Pick Up 2016①道教委―問われる教職員の姿勢 相次ぐ飲酒運転発生受けて 意識徹底と具体的行動不可欠(道・道教委 2016-12-16付)
ことしも残りわずか。本道では、教職員の不祥事防止に向けた対応、県費負担教職員の給与財源移譲を控えるなど、様々な動きがみられました。本紙日刊教育版では、「Pick Up 2016」と題して、きょう十六日付から連載で、本道教育界の一年を振り返ります。
◇ ◇ ◇
「道飲酒運転の根絶に関する条例」のもと、全道を挙げた取組が進む中、ことしは、教職員の姿勢が問われた一年だった。
二十七年十二月に施行された同条例。すべての道民が「飲酒運転をしない、させない、許さない」という規範意識をもち、社会全体で飲酒運転根絶を目指すことなどを基本理念としている。道や道民、事業者などの責務を明らかにするとともに、必要な施策を定めている。ことし六月には、条例に基づき、「道飲酒運転の根絶に関する基本方針」も策定した。
飲酒運転撲滅へ、道民を挙げた機運の高まりを図った矢先、警察官、道職員、公立小学校教員が酒気帯び運転によって相次いで逮捕、検挙された。基本方針策定間もない、わずか五日間での出来事は、道議会で知事、教育長、警察本部長が陳謝する「異常事態」(教育関係者)となった。
これを受けて道と道教委は七月、それぞれ、飲酒運転根絶に向けた「決意と行動」を策定した。道教委版「決意と行動」は、道教委職員と道立学校教職員のそれぞれについて規定。飲酒運転を起こさないことを強く〝決意〟し、再発防止の具体的な〝行動〟を定めた。
中でも、「飲酒運転根絶の日」の七月十三日から九月三十日までを「飲酒運転根絶取組強化期間」に設定。飲酒運転根絶誓約書の提出や飲酒運転根絶カードの携行、職場ごとのマイカークラブの設置と活動の促進などを盛り込んだ。
加えて、本庁に交通違反速報室を設置。事故発生時には、迅速な事実確認・公表に当たることとした。懲戒処分も、個別の事案の状況によって、量定を加重するなど、厳格に対処する姿勢を示した。
にもかかわらず、強化期間に入り、わずか一週間で、道立学校教員による酒気帯び運転がまたしても発生。その後も、教職員による飲酒運転が相次いだ。
道教委のまとめでは、二十七年度一年間の発生件数が二件だったのに対し、二十八年度は十一月末までに四件と倍増。処分件数も、二十七年度は四件(うち二十六年度発生分三件)だったが、二十八年度は今月までに三件(うち二十七年度発生分一件)となっている。
二十八年度発生分では、公道を走行しなかったために立件されなかった事案もある。しかし、事態を重くみた道教委は、飲酒運転と認定して処分するとともに、氏名と所属を公表。柴田達夫教育長が、一層の危機感を示すコメントを発表するなど、「決意と行動」に定めたとおり、厳しい姿勢で臨んだ。
飲酒運転根絶に向けた“体制”としては、一応の進ちょくをみせる。しかし一方で、教育現場ではどうなのか。この半年余りの動向をみると、教職員にこうした“決意”が浸透しているとは言い難く、関係者からは、「どこか他人事と思っているのでは」「恥ずべき、腹立たしい行為」といった声が聞こえる。
こうした中、道小学校長会、道中学校長会、札幌市小学校長会、札幌市中学校長会が今月、道教委に緊急アピール文を提出。不祥事根絶に向けた意志を示した。
道教委は、管理職員向けと一般職員向けに、具体的な事例を盛り込んだ新たな研修資料『教職員の不祥事防止のために』を作成し、研修の徹底を呼びかける。
村上明寛総務政策局長はこれまでの状況を振り返り、「飲酒運転は、教職員個々の自覚によって必ず避けられるもの。教職員の意識の徹底が不十分だったのではないかと考えざるを得ない」と断じた。
新たな資料を活用した研修の充実など、「実効性のある取組を強化して、教職員一人ひとりが飲酒運転根絶への意識を徹底するとともに、関係機関・団体と連携しながら、より一層の危機感をもって取り組まなくてはならない」と語気を強める。
