Pick Up 2016⑤十勝管内―教員個々の指導力向上へ 小学校「体育専科教員」活用 校内全体の共通理解が必要に(道・道教委 2016-12-22付)
近年、児童生徒の運動能力の低下や、活発に運動する子とそうでない子の二極化が進み、小学校体育における指導力向上が一層重要視される。そのような中、十勝管内の小学校では、体育専科教員を置き、教職員の指導力向上に努めている。
道教委は、児童生徒の運動能力向上を図ろうと、様々な事業を展開。中でも、二十五年度から推進する「体育専科教員活用事業」は教職員の指導力向上にスポットを当てたメニューだ。
学級担任制を敷く小学校では、児童を取り巻く環境の多様化や指導内容の高度化から、体育指導に困難さを感じている教諭も少なくない。体育の専門的な知識を備えた教諭が直接指導に当たることが少ないため、学級間格差が生じている現状だ。
本年度、管内では、帯広市立若葉小学校の飯島恵美子教諭と、音更町立木野東小学校の青木真理教諭が体育専科教員として、自校の体力向上や体育科における自校の教職員の指導力向上に努めている。
両教諭は、学級担任とのチーム・ティーチング(TT)によるきめ細かな指導や授業づくりにおける支援を通して、教員の体育に関する指導力向上や学校全体の体力向上に向けた取組の充実に努める。
両校で共通することは、児童たちが普段から運動に親しむことができる教育環境の創出。そのために、常に児童たちの変化に教諭らが対応し、小学校体育科における目標を実現できるよう、教職員の体育指導力・授業力を高めることが大切だととらえる。
飯島教諭は「学級担任時における授業構成や安全面のマネージメントは大変だった」と振り返る。「専科教員として指導することで、体育器具の準備や単元の内容を入念に確認する時間を確保でき、授業をスムーズに進行できるようになった」と手応えを口にする。
青木教諭は「運動が苦手な児童にも、マンツーマンや少人数できめ細やかな指導ができている」という。「授業での成功体験から、休み時間でも楽しそうに運動している姿がみられるなど、自主的に運動に取り組む姿勢が身に付いている」と話す。
過年度、管内で体育専科教員を務めた教諭は、担任教諭が目的をもって指導しやすいよう、学習内容を明確にするための支援や、校外の研修会などで得た知識を校内研修などで全職員に周知し、共通理解を図ることの重要性を指摘する。
専科教員の配置による体育指導の充実は、子どもたちの体力向上や運動への苦手意識克服など、「即効薬として期待できる」(ある管理職)という声が多い。一方で、必ずしも全職員が体育の免許を所持しているわけではなく、道内全小学校への体育専科教員配置は難しいことも現実。それぞれの学校では、専科教員の加配がない中で、いかにして専門的な体育の指導力を身に付けられるかが求められる。
部分的に教科担任制を取り入れる手法もある。主に高学年の授業において、教員同士で得意としている科目を共有し、指導者を代えて授業を行うものだ。教科担任制を敷く中学校スタイルの授業に慣れさせ、小中連携を円滑に進めるというねらいもある。
しかし、「決められた人員で教科担任制を取り入れることは容易ではない」(ある関係者)ため、管理職による十分な学校マネジメント能力が必須だ。
また、専門的な知識のある教員が不在の学校では、地域や近隣校との連携が一層重要。
帯広市では、独自に取り組んでいる幼保小中連携「エリアファミリー構想」がある。中学校の体育専科教諭を拠点に、地域ぐるみで体力向上に向けて取り組むこともできるという。
十勝教育局では、「教員個々が自身の指導力向上に目を向け、自校や近隣校とともに取り組むことが一層求められる」と話す。
(道・道教委 2016-12-22付)
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