効果的な協調学習追究 「新しい学び」授業研究会開く―東神楽町教委
(市町村 2016-12-21付)

新しい学び授業研究会全体会
「自らの考えを表現し、互いに学び合う児童生徒の育成~先進校実践例をもとにして知識構成型の授業(協調学習)に取り組む」をテーマに授業づくり

 【旭川発】東神楽町教委と東神楽町「新しい学び」研究会(古木勉三会長)は六日、町内で第三回授業研究会を開いた。町立東聖小学校(古木勉三校長)と町立東神楽中学校(飯田勝彦校長)で、東京大学大学発教育支援コンソーシアム推進機構が提唱する「協調学習」を取り入れた授業計三授業を公開。同町のほか、上川管内外の教職員約四十人が参加し、公開授業や研究協議を経て、協調学習に基づいた授業実践について研修を深めた。

 同研究会は、同機構が進める課題解決型の授業「協調学習」を追究し、教員の指導力向上を図るため、二十六年に発足した。

 この日の授業研究会では、「自らの考えを表現し、互いに学び合う児童生徒の育成~先進校実践例をもとにして知識構成型の授業(協調学習)に取り組む」を授業づくりのテーマとした。

 当日、東聖小で二授業、東神楽中で一授業を公開したあと、町役場に会場を移し、全体会を行った。開会式では、水野和男教育長と古木会長があいさつした。

 水野教育長は「協調学習を町でスタートして三年目。その間、アクティブ・ラーニング(=AL)が教育現場で盛んに叫ばれるようになった。これまで進めてきた協調学習を東神楽のALとし、より良い授業改善につなげていきたい」と述べた。

 古木会長は「教師としての授業力向上が求められている。研究会がその一助となれば」と話した。

 続いて、同機構の飯窪真也特任助教が「主体的・対話的で深い学びの実現を追究する継続的な授業改善」と題して講義した。

 飯窪特任助教は「知識構成型ジグソー法の授業の中で、子どもたちの考えを深めるために、どのような課題や指示、資料を与えるか吟味することが大切」と助言。「授業後は、一時間の授業の中で子どもたちの学習を評価し、授業デザインを再検討するとともに、実践結果を教職員間で共有し、つぎにつなげてほしい」と呼びかけた。

 このあと、研究協議に移り、「協調学習が起きる学習課題であったか」「アクティブ・ラーニング型授業の質を上げるための学習評価」の二点を柱に、参加者で意見交換した。

 次いで、助言者を務めた上川教育局義務教育指導班の石山輝指導主事と飯窪特任助教が講評した。

 石山指導主事は「エキスパート活動でそれぞれが自分の役割を理解し問題解決を図るためには、課題意識が重要。また、見通しの段階で解決のイメージをもたせることも大事」とアドバイス。飯窪特任助教は「クロストークのときは、答えが出て終わりでなく、それぞれが納得する場面であることを意識してほしい」と話していた。

※キーワード

▽協調学習=一人ひとりが主体となって答えをつくり、対話を通じて自分の考えを見直したり広げながら、より良い答えに迫るALの学習形態。主な授業型として、①問いを設定②分かっていることを整理③同じ資料をもとにグループで話し合う「エキスパート活動」④違う資料を読んだ人同士でグループをつくり、エキスパート活動で分かったことを伝え合う「ジグソー活動」⑤全体で意見交換する「クロストーク」⑥一人で解答をまとめる―の六ステップで構成された「知識構成型ジグソー法」がある。

◆共通する比べ方考えよう 東聖小1年算数

 町立東聖小学校では、二授業を公開。うち、一年生算数「くらべかた」(末永大教諭、児童数二五人)では、三種類の長さの比べ方について児童が話し合う中で、それぞれに共通する比べ方を考えさせる授業を行った。

 本時は、八時間扱い一時間目。長さを直接比べる上で、どのようなことに気を付けて比較するかを理解することをねらいに位置付けた。

 同じ資料をもとにグループで話し合うエキスパート活動として、「二本の色鉛筆の長さを比べる」「二本のテープの長さを比べる」「二枚の紙の縦の長さを比べる」の三種類を設定した。

 末永教諭ははじめに、鉛筆やテープ、紙を提示して、「長さを比べる方法を見つけよう」と課題を示した。児童たちは、ワークシートに比べる方法を予想して書いたあと、三人一組のグループに分かれてエキスパート活動を開始。それぞれのグループで、色鉛筆やテープなど具体物を操作しながら長さを比べる方法を話し合った。

 つぎに、それぞれ異なるエキスパート活動に取り組んだ者同士で三人一組のグループをつくって、ジグソー活動を行った。交流の中で児童は「端をそろえると比べることができるね」などと意見を述べていた。

 続いて、ジグソー活動での交流を発表。児童たちは、「まっすぐに広げてそろえること」などと述べた。末永教諭は、児童たちの発表をもとに、課題に対する本時のまとめをワークシートに記入するよう促した。

 児童たちは、「まず広げて、どちらかの端をそろえてまっすぐにすると長さを比べられる」などとまとめていた。

 最後に、末永教諭はジグザグに曲がった二本のテープの長さを比べる問題を出し、学習の定着を図った。その上で、児童に学習を振り返らせ授業を終えた。

◆図形のかき方考えよう 東神楽中2年生数学

 町立東神楽中学校では、二年生数学「平行と合同」(青木俊也教諭、生徒数三五人)の授業が行われた。話し合い活動で取り組んだ成果を生かして、正二分の五角形のかき方を考える授業を展開した。

 十七時間扱いの単元では、多角形の性質を考える学習を進めてきた。十五時間目に当たる本時では、既習知識をもとに、〝分数多角形〟の定義を考察。正二分の五角形が星形五角形になることを見いだし、図形のかき方を説明することがねらい。また、学習を通じ、「数学は創造していく学問」であることを生徒に実感させ、次時の学習につなげる。

 エキスパート活動として、「円周角を等分する方法で正多角形のかき方を考え、正二分の五角形のかき方を予想する」「円周上に等しい間隔で並んでいる点を線で結び、正三~六角形をかく」「一分の三角形や三分の九角形など分数で表された多角形を作図する」の三種類を設定した。

 青木教諭は導入で、生徒に既習事項を振り返らせた上で、一つの外角が百四十四度になる正多角形について問いかけた。生徒は「三百六十÷百四十四=二・五。つまり二分の五」と計算。整数ではないからかけないと考える生徒に対し、青木教諭はかけることを伝え、どのような図形になるか予想させた。

 その上で、あらためて「正二分の五角形のかき方を考えよう」と課題を提起。生徒を三人一組のグループに分け、エキスパート活動に取り組ませた。

 その後、異なるエキスパート活動で取り組んだ者同士で三人一組のグループをつくりジグソー活動を行った。生徒は「二分の十角形は五角形で表せる」「円周上に等しい点が十個あると、最初にとった点から二つ先の点をとり、線で結ぶと正五角形になるね」「円周角を五等分すると一つの角が七十二度で五角形になる」などと話し合っていた。

 全体発表に移り、生徒はジグソー活動の成果を紹介した。「円周上の等しい点の数をかきたい図形の角の数で割り算すると、最初にとった点から進む数が分かる」などと考えを述べ、「十÷五分の二=四だから、四つ先の点をとって線を結ぶと良い」と答えていた。

 最後に、生徒は全体発表をもとに、正二分の五角形のかき方をまとめていた。

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新しい学び授業研究会小学校公開授業
東聖小1年算数「くらべかた」
新しい学び授業研究会中学校公開授業
東神楽中2年数学「平行と合同」

(市町村 2016-12-21付)

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