道小理事研 角野会長のあいさつ
(関係団体 2018-03-02付)

道小理事研角野会長
教育に関する最新の課題を伝える角野会長

 二月二十三日に開かれた道小学校長会二十九年度第五回理事研修会における角野誠会長のあいさつ概要はつぎのとおり。

          ◇          ◇          ◇

 ことし一年を振り返ると、五月の総会において道小の組織改革と会費の値上げを承認いただき、活動が順調にスタートした。そのあと、定数欠期限付教諭や産休代替教諭の未配置問題、新学習指導要領の告示に伴う外国語活動や外国語科の時数確保と日課表の問題など、様々な課題に対して、皆さんと取組を進めてきた。その一方、私たち教育界においても「働き方改革」という大きな波が押し寄せている。

 このような中、第六十回教育研究宗谷・稚内大会を成功裏に終えることができた。全道の校長に参集いただき、教育実践や教育課題を協議する貴重な場となった。宗谷校長会の皆さんの労苦に、あらためて感謝申し上げる。次年度は、いよいよ函館での全国大会が開催される。現在、函館市小学校長会の皆さんには、大会に向けた準備を精力的に行っていただいている。全道の校長の力を結集して、大会を盛り上げていきたい。

 本日の理事研修会では、教育情勢の中から、大きく四点について話をさせていただく。

 最初は、二十九年十二月二十六日に文部科学大臣から示された「学校における働き方改革に関する緊急対策」についてである。

 一つ目は「学校・教師が担うべき業務の範囲が学校現場や地域・保護者等に共有されるよう、学校や教師・事務職員等の標準職務を明確化し、各教育委員会の学校管理規則に適切に位置付けられるようモデル案を作成し、提示する」というものである。

 二つ目は「学校における働き方改革の趣旨などを分かりやすくまとめた資料を学校に提供するなど、社会への普及・啓発を進める」とある。地域・保護者から理解を得やすい資料が提供されれば、学校としても助かる。

 三つ目は「文部科学省内に教職員の業務量を俯瞰し、一元的に管理する組織を整備するとともに、学校に関する業務を所管する部署は、新たな業務を付加するような制度改正などを行う際には、当該組織と前広に調整することを基本とする」と述べていることである。ぜひ実現していただきたいものである。

 四つ目は、サポートスタッフについてである。授業におけるサポートスタッフや理科の観察実験補助員の記載がある。積極的な導入を期待したいところである。サポートスタッフについては、学習評価や成績処理に関する宿題等の提出状況の確認、簡単な漢字・計算ドリルの丸付けなどにも教師との連携の上で参画を促すとあるが、業務の効率化にのみ目が向けられ、小学校教育の現状にそぐわないと思われる点もある。

 そのほか、法的相談を受けるスクールロイヤーについてもふれられている。複雑化・長期化した保護者対応などに必要と思われる。

 大きな二点目は「学校における働き方改革の推進について」である。これは、二月十六日の全連小理事会の場において、文科省初等中等教育局企画官の佐藤人海氏から説明があった。この部分のデータについては、本日、DVDとして渡したので、活用いただきたい。ポイントだけ簡単に説明させていただく。

 一つ目は、日本の教育現場が抱える業務の範囲についてである。日本の学校が抱え込んでいる教育の範囲が諸外国に比べて、断然多いことを示している。専門スタッフの割合に関しても、アメリカやイギリスの割合が高いことが分かる。

 二つ目は、学校が抱える問題についてである。学校が抱える問題が複雑で多岐にわたっていることを示している。これを受けて、当時の馳文科大臣が立てたのが「次世代の学校・地域」創生プランである。

 三つ目は、使用者の勤務時間の把握についてである。厚生労働省が作成した労働基準法における使用者の勤務時間把握の責務について書かれている。勤務時間を正確に把握されている場合には、週の残業時間が少ないこと、年間の年休取得日数が多いこと、メンタルヘルス状況が良好なことを示している。

 四つ目は、ICTの活用についてである。ICT活用による名簿管理・出席簿・成績処理・通知表・指導要録などの業務改善の可能性が示されている。これ以外の内容について、様々な取組事例などが書かれているので、参考にしていただきたい。

 大きな三点目は、全連小常任理事会と理事研修会についての報告である。最初は、一月十八日の第九回常任理事会の会長資料から三つほど報告する。

 その一つは、デジタル教科書についてである。今後の教科書の扱いは、従来どおり紙ものを中心として使用することが確認されたとのことである。デジタル教科書は必要に応じて活用することとなったが、使用する場合の経費は、当該自治体が負担するとのことである。

 その二つは、児童生徒の学習評価に関するワーキンググループについてである。指導要録などの記載内容の負担軽減を図るために、今後、話し合いが行われ、文科省としての指針を示すとのことである。

 その三つは、プログラミング教育の指針についてである。これについては、来年秋ごろをめどに文科省から指針が示されるそうである。

 つぎに、中教審の教育振興基本計画部会のヒアリング資料として、全連小・対策部長の東京都江東区立明治小学校の喜名朝博校長がまとめた意見書である。「教員定数の改善」の部分では、なぜ長時間勤務になっているのかという全国各地の学校の現状を見事に述べている。

