留萌市教育ビジョン前期計画策定 土曜授業やICT整備を 5ヵ年の具体的取組盛る―29~33年度(市町村 2017-02-06付)
【留萌発】留萌市は、二十九~三十八年度を計画期間とする「留萌市教育ビジョン」および、ビジョン実現のための具体的な取組を示した「学校教育振興計画」と「社会教育振興計画」を策定した。両振興計画は前期五ヵ年の計画をまとめており、二十九年度を始期とする施策として、土曜授業の試行やコミュニティ・スクールの導入などを盛り込んでいる。
同市では、三十八年度までの十年間を展望し、留萌の教育の目指すべき姿を描いた構想として、「留萌市教育ビジョン」を策定。ビジョン実現のための具体的な教育施策や取組を、「学校教育振興計画」と「社会教育振興計画」としてまとめた。
両振興計画の計画期間は、社会・経済情勢の変化を踏まえた見直しができるよう、前期計画と後期計画の各五年間とし、前期計画を策定した。
学校教育振興計画では、「確かな学力を身に付けるための教育の充実」など五つの戦略プログラムに基づき、施策の方向性や取組を設定。社会振興計画は、三つの戦略プログラムに基づき、施策の基本的な考え方や取組を示している。
新規事業として、学校教育振興計画では、土曜授業の試行やコミュニティ・スクール導入検討事業、新たな教育に対応する研究委託事業、ICT整備計画の推進のほか、幼児期から小学校教育までを円滑に接続するためのスタートカリキュラム、ALTの派遣・増員による国際理解教育の実践などを盛り込んでいる。
また、社会教育振興計画では、合宿誘致などを通じたまちづくり、文化遺産の保護と学習資源としての活用などを推進する。
両計画の主な施策はつぎのとおり。
【学校教育部門】
▼確かな学力を身に付けるための教育の充実
▽幼児と児童の交流や教職員の合同研修会・スタートカリキュラム(幼児期と児童期をつなぐ教育課程)の充実に努める
▽各中学校区で「小中連携推進委員会」を立ち上げロードマップを作成し、小中一貫した考えに立った教育活動の充実に努める
▽ALTの増員を検討し、さらなる国際理解教育を推進。保育園・幼稚園等へのALT派遣により幼児期から英語や他国の文化にふれることで興味や関心を育む
▽ICTの特長を最大限活用し、情報化社会に主体的に対応していく力を育む
▽パソコン教室用・校務用のパソコンおよびタブレット端末、ネットワーク機器などのICT機器の老朽化対策として、無線LAN環境整備と併せて個別計画を策定し、これからの教育の情報化に対応したICT整備を計画的に進める―ICT整備計画(新規)
▽小学校からのキャリア教育の推進を図るため、教職員による学校内外の研修に努める。各学校においてキャリア教育に関連の深い教科等をもとにした全体計画の作成に努める
▽各学校で朝の時間、放課後などに十五分から二十分程度の学習時間帯を設けたり、家庭学習の課題にするなど、組織的・計画的な補充学習等の徹底に取り組む
▽主体的・協働的に学ぶアクティブ・ラーニングを取り入れた授業を推進する
▽長期休業中の学習サポートを実施し、地域や学生のボランティア・学習補助員の活用も推進する
▼豊かな心の育成
▽郷土教育機会の充実、社会科副読本を三十一年度までに改訂
▽道徳教育の全体計画や年間指導計画の見直しと作成を行い、校内体制の整備を図る
▽ハイパーQU検査等の結果を児童生徒個々の指導や学級全体の指導に反映するとともに、目標達成に向けてのマネジメントを行っていく
▽人間関係づくりや学級づくりをさらに充実させ、いじめや不登校のサインを早期に発見するための児童生徒アンケートやチェックリストの活用、問題のサインを見逃さない日常の健康観察を確実に行うなど、具体的な取組を進めていく
▽スクールソーシャルワーカーを学校・家庭・地域に派遣し、不登校児童生徒を取り巻く環境の改善を図る
▽学校図書館ボランティアの活動状況を市民や保護者に周知するとともに、その活動への理解を深め、担い手確保に努めていく
▽学校と学校図書館ボランティア、市立留萌図書館等との連携・協力による学校図書館の充実に向けた取組を推進していく―学校図書館と市立図書館の連携事業(新規)
▽地域、自主防災組織、関係機関等と連携し、様々な状況を想定した避難訓練を実施していく
▽災害時の保護者への引渡し訓練を実施する
▽学校における災害発生時の対応等について、危機管理マニュアルなどによって教職員の役割を明確にし、学校防災体制を確立する
▼健やかな体の育成
▽体づくり運動等による運動量を確保する授業を推進する
▽農業体験活動等を通じた食育を推進する
▼教職員の資質・能力の総合的な向上
▽今日的な学校教育課題や教職員のニーズに応じた内容を盛り込んだ市独自の研修事業を継続する
▽新たな教育に対応する研究委託事業(新規)
▼信頼される学校づくりの推進
▽コミュニティ・スクールの積極的な導入に向け、市教育委員会規則で定める各学校の学校運営協議会の設置について、総合教育会議等で検討していく―学校運営協議会設置事業(新規)、コミュニティ・スクール導入検討事業(新規)
▽土曜授業試行事業(新規)
▽保護者や地域住民が積極的に学校運営に参画できるよう、学校組織に地域と連携する分掌や担当者を明確に位置付けていく
▽学校がチームとなって取り組む学校力・授業力を強化するため、「学校力向上に関する総合実践事業」実践指定校の成果を踏まえた取組を推進していく
【社会教育部門】
▼生涯教育の充実
▽仕事をしながらも学習できる環境づくり、定年退職後の人生をよりよく生きるための生きがいづくりや仲間づくりなどを目的とした、学習機会の提供と学習環境づくりに努める
▽PTA研究大会への支援、講師人材ネットワーク情報の発信
▼生涯スポーツの推進
▽多様なスポーツに親しむことができる機会の拡大、子どもたちの体力向上のためのスポーツの充実
▽スポーツ交流・合宿を通じたまちづくりの促進
▽スポーツ振興助成事業の充実
▼芸術・文化活動の推進と歴史の伝承
▽芸術鑑賞・発表機会の充実、音楽合宿への支援と交流の場の拡大
▽芸術・文化活動の担い手育成
▽郷土研究・地域研究の奨励
(市町村 2017-02-06付)
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