文科省SSH・滝川高の実践 国際社会で活躍する人材を 「環境共生」テーマにプログラム展開(学校 2016-08-18付)
「缶サット制作体験学習」を実施
【岩見沢発】滝川高校(中川秀樹校長)は、文部科学省が推進するスーパーサイエンスハイスクール(以下、SSH)の指定校として、国際社会で活躍できる科学技術人材の育成に向けた教育プログラムの研究開発を行っている。「環境共生」をテーマに、課題研究、教科横断的なクロスカリキュラム、国際理解教育を推進。理数科として特色ある学校づくりを進めている。
同校のSSHとしての研究期間は、二十五~二十九年度の五ヵ年。四年目となる本年度を研究計画の充実期と位置付け、これまでの事業を工夫改善し、教育プログラムを全面実施していく。
SSHにおける研究開発課題は「滝高フロンティアサイエンスプラン」。「環境共生」をメーンテーマに、多様な視点を獲得する教科横断的な学習を通して、先進的な理数教育カリキュラムの研究開発を行っている。
研究の柱として、①科学的リテラシーの育成②英語力の向上と国際貢献能力の育成③最先端科学技術分野のキャリア形成④地域探究開発能力の育成―の四項目を設定。
①では、メーンとなる「フロンティアサイエンス」科目において、各学年の発達に応じた問題解決能力、表現力、創造性を育む教育プログラムを展開。課題研究やプレゼンテーションに必要な知識と技能を習得する学習や、問題解決の手法を学ぶ企業、大学との連携プログラムを実施している。
②では、海外高校生や大学生との共同研修や交流活動のほか、研究内容を英語で発表する「ポスターセッション」を実施。発表に向けた準備には空知管内から多くのALTがサポートを担当し、実践的な英語コミュニケーション力の育成に努めている。
③では、最先端の科学技術分野を手がける大学と連携した教育プログラムを進めており、北大や酪農学園大との研修、共同調査、道外研究施設の訪問など、社会的、職業的自立に向けたキャリア形成を促している。④では、地域企業、異校種との連携による地域巡検や地域研究のプログラムを開発し、「ライフサイエンス」科目では、生物、地学、保健、家庭など他教科とのクロスカリキュラムにより、多様な視点で環境共生の在り方を探究する学習を行っている。
問題解決力育成へ
企業と連携し研修
科学的知識を用いて結論を導く「科学的リテラシー」や問題解決力を育てるため、同校は、企業と連携した教育プログラムを実施している。「フロンティアサイエンス」科目では、マグネットの製造販売やロケット開発など宇宙関連事業を手がけている㈱植松電機と協力し、衛星開発に関するトレーニングプログラム「缶サット制作体験学習」を二十六年度から行っている。
「缶サット」とは、空き缶に様々な測定機器を収納した模擬人工衛星。上空に打ち上げて加速度などのデータを計測し、回収、分析することで研究開発に必要な問題解決能力、チームワーク、科学的リテラシーを養うことを目的とする。
六月下旬に行った体験学習では、植松電機の開発担当者が測定機器のプログラミング、回路製作に関する実習を指導。物体の加速度を測定する実践的なミッションのもと、生徒は缶サットの制作に当たった=写真=。
より正確なデータを集めることに焦点を当て、今回はドローンを使って上空から缶サットを投下。データの回収に失敗したグループも「なぜ失敗したのか」「こうしたら解決できるのではないか」と試行錯誤しながら取り組んでいた。
中川校長は「科学的思考は理科に特化したものではなく、分析する力、伝える力、主体的に研究に取り組む姿勢は、他の様々な活動で活用できる」と指摘する。空知教育局の小山茂樹局長は「〝深い学び〟を実現する授業改善の取組は、アクティブ・ラーニングの実践として大いに注目している。今後、こうした優れた実践が北海道の高校教育の充実・発展に寄与することを期待している」と話している。
(学校 2016-08-18付)
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