札幌市教委『３０年度学校教育の重点』　授業改善の必要性示す　市立園・学校の全教職員に配布

（市町村 2018-02-23付）

重点となる施策や教育内容を提示している（クリックすると拡大表示されます）

　札幌市教委の『三十年度学校教育の重点』がまとまった。「知・徳・体の調和のとれた育ち」など四点を重点に設定。新学習指導要領で重視されている「主体的・対話的で深い学びの実現」「カリキュラム・マネジメント」「社会に開かれた教育課程」や「特別の教科　道徳」の実施に向けた授業改善の必要性を示したほか、九年間を見通した小中一貫教育や求める教員像なども記載した。市教委では、市立園・学校の全教職員のほか、私立幼稚園などの教育関係機関に冊子を配布。学校全体が一丸となった取組を求めている。

　札幌市学校教育の重点は、幼児児童生徒の発達の段階を踏まえ、学校経営や教育課程の編成および実施、生徒指導などに生かすため、特に重点となる施策や教育内容を示したもの。毎年、全教職員に冊子を配布しており、重点を踏まえ、教職員が一丸となって創意工夫を凝らした特色ある教育課程の編成・実施および学校運営などに取り組むことを期待している。

　三十年度版では、重点を「知・徳・体の調和のとれた育ち」「札幌らしい特色ある学校教育」「学校教育の今日的課題」「信頼される学校の創造」の四点を設定した。

　内容をみると、「知・徳・体の調和のとれた育ち」の中の学ぶ力の育成では、新学習指導要領で重視されている事柄として「主体的・対話的で深い学びの実現」「カリキュラム・マネジメント」「社会に開かれた教育課程」の三点を提示。課題探究的な学習の一層の充実に向けて、札幌市課題探究的な学習推進方針のほか、個に応じた手厚い指導によって学習への意欲や論理的思考力を高める算数にーごープロジェクト事業について記載している。

　また、学校と家庭が一体となって子どもの学習習慣・運動習慣・生活習慣づくりを支えるための指針「さっぽろっ子“学び”のススメ」についての活用方法を紹介している。

　「知・徳・体の調和のとれた育ち」の中の豊かな心の育成については、「特別の教科　道徳」の実施に向けた授業改善の必要性を示した。新たな不登校を生じさせないため、未然防止の取組のほか、初期段階におけるより具体的な組織的支援の手立てについても紹介。

　「知・徳・体の調和のとれた育ち」の中の健やかな身体の育成では、スポーツのもつ素晴らしさのほか、多様性を認め、ともによりよく生きようとすることの大切さを学ぶオリンピック・パラリンピック教育をさっぽろっ子“健やかな身体”の育成プランの中に位置付けた。

　「札幌らしい特色ある学校教育」では、中核となるテーマ「雪・環境・読書」について、発達段階に合わせた育ててほしい力を記載。また、子どもたちが将来、札幌をはじめとした様々な地域や国で活躍していくためには、国際的な視野をもつとともに、ふるさと札幌への思いを心にもつことが大切との考えから、ふるさと札幌の学びについての記載を充実させた。

　「学校教育の今日的課題」では、校種間連携や特別支援教育、人間尊重の教育などについて示した。様々な校種間による連携が一層重要と考え、九年間を見通した小中一貫教育のほか、市立高校生が自ら企画・運営を行う市立高校プレゼン大会も紹介している。

　「信頼される学校の創造」では、市が求める教員像を提示。「教育者として、強い使命感・倫理観と、子どもへの深い教育的愛情を、常にもち続けている教員」などとした。また、教員育成指標の活用についても記載した。

(市町村 2018-02-23付)