分離型小中一貫教育導入へ　２９年度スタート―小清水町教委

（市町村 2016-09-16付）

　【網走発】小清水町教委は二十九年度、小清水小学校と小清水中学校で、小中一貫型小学校・中学校を導入する。九年間で一貫した教育を進め、学力や生活規律を身に付けさせる「小清水スタンダード」の推進や、英語教育の充実を図る。本年度からは、小学六年生による中学校への乗り入れ授業を実施するとともに、「スタンダード」の策定作業を進め、教員間の共通理解を深める。渡邊等教育長は「保護者向けの説明会を複数回実施しており、理解は得ている。九年間を見通した系統性・一貫性を踏まえた各教科の指導計画を一日も早く作成したい」と話す。

◆小清水スタンダード策定や英語教育充実など検討進む

　小清水小と小清水中は、町中心部にあるが、やや離れた場所に立地している。今回、町が導入する小中一貫型小学校・中学校は、小中別々の学校が連携して九年間の教育課程で指導を行うもので、小中それぞれに現行どおり校長・教頭を配置する。

　導入に向けた取組として、ことし二月に町小中一貫教育推進協議会を設置。四月からは小清水小六年生が毎週一回小清水中に登校し、五十分授業を体験したり、一部で教科担任による授業を受けたりするなど、中学校生活への不安や抵抗感を減少させる取組とともに、教員間の生徒指導における接続・連携の円滑化を図る体制整備を進めている。

　小中一貫教育の最重点課題といわれる九年間を見通した学習・生活規律を「小清水スタンダード」と位置付ける。中学校卒業時の生徒像を小・中学校のすべての教諭で共有化を図るもので、九年間の教育規律を作成し、一貫した指導の実現を目指す。現在、小・中学校の全教諭で検討を進めている。

　特に、英語教育に力を注ぐ方針。グローバル社会に対応できる人材の育成を目的に、中学校卒業段階において英語での日常会話とともに、発表や討論ができるレベルの英語力習得を目指す。具体的には、小学二年生から外国語活動を取り入れ、五・六年生の教科化に備えることを視野に、指導計画を作成する。

　また、小学校から中学校への円滑な接続を行うため、小学校高学年の学習評価・評定についての研究を進めている。

　町小中一貫教育推進協議会は、すでに保護者向け説明会や参観日、懇談等を数回実施し、多くの意見をもとに小清水スタンダード等の教育方針を協議している。

　渡邊教育長は「来年度の実施に向け、児童生徒の不安を早く解消したい。九年間を見通した系統性・一貫性を踏まえ、指導教諭が替わっても同じ指導が行える指導計画を早急に作成する」とした上で、「小清水町の取組が、町村に小中各一校しかない自治体のモデルケースになれば」と意気込む。

(市町村 2016-09-16付)