用者名簿に登録された。
― 指 摘 ―
真下委員 正職員を増やすということは、管理職登用のすそ野を広げることにもなるし、安定した雇用のためにも、教育環境のためにも、ぜひ尽力いただきたい。
真下委員 安倍政権は成長戦略として、二〇二〇年に指導的地位に占める女性の割合三〇%を実現するという当初の目標を見直して、分野別に決めるとトーンダウンしたが、道教委における女性教職員の目標は一五%に過ぎない。
下位に固定することに甘んじるのか、男女比で、平均年齢が六歳ほどの差があるわけで、早期退職をなくしていくためにも、働き続けられる職場環境と、昇進できる職員のすそ野を広げることが必要と考えるが、どのように取り組むのか伺う。
柴田教育長 女性管理職比率の目標値について。学校教育全体を通じて、男女の平等、相互理解と協力など、男女平等参画の大切さを指導していく教育現場において、女性が男性とともに学校経営に参画していくことは、大変重要であると考えている。
公立学校における女性管理職比率について、五年後の三十二年には、現行比率の約二倍の一五%を目指すことを、現在検討している。
道教委としては、二十七年九月に施行された女性活躍推進法の趣旨などを踏まえ、関係機関・団体が共通認識に立って、各般の取組を進めるため、全道および十四の教育局ごとに「女性教員活躍推進会議」を開催しており、女性の管理職はもとより、広く教員からも意見を伺いながら、業務実態把握を通した業務処理体制の改善による多忙化の解消など、家庭と両立しながら働き続けられる職場環境の整備、また、子育て中など家庭環境に事情がある教職員については勤務地に配慮するといった人事上の取扱いの検討、さらには、女性教員のキャリアアップへの意欲の醸成やスキルアップを図るための女性教員を対象としたミドルリーダー養成研修などに取り組み、女性管理職への積極的な登用を進めていく。
― 指 摘 ―
真下委員 併せて、女性登用のときには、育児をしている方に、急に休まなければならない事情が生じることもあるので、管理職のバックアップ体制も十分に整えていただきたい。
◆教職員の調査等について
真下委員 高校長の長年にわたる無免許運転の発覚を契機に、道教委は、運転免許証の確認をしていると聞いているが、これまで、どのように対応してきたのか伺う。
野﨑教職員課服務担当課長 運転免許証の確認について。道教委では、「道立学校職員の自家用車の公用使用に関する要綱」を定め、家庭訪問や企業訪問など公務のために限定的に自家用車の公用使用を承認しており、公用使用を希望する教職員からは毎年度、運転免許証の番号や有効期限、使用車両の登録番号などを記載した届出の提出を義務付けている。
真下委員 そうした確認をしながら、なぜ、今回の事案を見つけることができなかったのか。
野﨑教職員課服務担当課長 道立学校長による無免許運転について。事故者は、二十五年九月に酒気帯び運転で検挙され、運転免許取消二年間の行政処分を受けたが、警察に自らの勤務先などについて虚偽の説明を行ったほか、検挙されたことを当時の勤務校の校長に報告しなかった。
また、事故者は、年度当初に虚偽の内容を記載して自家用車公用使用のための届出を行っていたため、学校においては、事故者が無免許であることを把握できなかった。
真下委員 今回、あらためて調査しているが、どのように行ったのか。
野﨑教職員課服務担当課長 運転免許証の更新漏れの確認について。本年度に入り、学校職員による無免許運転や酒気帯び運転などの悪質な交通違反が続いたことから、八月二十四日付で、担当課長通知によって、道立学校長および市町村教委に対し、職員の運転免許証の更新漏れの有無を確認するとともに、あらためて交通違反・事故の防止を徹底するよう指導しており、確認の方法などについては、特に指示はしていない。
また、このたびの道立学校長による長期にわたる無免許運転という重大な事故を踏まえて、道立学校および道教委事務局の管理職を対象に、運転免許証原本の提示によって、有効期間などを確かめ、無免許運転を行っている者がいないことを緊急に確認した。
真下委員 交通違反については、社会問題となっているし、教職員自らが自覚的に確認することが不可欠である。今回、管理職を対象に調査、確認をしたとのことだが、運転免許証の提示を、非常勤を含めたすべての教職員に求めて、一部ではコピーまで取っている学校があると伺った。
いったい何を根拠に、免許証の提示を求めているのか判然としないし、これまで何度にもわたって、道教委が本当に必要かと思われるような悉皆調査を行っていたので、気を回した方もいるのではないかという懸念をもつ。
今後、こうした違反が起きることがないように、また、行き過ぎた調査とならないよう、道教委として、どのように取り組むのか伺う。
