協調性・自己肯定感育成へ 不登校対応に体験活動を 文科省「学校を核とした地域力強化プラン」―釧路市教委(市町村 2016-12-26付)
実施時期を考慮し、児童生徒が楽しみながら体験できるプログラムを工夫している
【釧路発】釧路市教委は、文部科学省「学校を核とした地域力強化プラン~健全育成のための体験活動推進事業」のもと、不登校児童生徒等を対象とした一泊二日の体験学習を行っている。ことし十月には、子どもたちはウオークラリーやナイトハイク、弁当づくりなどを楽しみながら協調性や自己肯定感を高め合っていた。市教委では、これまでのプログラムの実績を踏まえた活動を継続するとともに、学校や関係機関との連携を深めていく考え。
児童生徒の健全育成を目的として宿泊を伴う体験活動を実施する学校等の取組を支援する同事業。市教委では昨年度に続いて指定を受け、「不登校児童生徒体験学習事業」に取り組んだ。
指定以前の二十四年度から取り組んでいるもので、不登校学級や適応指導教室などに通うほか、不登校傾向のある児童生徒を対象に網走や足寄、北見、十勝地方などで実施してきた。
体験的な活動等を通じて、児童生徒の視野を広げ、自然の雄大さ、仲間がいることの素晴らしさなどを発見できるプログラムを推進。協調性・社会性・自律心・忍耐性を育て、自己肯定感を身に付けさせることを目指してきた。
実施時期は、長期休業後に不登校児童生徒が増える傾向を踏まえて設定。毎回二十人程度の児童生徒が参加し、日帰りの途中参加の子もいるという。
ことしは十月末に一泊二日日程で釧路市阿寒地区、足寄町において活動。最初に、足寄町阿寒国立公園内にあるオンネトー展望台を散策したあと、阿寒湖温泉街でウオークラリーを行った。子どもたちは四グループに分かれてアイヌ文化や阿寒湖の自然に関するクイズや課題に挑戦していった。
この日は阿寒地区の橋南センターに宿泊。ナイトハイクで星空も観察した。
翌日は買い出しに行ったあと、弁当を調理。オムライスやザンギなどを協力してつくっていた。午後からは乗馬体験や動物園を見学した。
参加した生徒は、「ナイトハイクで見た星がとてもきれいだった」「移動のバスでの友達との会話が楽しかった」などと話していた。
活動前と後のコミュニケーションや人間関係に関するアンケートを実施している。市教委によると、「家での会話が増えた」「学校に登校する意欲をもつきっかけになった」「初めて会う人と活動したり、宿泊したりすることで自信がついた」など、協調性や自己肯定感の醸成に効果がみられる回答が並ぶという。
市教委では、学校や不登校学級、適応指導教室等との連携、情報交換の大切さを指摘。「特別な配慮が必要な子どもの状況把握を重視している」とし、「体験学習の周知や参加呼びかけの機会を糸口に不登校児童生徒と学校・関係機関を結ぶきっかけになれば」と期待。これまでの活動からプログラムが充実してきた実績を踏まえ、今後も継続していく。
(市町村 2016-12-26付)
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