道高教組が道教委に抗議声明 「取組は正当」、撤回要求 署名活動の組合員処分で(関係団体 2016-10-12付)
道高教組(國田昌男中央執行委員長)は六日、組合員二人が校地外のビラ配布・署名活動を行ったことに対する道教委の処分に対し、抗議声明を発表した。組合員の活動について、「憲法で保障された市民的権利」「組合としての正当な取組」であるとし、「正当な組合活動に対する不当な処分に強く抗議し、道教委に処分の即時撤回を求める」とした。声明の内容はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
道教委は、胆振管内の道立高校教員二人による校地外のビラ配布・署名活動にかかわって、「中立を疑わしめる行為であり、生徒、保護者をはじめ道民の信頼を損ねる行為」として、当該組合員に対し不当な処分を行った。年休を取得し、校地外で行ったビラ配布・署名活動は、憲法二一条(表現の自由・政治活動の自由)、憲法二八条(団結権)で保障された市民的権利である。
また、署名活動も、生徒にその趣旨を十分説明した上で呼びかけて行い、配布したビラには組合名(分会名)が記されており、組合としての正当な取組であったことは明らかである。それを乱暴に踏みにじる今回の不当な処分に対し、道高教組は強く抗議するとともに、処分の即時撤回を求める。
道教委は処分にかかる答弁で、「その言動が生徒の人格形成に与える影響が極めて大きいことに留意し、学校の内外を問わずその地位を利用して特定の政治的立場に立って生徒に接することのないよう(二〇一五年十月二十九日発出の文科省通知)」との旨を挙げているが、当該「高校等における政治的教養の教育と高校等の生徒による政治的活動等について」通知は、東京弁護士会からも「撤回」を求められるなど、憲法違反が指摘されるもので、教育現場に無批判に当てはめられるべきものではない。教育公務員の政治活動への規制は「政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められるもの(平成二十四年十二月七日堀越事件最高裁判決)」に厳しく限定されている。
さらに、この六十年あまりにわたる政府の憲法解釈を一片の閣議決定で転換し、他国とともに武力行使を行うことになる安保関連法=戦争法制の強行成立には、国民の大多数が反対しただけではなく、全国の弁護士会、大学人、憲法学者のほとんど、内閣法制局の歴代長官、最高裁元判事などが反対し、廃止を求める署名は一千五百万を超えている。憲法を尊重し擁護する義務を負う教職員として、署名活動は当然の取組である。
また、道内の高校からは毎年五百人以上の卒業生が自衛官となっており、「教え子を再び戦場に送るな」を綱領にもつ当組合が、「殺し、殺される」任務を彼らに強いることになる安保法廃止のために活動することは当然であり、署名運動はその一環である。
私たち道高教組は、道教委に対し再三の申し入れを行い、事実関係や見解を明らかにすること、道高教組と誠実に話し合いをもつことを求めていたのに対し、誠意ある対応はみられなかった。教育基本法一四条二項では、「法律に定められた学校は、特定の政党を支持し、またこれに反対するための政治教育その他の政治的活動をしてはならない」と定められているが、これは戦前の軍国主義教育への反省から、国民主権のもとでの「政治的教養」を教育上尊重するために、特に、学校による党派的な政治教育や政治活動を禁止したものである。抑制されるべきは、国家や権力による教育への介入であり、非難されるべきは「政治的中立性」を盾に、教職員組合運動に不当介入する道教委である。
私たちは、正当な組合活動に対する不当な処分に強く抗議し、道教委に処分の即時撤回を求めるとともに、道教委などからの不当な圧力に決して屈することなく、引き続き、憲法擁護、尊重の義務を負う教職員として、憲法違反の「安保法制=戦争法」の発動阻止や廃止を求める運動を強めていく。
また、これまで同様、適切な教育的配慮をもちながら、子どもたちや保護者・地域との合意を大切にした教育、校長を含む教職員の合意に基づく民主的学校づくりに向け、活動を続けていくことをここに表明する。
(関係団体 2016-10-12付)
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