道特別支援学校長会理事研 授業力の向上が根幹に 宮崎次期会長あいさつ
(関係団体 2017-03-08付)

 道特別支援学校長会の二十八年度第二回理事研究協議会における宮崎真彰次期会長のあいさつ概要はつぎのとおり。

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 特別支援教育に転換して、十年の節目を迎えた。この間、特別支援学校数は、六十二校から六十九校へと七校増え、生徒数は一・三倍、本務職員数は二・六倍に増えた。文字どおり、特別ではない身近な学校になってきたと思う。

 一方、この十年間で、十校の単置校が開校し、高等部に対するニーズが高まっている。このことを理念に照らし合わせてみると、教育の場ではなく教育的ニーズに対応するとしていたものの、人的配置のある教育の場への関心は変わらないように思う。

 道教委の教育行政執行方針では、社会で活きる実践的な力の育成に向けて、特別支援教育に関しては、すべての学校において、「インクルーシブ教育システムの理念を踏まえ、特別な支援を必要とする子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導や支援の充実を図る」とあり、また、特別支援学校において、「障がいの重度・重複化、多様化等が進む特別支援学校における教育環境の整備を進める」とある。

 本会としても、執行方針を受け止めながら、特別支援教育の展開を図っていくことになる。「教育環境の整備」が重要なキーワードであり、このことについて、二点お話ししたい。

 一点目は、教育環境のハード面について。

 校舎の狭隘化、トイレの確保や給食の形態など、生徒の障がいの状態に応じた生活環境の整備、通学手段となるスクールバスの運行など、教育環境の整備は喫緊の課題である。

 また、子どもたちを導く教職員の人材育成、資質向上も重要な課題である。

 開校もあって、たくさんの教員が採用された。管理職の大幅交代期と重なり、OJTがなかなか進まない状況にある。事務部は、定員削減の中、特別支援学校ならではの業務を裁いている。副校長・教頭は、たくさんの職員の人事管理、資質の向上に当たっている。学校支援も、多数の要請が寄せられるものの、校内事情もあって、需要と供給が追いつかない状況がある。

 ハード面については、課題をまとめ、文教施策として提言しているが、限られた予算の現状もあり、大所高所から検討する中で、道教委と連携していきたい。

 二点目は、教育環境のソフト面について。

 昨年度発生した酒気帯び運転や、体罰などの服務規律等の管理上の課題はもちろん、特別支援教育を進めるための根幹は、授業力の向上にある。

 三十二年度から完全実施される次期学習指導要領の円滑な実施が命題となっている。特別支援学校は、「一人ひとりに応じた教育」や「知的代替などの教育課程の特例」があることもあって、動きが鈍いところがあるように思う。

 今回の改訂の柱である、「主体的・対話的で深い学び」とカリキュラム・マネジメントは、当然ながら、特別支援学校でも推進すべきこと。インクルーシブ教育システムの展開に向けて大変重要である。人権や尊厳の尊重は、社会的な課題として大きなテーマになるだろうと思っている。

 特別支援学校に直接かかわるところでは、自立活動の整備が非常に重要であると思っている。

 一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導や支援の充実を図るための中核となる教育が自立活動にあり、社会に開かれた教育を進めるためには、それぞれの特別支援学校が地域社会に向けて、自校の自立活動について、しっかりと語る必要がある。

 高校における通級の制度化が検討されている。指導内容は、自立活動に相当する指導が想定されている。センター的機能を担う特別支援学校は、高校の教職員にも分かるように、各教科との関連も含めて、自立活動について説明する力が必要であると思う。

 二十九年度は、道立、市立、私立の開校があって、七十二校となる。皆さんの英知を結集して、信頼される学校づくり、特別支援教育の質の向上に努めていきたいと思っているので、よろしくお願いする。

(関係団体 2017-03-08付)

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