道教委・ふるさと教育等実践交流会 事業成果の効果的活用を 101人参加し実践発表や協議など(道・道教委 2016-12-19付)
ふるさと教育の意義や重要性などについて理解を深めた
道教委は七日、札幌市内の道第二水産ビルで二十八年度北海道ふるさと教育・観光教育等実践交流会を開催した。北海道ふるさと教育・観光教育等事業の指定校(実践校・協力校)などから百一人が参加。講演や説明、協議を通して、ふるさと教育の意義や重要性、ふるさと教育で児童生徒に育成する資質・能力などについて理解を深めた。
道ふるさと教育・観光教育等事業は、道徳、総合的な学習の時間、特別活動などにおいて、「アイヌの人たちの歴史・文化等」と「北方領土」の学習を取り上げたり、本道の自然や文化、観光産業などの教育資源を活用したりすることによって、本道についての理解を深め、郷土に対する愛着や誇りを育むふるさと教育・観光教育の充実を図るもの。本年度は実践校として小・中学校三十校、協力校四十五校を指定した。
実践事例交流会は、道ふるさと教育・観光教育等推進事業の指定校が、講話や説明、協議を通して、ふるさと教育の意義や重要性を理解するとともに、探究的な学習過程を踏まえたふるさと教育の指導計画や指導内容の改善および事業効果の効果的な活用を図ることを目的に開催。
はじめに、義務教育課義務教育グループの田口範人指導主事が事業概要について説明。「アイヌの人たちの歴史・文化等」と「北方領土」に関する学習の活動内容で、二十七年度、「資料等を活用した調べ学習」をすべての小・中学校が実施している一方で、二十八年度の全国学力・学習状況調査の児童・生徒質問紙で「今住んでいる地域の行事に参加しているか」の問いに、小学生の四割、中学生の六割が参加していないと回答。「地域や社会で起こっている問題や出来事に関心があるか」との問いに対して、肯定的な回答をした児童生徒ほど学力が高くなっていることなどを示した。
指導に当たっての留意点として、「外部講師を活用する際は、学校と教師が事前に十分な打ち合わせを行い、授業の目標や指導内容の共通理解を図る」ことなどを挙げた。
◆秋田県教委・上田主任指導主事が講演
続いて、秋田県教委義務教育課の上田満主任指導主事が「郷土への愛着と誇りを育む“ふるさと教育”の実践から」と題し講演した。
ふるさと教育について、県教委では、「高い志をもち、ふるさとを支えるとともに、グローバル社会で活躍できる人材の育成」を目指し、「地域に根ざしたキャリア教育の推進」と「“問いを発する子ども”の育成」を柱に、ふるさとを愛し、社会を支える自覚と高い志にあふれる人づくりに取り組んでおり、同県の未来を担う子どもたちを「わか杉」と呼んでいる。
上田主任指導主事は、県政やふるさとの課題を把握し、ふるさと秋田の活性化につながる実践や計画を考え、そのアイデアを知事に提案するなどの活動を展開している「わか杉県政体験」三年間(二十六~二十八年度)の歩みを報告。
本年度は、県政に「提案する」をコンセプトに、八月に開催。昨年度考えた戦略をもとに、案をもう一回練り直して秋田を活性化させるアイデアを知事に提案した。
上田主任指導主事は、知事から、「いろいろ問題はあるが、一緒に考えてくれてありがとう」という発言があったことを紹介。「地域から感謝されることで子どもたちに自己有用感が生まれる。自己有用感を与えてくれる集団、地域に対して、子どもは愛着・誇りをもつ」と述べた。「こうした活動には学力や人間形成能力などいろいろな力が必要」と指摘。「授業の中で、先生と生徒、生徒同士の対話を大切にした教育活動を行っていくことで、これらの能力が身に付いていく」と授業の大切さを説いた。
午後からは、「北方領土問題」に関する情報提供に続き、「アイヌの人たちの歴史・文化等」「北方領土」「観光」の三部会で実践交流・協議。実践校を中心に本年度のふるさと教育・観光教育の取組内容、成果と課題について発表。グループで発表の感想などを交流するとともに、取組を行う上での課題を出し合った。さらに、課題解決に向けた協議を行い、その方策について全体で交流した。
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講演する上田主任指導主事
(道・道教委 2016-12-19付)
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