この決意が本道教育界全体に浸透し、具体的な行動に結び付けなくてはならない。児童生徒を指導する立場、教育行政に携わる立場として、その姿勢があらためて問われている。
(道・道教委 2016-12-16付)
その他の記事( 道・道教委)
上川局が女性ミドルリーダー研修 学校を引っ張る中堅に 組織マネジメントなど学ぶ
【旭川発】上川教育局は十五日、上川合同庁舎で女性教員を対象としたミドルリーダー養成研修を行った。管内の小・中学校、高校、特別支援学校から十五人が参加。組織マネジメントなどの研修を通し、ミド...(2016-12-20) 全て読む
本道中学校の運動部活動―スポーツ庁 休養日「週1日」66% 活動時間は全国を上回る
本道中学校の運動部活動で、一週間の活動時間は、男子が全国公立学校よりも四十九・二四分多い一千一・五三分、女子が二十七・六四分多い九百九十四・六八分。道内関係機関・団体で申し合わせている休養...(2016-12-19) 全て読む
空知局が学力向上推進研修会開く 成果と課題の共有図るなど全国調査結果の活用促す
【岩見沢発】空知教育局は六日、空知合同庁舎で二十八年度学力向上推進研修会を開催した。全国学力・学習状況調査の分析結果をもとに成果と課題を共有し、児童生徒の学力向上に向けた授業の在り方を探っ...(2016-12-19) 全て読む
道教委・ふるさと教育等実践交流会 事業成果の効果的活用を 101人参加し実践発表や協議など
道教委は七日、札幌市内の道第二水産ビルで二十八年度北海道ふるさと教育・観光教育等実践交流会を開催した。北海道ふるさと教育・観光教育等事業の指定校(実践校・協力校)などから百一人が参加。講演...(2016-12-19) 全て読む
28年度全国体力等調査結果―スポーツ庁 小中・男女ともに改善 「握力」などは全国以上に
本道の児童生徒の体力・運動能力は、小中・男女ともに、依然として全国平均を下回っているものの、前年度に比べて全国との差が縮まっている。スポーツ庁が十五日に公表した「二十八年度全国体力・運動能...(2016-12-16) 全て読む
留萌局が学力向上推進研修会開く 効果的な検証改善目指し 全国調査の結果踏まえ協議
【留萌発】留萌教育局は十一月下旬、留萌合同庁舎で学力向上推進研修会を開催した。本年度の全国学力・学習状況調査の結果を踏まえ、講義や協議を実施。参加した管内小・中学校教諭約三十人は、児童生徒...(2016-12-16) 全て読む
職務の重み認識し行動を 胆振局・教育長協議会・校長会連名で飲酒運転根絶緊急メッセージ
【室蘭発】胆振教育局は六日付で、胆振管内教育委員会教育長協議会(豊島滋会長)、胆振管内校長会(反保秀規会長)と連名で、「飲酒運転、交通違反・事故の根絶に向けた緊急メッセージ」を管内市町教委...(2016-12-16) 全て読む
AL実践研究道央ブロック大会 歴史から解決方策考える 札幌北高1年日本史B
道央ブロックSCRUM研究大会では、札幌北高校の国語や数学など計五授業が行われた。このうち、一年七・八組日本史B「織豊政権」(生野将人教諭、生徒数四〇人)では、歴史にかかわる事象について、...(2016-12-15) 全て読む
AL実践研究道央ブロック大会 学び引き出す授業目指し 学習の視点・指導改善へ研鑚
道教委は七日、札幌北高校(大鐘秀峰校長)で「教科等の本質的な学びを踏まえたアクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善のための実践研究」にかかる二十八年度道央ブロックSCRUM研...(2016-12-15) 全て読む
道心の教育推進会議 障がい者の人権考える 人権教育指導者研に40人参加
道・道警本部・道教委で構成する北海道心の教育推進会議は九日、札幌市内のかでる2・7で二十八年度法務省人権啓発活動地方委託事業「人権教育指導者研修会」を開いた。人権擁護事務担当職員・人権擁護...(2016-12-14) 全て読む