札幌高等養護が開校２０周年公開研　課題解決型の授業を紹介　国語、数学など９授業

（学校 2017-12-19付）

木村校長は、公開研究会を通じて、研究に対してきたんのない意見を求めた

　札幌高等養護学校（木村宣孝校長）は八日、同校で開校二十周年公開研究会を開いた。約三十人が参加。研究主題「キャリア発達を支援する課題解決型学習による授業づくりをめざして」のもと国語、数学、理科、各科実習の九授業を公開した。他者と対話し協働しながら新たな価値を生み出していく生徒の育成のため、積み重ねてきた実践の成果を発表した。

　全体会では、木村校長があいさつ。特別支援教育をめぐる動向にふれた上で「本校ではものづくりを核として、生徒一人ひとりのキャリア発達を支援している。生徒には、膨大な情報から何が重要か判断し、自ら問いを立てて、その解決を目指し、他者との対話から新たな価値を生み出していく意欲や姿勢をもつよう期待する」と述べた。

　また、一人ひとりのキャリア発達を促すことを基盤にして、課題解決型学習を推進するために、公開研究会では参加者も授業に協力する「参加型授業公開」やポスターセッションを通して、対話から生徒にとって貴重な学びの機会になると説明した。

◆生活家庭科２学年紙すき体験ガイド

　全体会のあと九授業を公開。このうち、生活家庭科二学年（生徒数八人）「紙すき体験をガイドしよう」は、芦澤粹教諭、天野尚美教諭、阿部真一教諭、石川昌子教諭の四人が指導した。

　生徒たちは開始前に黒板の分担掲示を見て、手分けして道具や材料の準備を行い、授業の号令をかけて元気よくあいさつした。本時のめあて「丁寧に作業を説明する」を確認し、各作業場についた。

　一～三人に分かれて作業を分担。パルプの計量担当のグループでは、牛乳パックを乾かしてつくった五㌢㍍四方の紙片を、五㍉㍍四方にまで切り分けて、決められたグラム数に計量。生徒たちは授業参観者に、作業体験の参加を促し、作業手順や方法を自分たちで考えて説明した。

　紙すき担当のグループでは、ミキサーで水と混ぜたパルプを、水の中に付けたすき枠の中に入れ、手で撹拌し、パルプが一定になるようならし、水から揚げて紙に成型する作業を行った。参観者に作業内容を説明して「上手ですね」などと声をかけながら体験させ、交流していた。

　ローラー仕上げ担当のグループでは、紙すきで成形したパルプにタオルを重ね、ローラーをかけて水分を取り除き、すき枠から紙をはがして乾燥させる作業に取り組んだ。その中で生徒たちは作業効率を上げるための力加減や姿勢の取り方を体験的に覚えた。

　このあと、各科の三学年がポスターセッションを実施。参加者で研究協議を行い、筑波大学名誉教授の渡辺三枝子氏が「キャリア発達を支援するキャリアカウンセリングの理念と実践」と題して講演した。

(学校 2017-12-19付)