【PickUp2017】十勝管内 学校魅力化の有効な手立てに 十勝管内全日制高校の給食導入(学校 2017-12-20付)
◆十勝管内で6校が導入
欠食や偏食など、児童生徒の食生活に関する課題が指摘される中、十勝管内では、弁当を持参するのが主流の全日制の高校において、学校給食を導入する学校が増えている。
本年度までに、上士幌高校、大樹高校、広尾高校、池田高校、本別高校、足寄高校の六校が学校給食を導入。教育関係者によると「道内では十勝管内の導入が極めて多い」という。
管内導入第一号の上士幌高(山﨑恒平校長)は、上士幌町が十二年に学校給食センターを新築したことを契機にスタート。小・中学校と同様のメニューを生徒に提供している。
希望生徒に一食二百二十九円で提供しており、本年度は、全校生徒の九割以上が希望。クラスごとに給食担当の班をつくって配膳している。給食センターの栄養教諭が考案した栄養バランスの取れた地産地消のメニューは「生徒たちが学校に通う楽しみの一つ」(同校教諭)にもなっている。
◆保護者負担を軽減
ほとんどの生徒が給食を希望する背景には、同校生徒の八割以上が、帯広市や音更町などの町外から通学しているという事情がある。帯広市内から通う生徒は、午前七時過ぎに帯広駅前を出るバスに乗るため、六時台には自宅を出発する。その場合、保護者は弁当づくりのために相当早起きしなければならず、肉体的に大きな負担となる。コンビニの弁当やパンなどを昼食にすることもできるが、山﨑校長は「経済的にも負担が増えるし、栄養面でも偏りが出てしまう」と話す。
上士幌町の教育振興会は、二十七年度から生徒・保護者を対象に、学校に対する意識調査を実施。本年度の調査項目「学校給食の支援策が有意義と感じているか」に対して生徒・保護者いずれも九割以上が「有意義」と答えた。
山﨑校長は、給食導入の意義について「バランスの取れた食事を摂ることで勉学、運動にもよい影響を与える。また、上士幌町に対する愛着心を育む観点からも大きな役割を担っている」と強調する。
上士幌町教委の小堀雄二教育長は「本町は、保護者の毎日の弁当づくりの負担や経済負担の軽減をねらいに高校に給食を導入している。今後も、町全体で魅力ある高校づくりの推進に向けて継続して支援していきたい」と話している。
◆広がる給食導入、高校の振興策に
生徒、保護者にメリットの大きい高校給食だが、導入に当たっては、給食センターの調理体制が整っているのかを考慮する必要がある。上士幌町の学校給食センターは本年度、町内小・中学校四百十六食に加え、同校二百一食の計六百十七食を提供したが、少子化の影響で児童生徒数が減っているため、給食センターが提供できる範囲内に収まっていることも「導入できた要因の一つ」(給食センター)となっている。
このほか、高校給食を導入していない町からは「食器や配膳台などの整備や、給食を上階に運ぶためのエレベーターが必要になる」(町教委職員)との指摘もあるように、学校の受入体制も整備しなければならない。
しかし、こうした壁を乗り越え、一昨年度に広尾高、昨年度に池田高が導入。いずれも保護者への負担軽減や生徒の健康増進などの一環として取り入れたが、広尾高では「導入したばかりなので、効果のほどは分からないが、高校進学を検討する際の一つの要素になれば」と期待している。
高校の魅力向上が各地域の課題となっている昨今、生徒の健康をサポートし、保護者の負担を軽減する高校給食の導入は、その解決の有効な手立てとなるのではないだろうか。
(学校 2017-12-20付)
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