29年度道文教施策に関する提言―道特別支援学校長会
(関係団体 2016-06-20付)

 道特別支援学校長会(五十嵐利裕会長)が十五日、道教委に提出した『二十九年度道文教施策に関する提言書』の提言内容はつぎのとおり。

▼提言1「本道におけるインクルーシブ教育システム構築を推進するための特別支援学校の在り方に関する提言」

 本道におけるインクルーシブ教育システム構築を推進するためには、これまで進めてきた特別支援教育の十年間を振り返り、「北海道総合教育大綱」で示された特別支援教育の内容を具体化し推進することが重要である。特に、センター的役割を果たし、地域の特別支援教育の発展を担う特別支援学校においては、「基礎的環境整備」および「合理的配慮」の取組を充実し、その内容を地域へ情報発信することが必要であるとの観点から、以下の事項を提言する。

▽専門性の高い職員の確保・配置

 特別支援学校における幼児児童生徒の障がいの重度・重複化、多様化に対応し、適切な合理的配慮の内容を充実するために、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)に加え、言語聴覚士(ST)の資格を有する自立活動教諭や、看護師などの専門性の高い職員の確保・配置の拡充および特別支援教育コーディネーターの定数配置が必要である。

▽ICT等の支援機器の活用の促進

 幼児児童生徒の障がいの状態等に応じたより効果的な授業を実施するため、ICT機器を教材やコミュニケーションツールとして活用するための環境を整えることが急務である。そのため、ICT機器の大幅な導入を進めることが必要である。

▽「合理的配慮」にかかる研修の充実

 幼稚園、小・中学校、高校等において、「合理的配慮」についての理解を促進するため、道教委計画研修や特別支援教育センター研修講座等において、特別支援学校の「自立活動」の指導に関する指導内容や「合理的配慮」の事例について説明、協議するなどの研修の機会を計画的・継続的に設定することが必要である。

 また、入学選考検査における「合理的配慮」の内容が、公平・公正の観点から問われる状況が予想されることから、早急に具体的な検討に入ることが必要である。

▽関係機関等とのネットワークの強化

 特別支援学校がセンター的機能を発揮し、地域の教育資源との連携を図るとともに、様々な障がい種に対応できるネットワークが構築できる体制整備が重要である。そのためには、道教委や各教育局がイニシアチブをもち、地域のネットワーク強化を進めることが重要である。

▼提言2「障がい者雇用を一層推進するための施策に関する提言」

 特別支援学校高等部(知的障がい・職業学科および普通科)の生徒の就労促進のための諸課題とその解決に向け、以下の事項を提言する。

▽職業学科設置校および普通科設置校におけるキャリア教育、進路指導の充実

 障がいの状態等に応じた早期からのキャリア教育の推進と本人の適性に合った進路指導を進めるため、企業や労働・福祉等の関係機関と連携した作業学習や現場実習の一層の充実を図ることが必要である。そのためには、道と道教委、振興局と教育局が一体となった支援体制づくりを進めることが重要である。

▽特別支援学校の教育活動をサポートする企業募集の全道拡大と情報提供

 特別支援学校高等部の生徒数の増加がみられることから、石狩管内(道央圏)を中心に募集しているサポート企業を全道に拡大し、現場実習先や就労先の情報を積極的に提供する取組の拡充が必要である。

▽職場への定着を図るための関係機関との連携

 就労後、職場への定着(離職を減らす)を図る観点から、福祉や労働等の関係機関や企業、団体等と、在学中から連携したネットワークを形成することが重要になってくると考える。道教委計画研修である「進路指導対策会議」を圏域ごとに複数回開催することが必要である。

▽卒業後支援の充実

 就職率の向上や職場への定着を図るためには、卒業後の支援が重要であると考える。高卒の離職率が高いことは重要課題であり、社会問題でもある。例えば、「(仮称)就労支援コーディネーター」を配置するなど、具体策について、高校教育課と協働で検討することが必要である。

(関係団体 2016-06-20付)

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