見通しもった教育活動を 道小理事研で松井会長あいさつ(関係団体 2016-12-28付)
十九日に開かれた道小学校長会第四回理事研での松井光一会長のあいさつ概要はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
教育情勢について、三点説明する。
一点目は、「学習指導要領改訂」について。
最新情報では、中央教育審議会答申が、十二月二十一日に出される予定である。この日に、中教審の教育課程部会が行われ、案文が了承され、公表されるという流れになる。
答申が出されたあと、来年の三月に学習指導要領が告示、来年の六月には学習指導要領の解説が出ると言われている。
今、いろいろなところで、「教科書採択が終わって使う教科書が決まってから、教育課程を編成すれば良い」という声が聞こえてくる。「教科書が決まらないと教育課程の編成ができない」というわけである。
そこで今回、もう一度、教育課程をとらえなおす必要があると思う。単なる単元配列表、そこに時数を組み込んだものが教育課程なのではないということを考えなければならない。
「社会に開かれた教育課程」が今回の学習指導要領の改訂の大きな前提。つまり、学校教育目標について、まず家庭・地域と学校とが共通理解をする、共有化していく。そして、それに基づいて、どのような資質・能力を育成するのかということを学校と家庭・地域が理解し、その上で各学年各教科で、どういった資質・能力を育成するのかということを考え、それに基づいて、今度はどういう学習内容を行っていくのかということ、そういう組み立てをしていかなければならない。
そのためにも、早速、来年四月から、まず学校全体で、答申と学習指導要領の読み込みをしていくことが必要になってくる。それから先の見通しをもって学校評価の在り方を検討し、その中で学校教育目標の見直しをしていくことが必要である。
また、小学校では英語の時数にばかり気を取られているようだが、そこだけ見るのではなく、生活時程、子どもの実態がどうなのかということに基づいて、生活時程、時間割を見直していく。その中で、英語の時数をどう組み込むかを考えていかなければならない。
今回学習指導要領の枠組みが変えられたのだから、単なる時数配列表ではない、単元配列表ではない、もっと大きな取組にしていかなければ、今回の改訂に合った教育活動ができていかないというとらえをして、来年の四月から行っていく必要がある。
今、校長としては、今後四年間を見通した工程表をきちんとつくって教員に示していくことが求められている。この作業が今やるべきことであると考えている。
二点目は、教職員定数改善について。
「教職員定数のさらなる充実を求める緊急要望書」を作成し、道小・道中・道Pのチーム北海道が、道教委・道議会・知事部局へ要望活動を行った。このことが効いたのか、高橋知事が、四定道議会において、財政制度等審議会の試算に対して、「近年、学校が取り組む課題は増えていることなどから、財政的観点のみで教職員定数を削減することは、本道の教育活動に大きな影響を与えるおそれがある」との認識を示し、「道教委と連携しながら本道の地域特性を踏まえた教職員定数の確保が図られるよう働きかけていく」ことを表明した。
チーム北海道と道教委との連携だけではなく、道教委の積極的なサポートのおかげで、知事部局や議会とのつながりができたことは、非常に大きな一歩と言える。
小学校教育の充実・改善に関する要望書である。全国連合小学校長会・大橋明会長と二人で、この要望書をもって、七人の国会議員に最後のお願いをしてきた。
残念ながら、国会の会期が延び、国会会期中であったこと、安倍晋三首相は山口でのロシア・プーチン大統領との会談があったことなどから、お会いできない方が多かったが、文部科学部会長の亀岡偉民衆議院議員とお会いし、要望書を手渡しすることができた。
亀岡議員は「今回最後に、けっこう財務省を押し返したから大丈夫」と話されるとともに、情報では十二月二十四日にクリスマスプレゼントのように、来年度予算案が成立する予定だったが、二十二日に成立し公表されるとも話していた。どうなるかは予断の許さない状況と思われる。新聞などニュースの報道や文部科学省のHPなどの動向に注意が必要である。
三点目は、まず、二十七年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の速報値である。
どれも右肩上がりである。特に暴力行為は十八年度以降上昇傾向にある。いじめの認知件数については、都道府県ごとのデータをみると、最大の県と最低の県では、三十倍の差があるとのことであった。
一つ目は、学習指導要領が三月に告示され、二〇二〇年度から全面実施になり、英語活動が入ってきて、短時間学習を行う学校が多いと思われるが、そのときにその十五分の授業において、授業規律がしっかりしていないと、それが意味あるものにならないのではないか。この健全育成のデータから、自分たちの地区や学校がどんな状況にあるのか、みてみる必要があるのではないかということである。
二つ目は、授業規律とかかわるが、子どもたちが生徒指導上、この状況にあるときに、今の教員の体制だけで良いのか、文科省は、スクールカウンセラーとかスクールソーシャルワーカーを、ということを出しているが、それだけではなく、全連小が要望しているとおり、教員の定数を充実させていくことが必要なので、要望活動を行うときのバックデータとしてうまく使ってほしいということであった。
つぎに、不祥事根絶にかかる緊急アピールについてである。道小・道中とともに、二十九年度の税源移譲に鑑み、札幌市小学校長会・札幌市中学校長会との連名で、アピールすることができた。
結びになるが、本日の理事研修会においては、道小教育研究小樽大会の評価と今後の改善に向けた協議をいただく時間等を取った。来年の宗谷・稚内大会、そして三十年の函館での全国大会成功に向けて、審議いただきたい。
また、道小会費値上げに関する組織の在り方検討委員会の報告、札幌学院大学の臼井博教授の講演会、午後には、各部の反省などが予定されるなど、盛りだくさんとなっている。一日長丁場となるが、よろしくお願いする。
(関係団体 2016-12-28付)
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