山本教育部長 今後の取組などについて。無免許運転などの事故は、職員の自覚によって避けられるもので、職員一人ひとりが公務員としての立場と責任を自覚し、交通法規を順守することが大切であり、各学校においては、担当課長通知の趣旨を踏まえ、職員が、決して無免許運転といった重大な交通違反・事故を起こすことのないようにとの考えのもとで、運転免許証の確認を行ったものと考えている。
道教委においては、道立学校長の事案をはじめとした一連の悪質な交通違反によって、地域や道民の信頼を損なったことから、十一月十八日付で、交通違反・事故の防止にかかる総務政策局長通知を発出して、今後は、各学校において、年度当初の自家用車の公用使用の届出の際には、運転免許証を提示させ、有効期限等を確認した上で登録することを周知した。
今後、道教委としては、運転免許証の確認をはじめ、交通違反・事故の防止に関する取組に当たっては、その趣旨を正確に理解した上で行われるよう各学校に対して丁寧に説明するとともに、無免許運転の根絶はもとより、今般成立した「北海道飲酒運転の根絶に関する条例」の趣旨を踏まえ、より一層危機感をもって、指導を徹底していきたい。
◆免許外許可の状況等
真下委員 道教委は長年にわたって、全国比でもだんとつに多くの免許外許可を出してきている。
研修もなく、道教委の判断によって教科免許をもたないまま、授業を行わなければならない教職員、また、授業を受ける側の児童生徒にとっても大変不幸なことだと考えている。
公立中学校、公立高校における年度別の免許外許可件数はどのようになっているのか伺う。
安部教職員課制度担当課長 免許教科外教科担任の許可件数について。二十六年までの五年間の五月一日現在の許可件数は、公立中学校では、二十二年が一千五百九件、二十三年が一千四百五十一件、二十四年が一千四百四十七件、二十五年が一千三百四十三件、二十六年が一千百七十七件となっている。
公立高校では、二十二年が二百十件、二十三年が二百十七件、二十四年が二百三十四件、二十五年が二百十六件、二十六年が百九十七件となっており、五年前と比較すると、公立中学校では三百三十二件、公立高校では十三件減少している。
真下委員 漸減しているとはいえ、公立中学校で一千百七十七件、公立高校で百九十七件も、いまだに免許外許可が出されている。そうすると、免許があってもなくても、教育効果は変わらないのか。
本来、必要なのは免許をもった教職員による授業ではないかと考えるが、見解を伺う。
安部教職員課制度担当課長 免許外教科担当教員について。教育職員免許法においては、免許状の授与権者は、ある教科の教授を担任すべき教員を採用することができないと認めるときは、当該教科についての免許状を有しない教諭が教授を担任することを一年以内の期間を限り、許可できると規定されている。
道教委としては、免許を有する教員が教科指導を行うことが望ましいものと考えている。しかし、中学校の教科数は十教科であり、全教科の指導に当たっては、少なくとも十人の教員配置が必要となるが、本道においては、小規模校が多く、国の標準配置定数では校長を除く教員配置が九人以下となる中学校が半数近くを占めている状況などから、ただいま申し上げた教育職員免許法の規定に基づき、許可を受けた教諭が当該教科の担任をしており、人選に当たっては、当該教科に関し、適任者を充てるよう努めている。
真下委員 教育職員免許法の規定に基づいて、許可を出せることにはなっている。しかし、本当に適任者と言えるのか。何年も免許外の教職員の授業を受けている子どもたちもいると伺っているので、しっかりと是正しなければならないと思う。
道教委の、免許外許可を判断する根拠は何か、またこれには、研修も行われていない。許可の判断は本当に妥当なのか。教職員免許というのは、それほどに軽いものなのかどうか、道教委の見解を伺う。
安部教職員課制度担当課長 免許外教科担任の許可について。文部科学省令である教育職員免許法施行規則において、ある教科の免許状を有しない教諭が、当該教科の教授を担任しようとするときは、当該学校の校長および当該教諭は、連署をもって教授を担当しようとする教科の名称、期間、事由などを記載した申請書を提出し、許可を受けなければならないと規定されていることから、この規定に基づき、取扱っており、適任者を充てるよう努めている。
真下委員 適任者というが、教職員免許をもっている者なら誰でもいいということになっているわけで、教職員免許をもっている者の一般教養程度のスキルによって授業を受けなければならないということ。それなのに、全国と比べて学力を上げろと叱咤(しった)されている生徒たちがいる。
ここは由々しき事態だということで、慣れていってはいけないと思う。
小さな学校においては、免許をもった教職員の授業が当然であって、免許外はあくまで、緊急避難的な対応にとどめるべきではないか。
