道高教組など実行委が全道合研開く 主権者教育などで討論 1100人参加し分科会など(関係団体 2016-11-11付)
テーマ討論や分科会、シンポジウムなどを行った
道高教組、道教組などで構成する実行委員会は五・六日、江別市内の札幌学院大学で「2016合同教育研究全道集会」(全道合研)を開いた。基本目標「平和を守り、真実をつらぬく民主教育の確立をめざして」のもと、二日間にわたって行われたテーマ討論や分科会、記念シンポジウムなどに延べ一千百十五人が参加した。主権者教育のテーマ討論では、学校現場で主権者教育をめぐる〝萎縮〟や〝過剰な忖度〟があるとの報告や「子どもたちの政治的教養を育むためには、教員に政治活動の自由が保障されることが大前提」などの声が出た。
全道合研は、道高教組、道教組など四十六団体で構成する実行委員会が主催。ことしで四十一回目を数えた。
初日は午前中、四つのテーマ別に討論を行った。
そのうち、「十八歳選挙権実現!~あらためて問う!〝主権者教育〟をどのようにすすめるか」をテーマとした討論=写真=では、学校で主権者教育に取り組む中学校教諭、高校教諭がパネラーとして登壇した。
中学校で社会科を担当するパネラーは、「社会科は主権者を育てる教科。この意義を現場の教員も忘れかけているのでは。ここを共有しなければ」「主権者教育は、〝あなたはどう生きるのか〟という問いを発し続けるもの。そこに正解はない。しかし、生徒たちは、〝正解病〟に陥り、何を見ても信じられない、正しくないものに対する不安感が強い。これが投票率低下につながっている。それは大人も同じ」などと述べた。
高校で生徒会活動を担当するパネラーは、主権者教育を進める上で、「論理的思考力、物事を多面的・多角的にとらえ、公正に判断する力、合意を形成する力を育む」「政治に参加する経験を積ませる」ことなどが重要と指摘。そのために、生徒会活動の果たす役割が大きいことから、その強化が必要と訴えた。
道高教組執行部が報告に立ち、社会全体の包容力が低下し、〝異質〟で〝マイノリティ〟なものへの寛容さをもたなくなっている中、〝教育の自由・教職員の政治的自由への制限〟が強まっていると指摘。
「主権者教育において、子どもたちの政治的教養を育むためには、教員に政治活動の自由が保障されることが大前提。思想良心・言論表現の保障は、民主主義社会・民主国家を築く土台」と強調した。
また、参加者からは、主権者教育に取り組むに当たって、「授業の内容について、どこから批判が出てくるのではと心配だった」などと、学校現場に〝萎縮〟や〝過剰な忖度〟があるとの意見もあった。
一方、「今、道徳教育に問われているものは~道徳教育の現実と〝道徳の教科化〟をめぐって」をテーマとした討論では、道徳の教科化に対する問題提起や、外国の道徳教育の紹介、学校での道徳教育の実践報告などがあった。
テーマ討論と同時間帯には、新たな取組として、若者学習・交流企画「みんなで学ぼう、語ろう〝楽しい授業〟〝教師の生きがい〟」を実施。若手教員と先輩教員が、授業実践や日ごろの悩みなどを交流した。
初日午後から二日目にかけては、二十四分科会でレポート発表、協議を行った。
また、初日夜には「教育の夕べ」を開催。明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)共同代表の黒澤いつき氏などをシンポジストに、記念シンポジウム「一人ひとりが大切にされる社会~子育て・教育・暮らしに息づく憲法を考える」を行った。
シンポジウムを前に、あいさつに立った実行委員会の國田昌男共同代表(道高教組中央執行委員長)は「首長も参加する総合教育会議で〝教育大綱〟が、各地でつくられている。道も昨年十月に策定した。その中で、〝本道教育のめざす姿〟として、〝産業人材育成〟が強調されているが、それがどのような事態を招くのか、あらためて振り返り、立ち返り、〝教育の目的〟とは何か、国民的な共有し直しが求められる」などと述べた。
(関係団体 2016-11-11付)
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