Pick Up2016④道立教育研究所―スキルアップの一助へ工夫 キャリアに応じた参加型研修 対象者明示、より実践的に(道・道教委 2016-12-21付)
主体的な参加意識を促し、より高い研修効果を目指した
新しい時代に向けた教育改革が進む中、各学校が次期学習指導要領等の趣旨、内容を実現するためには、教職員の資質・能力の向上は避けて通れない課題。こうした時代の要請に応えるべく、道立教育研究所では本年度、「キャリアステージに応じた研修の充実」を柱の一つに据えている。受講の条件を明示した講座を設定するとともに、若手教員の広範な指導力の向上を目指した、連続した講座を設定するなど、個々のレベルアップの一助となるよう、校長、副校長、教頭、教諭、それぞれに応じた研修内容に工夫を凝らしている。
今月、経験二・三年目の校長を対象に、兵庫教育大学の日渡円教授らが講師を務め、「校長の資質能力の向上」をテーマに講義・演習を展開した。日渡教授は「トップリーダー(校長)の仕事は成果を出すこと」と強調。また、校長に求められる能力として「応用力が極めて重要」と指摘。成果を上げるためには、成果に結び付く行動が必要で、行動を支える資質・能力として、応用力の側面をなす「対課題面の力」と「対人面の力」が求められることを説いた。その上で、講義では、応用力を養うポイントをつかむことを目的に「対課題面の力」について解説した。
演習では、参加者が架空の中学校に年度途中に赴任した校長にふんして、学校に関する様々な情報を整理。三つのグループに分かれ、学校の「ありたい姿」を設定し、生徒の実態や地域の願いをもとに、ありたい姿の実現に向け、グループ内で議論した。
演習に臨んだ校長は、「これまでにない研修で、刺激を受けた」「正解を教わるのではなく、考え方を学ぶ斬新な研修だった」と口をそろえ、一様に充実した表情を浮かべた。
道研が三日間日程で実施した「学校経営研修講座」での一コマ。対象を採用後二~三年目を迎え、間もなく異動が想定される小・中・高校、特別支援学校の校長に絞った研修だ。現任校はもとより、異動先でも組織マネジメントを生かし、学校経営上の諸課題に適切に対応できるよう配慮した。
講座の実施に当たっては、国の指定事業「総合的な教師力向上のための調査研究事業」で開発した「新しい時代に対応した学校管理職マネジメント研修」のテキストやプログラムを活用。協議を中心とした「参加型」の研修が最大のポイントだ。
本年度、道研が設定した研修講座は五十三本。そのほとんどで主たる対象者を明示。参加型、ワークショップ型の演習を取り入れた講座も数多く設定するなど、受講者のニーズに応じた講座を開設。道研では「あしたからの実践に生かせる内容となるよう、工夫した」としている。
本年度の研修講座は年明けから再開される。これまでの研修講座には受講者から、「より主体的に研修に参加することができた」「受講者同士の交流によって多くの優れた実践にふれることができた」「対話によって課題を解決することの大切さを実感した」など、評価する声が数多く寄せられており、道研の工夫が功を奏したと言える。
道研では次年度以降も、道教委全体で進めている管理職研修の充実・見直しの一環として、日渡教授らによる管理職研修を実施する予定。さらに、アクティブ・ラーニングの要素を取り入れることによって、深い理解につなげていきたい考えだ。
(道・道教委 2016-12-21付)
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