成果と課題をみつめ質向上を 道中第4回理事研・赤岩会長あいさつ概要
(関係団体 2016-10-07付)

 【旭川発】道中学校長会第四回理事研修会(九月二十九日、アートホテル旭川)における赤岩輝雄会長のあいさつ概要はつぎのとおり。

まず、八月の度重なる台風等の被害を受けられた皆さんに、心よりお見舞いを申し上げる。中でも被害の甚大だった清水町立清水中学校では、水道の復旧までに十六日を要したと聞く。

 その清水中で先日二十五日に文化祭が行われた。清水町といえば全国で初めて、町民による第九の演奏会を開催した「第九のまち」である。全校生徒による第九「歓喜の歌」の合唱で幕を開けた文化祭では、生徒会書記局による「ふり向くな。光は前にある。切り拓こう。歌と共に。輝け。清水町」という清水町に向けてのメッセージが披露された。地域の方々にたくさんの元気を届けられたことと思う。「子どもの育ちが地域の喜びになる学校づくり」が地域と連携する姿の一つに挙げられるが、災害の苦しみやつらさ、不便さを乗り越えて、自分たちにできることに一生懸命に取り組む中学生の姿に、あらためて教育の力、地域との協働性や学校の果たすべき役割などに気づかされる思いがする。

 被災された地域の中で前向きに取り組んでいる校長はじめ、教職員の皆さん、そして生徒の皆さんに道中を代表して心からのエールを贈る。

 さて、本年度もいよいよ折り返し点を迎える。これまでにも地区別教育経営研究会の開催や、八月五日に行われた道教委との文教施策懇談会・各課懇談会等、皆様の熱心な協力をいただきながら、進めることができた。あらためて厚く感謝を申し上げる。

 今後は、これまでの取組を中間総括し、課題を整理することになる。引き続き、理解と協力をお願いする。

 本日は、教育情勢にかかわる情報提供と併せて、組織検討にかかる報告と今後の見通し、あすからの上川・旭川大会にかかるお礼と理解と協力をいただきたい点などを話す。

 まず、教育情勢についてである。前回の理事研でも紹介したが、次期学習指導要領の改訂に向けて八月二十六日に中教審教育課程部会から「審議のまとめ」が発表された。この内容については、研究大会二日目の文科省講話で浅田審議官から説明があるのでここでは、学習指導要領の改善の方向性として挙げられている「主体的・対話的で深い学び」の実現(「アクティブ・ラーニング」の視点)の話題についてふれる。

 現在、道議会第三回定例会が開かれているが、九月二十日の本会議代表質問でアクティブ・ラーニングが取り上げられた。柴田教育長の答弁を紹介すると、「将来を担う子どもたちには、主体的に判断し、他者と協働しながら新たな価値を生み出していく力を身に付ける」ことが求められていることから、「全国学力・学習状況調査などにおいて、知識を活用する問題などに課題がみられる本道では、直接子どもの指導に携わる教員が、“主体的・対話的で深い学び”を実現するアクティブ・ラーニングの視点から、授業改善を進め、子どもの学びの質を高めることが重要」との認識を示したという。

 次期学習指導要領の改訂に向けて、各方面で「アクティブ・ラーニング」が取り上げられ、新しい学びのスタイルとして注目を浴びているが、柴田教育長の答弁にあるとおり、改訂の目指す方向は「アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善」にある。

 文科省の合田哲雄教育課程課長は、ことし五月に開催された全日中総会の教育行政説明で、「アクティブ・ラーニングというのは授業の中で五分間、十分間対話をすることが目的なのではなく、一人ひとりの子どもをお客さんにせずに、主体的な学び手にしていくというのが目的である。言い換えれば子どもたち一人ひとりをアクティブ・ラーナーにすることである」と話されていた。

 加えて、「基礎・基本を十分理解していないということが分かりながら、だけれどもアクティブ・ラーニングだから型をそろえて対話をしようというのでは、アクティブ・ラーニングではない」「一人ひとりの子どもたちが授業に積極的に参加するために必要な知識・技能を習得するために、まずはそこを補おう、そのことはその瞬間は教え込みにみえるかもしれないけれども、学校としてその子に最終的にアクティブ・ラーナーとして深い学びにもっていくというデザインがある限り、それはアクティブ・ラーニングである」とも説明した。

 アクティブ・ラーニングに限らず、次期学習指導要領の改訂に向けてキーワードが取り上げられ、先行するきらいがあるが、私たち校長は改訂の目指す本質を理解し、現状の成果と課題を見つめる中で教育の質の向上を目指していきたいと思う。

 そのためにも、あすから始まる上川・旭川大会では、二日間を通して多くの気づきと学びができるものと期待している。

 また、公表が遅れていた本年度の全国学力・学習状況調査結果について、各学校では、これまでも教育の質の向上を目指し、適切な教育課程の編成・実施・評価・改善に努め、授業改善に向けた取組を進めていることと思う。道中としても、各校や各地区の取組の成果を踏まえ、改善に向けた施策の実施や国への働きかけを道教委に要望していきたいと思う。

 道教委が行う結果公表については、昨年度同様と押さえている。道中としては、これまで同様に、調査の目的から離れ、学校の序列化や過度の競争を生むような公表とならないよう、特に学校数や生徒数が少ない市町村には十分配慮するよう、引き続き道小と連携し要望していく。

 続いて、学校における国旗、国歌に関する指導について道教委より通知があったが、通知文の文言が昨年度までと変わっている。お気づきの方も多いと思うが、卒業式、入学式の状況は「着実に改善されてきた」と評価し、引き続き指導の徹底をお願いするという内容である。

 このことは、これまでの現場の取組を理解いただいた一つの成果として受け止めている。私たち校長は、引き続き、学習指導要領の趣旨を踏まえた適切な実施に努めていくことが重要である。

 続いて、組織検討委員会の方向性について説明する。

 二十六年度から、道中の経費縮減にかかる組織・事業の見直し、また、二十九年度の県費負担教職員費の移譲にかかる札幌市中学校長会の在り方をめぐり、今後の道中役員・幹事の体制について検討を進めてきたが、いよいよ十一月の道中第五回理事研において最終答申、決定の運びとなる。

 これまでに札幌市中学校長会の事務局とは協議を進めており、概ね双方で合意に至る段階まできている。本日も、この理事研に先立ち、本年度第四回組織検討委員会を開き、最終案の骨子を固める話し合いをしていただいた。後ほど報告があるが、この件については、地区の校長会の皆さんにも周知し、意見等をよせていただくようお願いする。

 最後になるが、第五十八回北海道中学校長会研究大会上川・旭川大会がいよいよあすから開催される。実行委員長の中村勝治校長を中心に、主管である上川管内校長会の総力を挙げて取り組んでいただいたことに、心より感謝申し上げる。

 道中研は、日ごろの各地区各校の実践の成果を交流し、課題を明確にして、信頼される中学校教育の確立を目指すことを基本姿勢とする本会にとって、最も重要な研究大会である。「道中研の成功の可否は、分科会の内容と参加態度が左右する」と言われており、参加する校長がみんなで研究大会をつくりあげる、そんな意気込みで意義ある研究大会にしていきたいと考えている。

 それぞれの分科会で設定された今日的な課題のもと、真摯で活発な話し合いがなされ、課題解決の多くのヒントを与えてくれる分科会となるよう、そして、各学校の経営を支えるものとなるよう期待している。主管校長会のみならず道中の総力を挙げて成功を期したいと思う。皆さんの力強い協力をよろしくお願いする。

(関係団体 2016-10-07付)

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