帯広市教委と帯広市教育研究会　日本人外部講師で成果　外国語活動の教科化へ協議

（市町村 2017-02-08付）

杉並区の小学校英語活動サポーターが指導する授業の様子などを紹介した

　【帯広発】帯広市教委と帯広市教育研究会（小林寛佳会長）は一月二十五日、帯広市内のとかちプラザで「二十八年度新学習指導要領における〝外国語活動の教科化〟および〝外国語教育〟の今後の展望に向けた協議会」を開催した。東京都杉並区立済美教育センター統括指導主事の手塚成隆氏が、同区における「外国語教育の現状と新学習指導要領が目指す今後の方向性について」講話。杉並区の英語教育の取組を紹介しつつ、外国語の教科化に向けた今後の方向性を示した。

同協議会は、新学習指導要領の目指す「外国語活動の教科化」および「外国語教育」の展望について明らかにするとともに、帯広市の外国語教育の改善・充実に向けた情報提供等を進め、各学校における具体的な指導改善に資することが目的。

　市内小・中学校の管理職や教務主任、研修部長など約八十人が参加した。

　冒頭、小林会長があいさつ。新学習指導要領における外国語活動について言及し、「小学校において外国語の教科が追加されるなど、新たな視点で外国語教育を進めていかなければならない」と指摘。「講話を通して先進地の取組に学びながら、各学校で〝新学習指導要領の実施に向けて準備できることは何か〟という視点で研鑚を積むとともに、得た知識を自校にもち帰って校内で共有してほしい」と期待した。

　続いて、手塚氏が「杉並区における外国語教育の現状と新学習指導要領が目指す今後の方向性について」と題して講話した。

　手塚氏は、杉並区の英語教育の取組として、「小学校英語活動サポーター」を紹介。

　同区では、ＡＬＴのほかに、区独自に小学校で英語サポーターとして担任とともに英語活動の指導を行う日本人外部講師「ＪＴＥ」を配置している。

　手塚氏は、ＪＴＥを対象にした研修や、ＪＴＥと担任による授業の様子などを報告した上で、導入の成果として、「担任とのＴＴで指導に当たることで、児童一人ひとりにきめ細やかな指導ができる」「英語関連の企業に勤務していた経験や外国籍をもっている人が多数を占めているため、授業に安心感がある」などの点を挙げた。

　一方で、「担任より英語力が長けているので、本来はＴ２に配置するところがＴ１になってしまう現状があり、担任をＴ１として指導していくためにどう教員の意識や力量を高めるかが課題」などと説明した。

　また、手塚氏は「今の帯広市の小・中学校における英語教育の課題は何か」と参加者に投げかけた上で、今後の外国語教育の充実に向けて、「各学校段階の学びを継続させることが大切」と強調。

　さらに、「知識・技能」のみならず、「思考力・判断力」や「学びに向かう力・人間性」などもバランス良く育成する大切さや、外国語でコミュニケーションを図ろうとする態度の育成、主体的に学習に取り組む態度を身に付ける重要性などを説いた。

　このほか、小学校の教育課程編成を工夫することや、中核教員に対する研修を充実させることの大切さなどを訴えた。

　参加者からは、「自校の外国語活動や外国語教育の充実に向けて、大変参考になった」「小学校における英語の教科化に向けた取組を帯広でも進めていかなければならないという危機感をもった。また、そのような子どもたちが上がってくる中学校では、さらに高いレベルでの授業づくりが必要とされることも理解できた」などの感想が寄せられた。

(市町村 2017-02-08付)