小樽市教委「道徳教育特別研修講座Ⅰ」　心の変容生み出す授業を　筑波大附属小・加藤教諭が示範授業

（市町村 2016-06-28付）

教科化を見据えた道徳教育の在り方を学んだ

　【小樽発】小樽市教委は六月上旬、市立手宮中央小学校で「道徳教育特別研修講座Ⅰ」を開催した。市内小・中学校の教職員約八十人が参加。筑波大学附属小学校の加藤宣行教諭が来校し示範授業と講演を実施。参加した教職員は、教科化を見据えた道徳教育の在り方について学んだ。

　講座は、市内児童生徒の豊かな心を育むため、教科化を見据えた道徳授業の在り方について研修を深めるもの。講師として、十年以上前から道徳専任教諭として道徳教育に携わっている加藤教諭を招いた。

　示範授業に先立ち加藤教諭は「手応えのある授業実践を理論化・体系化して伝えることで、道徳の授業を変えるきっかけやヒントになれば」と講座の成果に期待した。

　示範授業は、「ものの価値を知る」と題して三年生を対象に実施。児童と一緒につくり上げる道徳授業を展開した。

　冒頭、加藤教諭は児童たちにそれぞれの宝物について発表させ、「なぜそれが宝物なのか」と問うことで問題意識を提起した。

　続いて、教材「ぼくのたからもの」を例に挙げ、資料を通してものをみる観点を広げさせた。その上で、身近なものへと視点を切り替えさせ、教材から見いだした観点を踏まえることによって、新たな気づきを促した。

　再度、「なぜものは大切なのか」と冒頭に立ち返り、同じ問いをすることで意識の変容を自覚させる授業を展開した。

　続いて行われた講演会で加藤教諭は、道徳授業には「“堅い”〝小難しい”“上手くまとめられない”などのイメージや悩みがあり、形式的な指導が行われている」などと、道徳教育が抱える課題についての見解を示した。その上で、「道徳教育はスキル学習やマニュアルを覚える時間ではない。大切な心のはたらきを考え、行為を起こすもとを知る時間である」と定義付け、道徳科担当教諭としての実践で得た手応えや反応を踏まえ、教科化に向けての授業のポイントや在り方などを提案した。

(市町村 2016-06-28付)