授業の質の向上のために、いつまでにどのようにして免許外許可を解消していくのか、考えを伺う。
柴田教育長 免許外教科担任の解消について。学校教育の充実は、その直接の担い手である教員の資質能力に負うところが大きく、子どもたちが社会で活用できる実践的な力や、豊かな心、健やかな体を育むため、免許を有する教員が教科指導を行うことが望ましいものと考えており、これまで、免許外教科担任の多い美術や技術などの免許を新たに取得させるための認定講習を計画的に実施するとともに、複数免許所有者の採用やその適正な配置、さらには、非常勤講師の配置などに努めており、免許外教科担任の件数は、徐々にではあるが、減少してきている。
道教委としては、今後とも、国に対し、小規模校の定数措置の拡充について要望するとともに、毎年の人事異動による教員の適正配置や複数免許所有者の確保、さらには、非常勤講師の配置、計画的な認定講習の開設などを行い、引き続き、免許外教科担任の解消に向けて取り組んでいきたい。
― 要 望 ―
真下委員 複数免許所有者が、解決策の一つとなっているが、実際には大変繁忙となる。小規模校優先の配置となりはしないかという不安も出てくる。授業準備にも、先生方は現場で苦労したり、工夫していると聞いている。加配措置もなく、忙しさだけが増して、多忙化の解消とは逆行するのではないかと思う。
教職員の現場の善意にすがった体制は見直すべきだと思うし、国にも強く要件緩和を求めて、きちんと配置するように、今後とも、これまで以上の努力をお願い申し上げる。
(道議会 2016-03-14付)
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1定道議会一般質問(28年3月11日) グローバル化に対応し教育行政推進 郷土愛育む教育で知事・教育長が答弁
一定道議会本会議(十一日)では、グローバル化と郷土愛について、質疑が行われた。 高橋はるみ知事は「国際化が進展する中にあって、グローバル人材の育成が重要な課題」との認識を示し、「子ども...(2016-03-15) 全て読む
1定道議会一般質問(28年3月11日) 家庭教育ナビを全市町村で養成へ 地域全体で子を守り育てる体制づくりで
十一日の一定道議会本会議では、地域全体で子どもたちを守り育てる体制づくりについて質疑が行われた。 村木中議員(自民党・道民会議)は一般質問で、学校が地域や保護者に情報を提供し、教育課題...(2016-03-15) 全て読む
1定道議会一般質問(28年3月10日) 未来人材応援基金創設し人材育成を 文化資本の確立・強化で環境生活部長答弁
十日の一定道議会本会議では、北海道命名百五十年を契機とした文化資本の確立・強化について質疑が行われた。 宮川秀明環境生活部長は、地域の文化振興について、道文化基金を活用した地域における...(2016-03-15) 全て読む
1定道議会一般質問(28年3月10日) 地域と連携した教育活動を充実 専門高校の取組で教育長
一定道議会本会議(十日)では、専門高校の特色ある教育活動について、質疑が行われた。 柴田達夫教育長は、本年度から三ヵ年計画で進めている「専門高校Progressiveプロジェクト推進事...(2016-03-14) 全て読む
1定道議会一般質問(28年3月10日) 26年度児相への相談件数1割増加 児童虐待関連で
一定道議会本会議(十日)では、児童虐待について、質疑が行われた。 内海敏江少子高齢化対策監は、道内の児童相談所における二十六年度の虐待に関する相談対応件数は一千八百五十五件で、対前年度...(2016-03-14) 全て読む
1定道議会一般質問(28年3月10日) 冷静で理性的な議論が大切に 主権者教育で教育長
一定道議会本会議(十日)では、主権者教育について質疑が行われた。 柴田達夫教育長は「高校生には、国家社会の形成者としての資質や能力を育むことが一層求められている」と述べた上で、「授業に...(2016-03-14) 全て読む
1定道議会一般質問(28年3月10日) 社会全体で子の学びを支えて 人材育成で質疑
十日の一定道議会本会議では、北海道の強みを生かす人材育成について質疑が行われた。 高橋はるみ知事は、人口減少が進む中、北海道総合教育大綱に掲げた「社会に生きる力を養うこと」「北海道の未...(2016-03-14) 全て読む
1定道議会一般質問(28年3月9日) 地域会議を拡大 建設業担い手確保・育成で知事
一定道議会本会議(九日)では、建設業の担い手確保と育成について、質疑が行われた。 高橋はるみ知事は、建設業において、担い手の確保・育成が喫緊の課題となっていることを踏まえ、就業環境の改...(2016-03-11) 全て読む