【リポート】空知管内で広がる〝公設学習塾〟 学力格差解消へ学校補う 家庭学習習慣化に大きく寄与(市町村 2017-02-06付)
各地で取組が進む公設学習塾。子どもたちの実態に合わせた授業が行われている
【岩見沢発】空知管内では、基礎学力の向上、家庭学習の習慣化に向けて子どもたちの学習を支援する「公設学習塾」を設置する動きが広がっている。民間学習塾講師による指導は受講者からも好評で、特に、学習塾が少ない地域において、学習機会の提供に大きく寄与している。管内各地で進む公設学習塾の取組を取材した。
岩見沢市は、本年度から市内中学生対象の土曜学習塾「Sスタディ」を開始した。民間の大手学習塾が市内中学生の学力状況をもとにテキストを作成。定期テストや受験に必要な学習内容に焦点を当て、英語、数学の二教科の授業を実施している。
歌志内市でも本年度から、中学生向けの土曜学習塾「チャレンジキャンパス」を開始。滝川市内の民間学習塾の講師を招き、国語・数学・英語の授業を指導している。また、上砂川町でも本年度から小学五・六年生と中学生を対象とする公設学習塾を開始。富良野市内の民間塾の講師が算数と数学の授業を指導している。
このほか、三笠市、深川市では、これまでの放課後学習塾の参加対象を中学生まで拡大するなど、他の市町でも取組が広がっている。受講料は全額無料のほか、テキスト代金のみ徴収している地域もある。
適切な勉強方法
知るきっかけに
公設学習塾の設置が進む理由は様々だが、最も切実なのは、〝お金〟の問題だ。学習塾がない地域では、高校受験を控える子どもを近隣市町の塾に通わせる場合、受講料以外にも送迎や学校と塾の合間の食事代など、費用がかさむ。
旧産炭地では長引く不況から、就学援助の対象となる要保護、準要保護の家庭も多く、地域、学校間の学力格差の要因の一つとなっている。ある教育関係者は、「塾に通いたくても通えない子どもを生み出さない方法の一つとして公設学習塾が広がっているのでは」と分析する。
学力の格差を解消するには、教員加配や教育予算の重点化などが必要だが、すべての地域に行財政的支援を行きわたらせるのは容易ではない。また、全道的に家庭での学習習慣の定着が課題となっているが、教育現場からは「学校単独では手が回らず、保護者の教育に対する理解と協力が不可欠」との声が挙がる。
学習塾には蓄積された塾としての指導のノウハウがあり、学校とは異なる授業に驚きの声も挙がっている。塾講師による学習指導は、「生徒の評価も高く、生徒が適切な勉強方法を知るきっかけにもなる」「学校と塾が対立するのではなく、互いに補い合うことが必要」と教育行政関係者は語る。
こうした成果に呼応する形で、設置に動き出す市町村も出てきた。南幌町では、次期総合計画の素案に公設学習塾の設置を明記。二十九年度に検討を進め、三十年度の開設を目指している。このほか、複数の市町で公設学習塾設置の検討が進められている。
(市町村 2017-02-06付)
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