 「働き方改革の実現」においては「学校が取り組むべきことには限界がある」と述べている。さらに「地域間格差の是正」「子どもの貧困の解消」も主張している。「優秀な教員の確保」については、今後の大きな課題になりそうである。首都圏はもちろんのこと、北海道においても近年、教員採用試験の倍率がかなり落ちてきている。

 このように、全連小では、教育振興基本計画にかかわる部分でも意見表明を行っている。現場の意見が反映される計画であってほしいものである。

 続いて、二月十五日の第十回常任理事会の会長資料である。中教審の「学校における働き方改革に関する総合的な方策について」(中間まとめ)のポイントは「一部の学校においては、標準授業時数を大きく上回った授業時数を計画している例がみられるが、指導体制の整備が伴わないまま実施すると、教師の負担増加に直結する恐れが高い。各学校における教育課程の編成・実施に当たっては、教師の働き方改革に十分配慮すべきである」と述べていることである。このような主張に対しては「これまで学力や体力向上に励んできた学校のはしごを外すものである」という憤りの声も上がっているそうである。

 続いて、英語にかかる専科教員の加配についてである。文科省では、当初、英語の導入による専科指導の充実として三年計画のもと、年間二千二百人ずつの計六千六百人を要求していたが、標準授業時数を上回る授業時数を確保していることや児童数減少による学級数の減少を理由に、三年間で四千人の計画にとどめている。また、文科省では、専科指導による加配定数の教員の英語力の要件を四点掲げているが、全連小の会議の中では、相当ハードルが高いのではないかという懸念の声が出されていた。

 最後の四点目は、道教委の施策についてである。

 最初は「変形労働時間制の対象業務の拡大について」である。このたび「保護者等を対象とした説明会等の業務(自校の教育計画に位置付けられ公務として行うもの)」および「入学者選抜の業務」が新たに加わることとなった。この中では、割り振り結果の職員への通知について「原則として七日前(特別な事情があると認める場合は前日)まで可能とする」と記載されているところがポイントである。

 道小としては、突発的な生徒指導や問題解決のためのケース会議の開催などについても想定していただきたい旨、道教委の担当者に要望を伝えているところである。

 続いて「教育公務員特例法等の一部を改正する法律について」である。この法律の施行に伴い、教員の研修計画が一部変更となる。その一つは「中堅教諭等資質向上研修の実施について」である。改正点は「研修時期を経験十年に達した者に加え八年・九年に達した者で所属長が認めた者」としていることである。道教委では、学校運営研修会出席者の約二割が経験十年未満であることを考慮したと述べている。

 また、免許状更新講習との整理・合理化が新たな改正点である。「中堅教諭等資質向上研修」の中の「北海道の教育の現状と課題」など研修講座六時間分を、免許状更新講習の一コマとして相互認定できるようにするということである。

 このほか、道教委では、新任校長・教頭研修を札幌で行うことや教員育成指標の提示、学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」の策定など、新年度に向けた新たな取組を行うと聞いているので、今後も、このような情報を全道に提供していきたいと考えている。

(関係団体 2018-03-02付)

その他の記事( 関係団体)

道高教組が第120回定期大会開く 憲法と教育の条理に立脚 諸課題を学習し合意形成推進

道高教組定期大会  道高教組(國田昌男中央執行委員長)は三・四日、札幌市内のかでる2・7で第百二十回定期大会を開いた。「憲法と教育の条理に立脚した、子どもの〝今〟からはじめる学校づくりを目指す」ことなどを基調...

(2018-03-08)  全て読む

オホーツク高校農業教育研が教科研修会 GAP等への理解深める 道農政事務所北見から講師招く

管内教科研修会農業  【網走発】オホーツク管内高校農業教育研究会(会長・田村弘樹美幌高校長)は二月二十三日、美幌高校で教科研修会(農業)を開いた。管内で農業科を設置している美幌高、東藻琴高の教諭など二十二人が参...

(2018-03-08)  全て読む

桧山校長会が感謝状贈呈式挙行 温かい指導助言に感謝 勇退者3人の功績たたえる

桧山校長会感謝状贈呈  【江差発】桧山校長会は二月二十六日、乙部町内の光林荘で三月末に勇退する三人の校長を対象に感謝状贈呈式を執り行った。小助川浩会長が管内教育の充実・発展に貢献した三人の功績をたたえ、感謝状を贈...

(2018-03-07)  全て読む

道養護教員会が総会開く 8月に北見で研究大会 役員改選―小笠原会長を再任

 道養護教員会は二月十七日、札幌市立北白石中学校で総会を開いた。三十年度の事業計画を決定。八月に北見市で研究大会オホーツク大会を行うことを決めた。役員選出では、小笠原麻実子会長を再任した。 ...

(2018-03-06)  全て読む

札幌市中学校長会が3月例会・研修会 新会長に柏中・蛯名校長 新事務局長は中央中・橋本校長

札幌市中学校長会例会・研修会  札幌市中学校長会は二日、ホテルライフォート札幌で三月例会・研修会を開いた。三十年度の活動方針や活動の重点、各部の活動推進計画などを協議。三十年度役員選考では、新会長に札幌市立柏中学校の蛯名...

(2018-03-06)  全て読む

9月に稚内で全道大会 道特連が定期総会で決定

道特連定期総会  道特別支援学級教育研究連盟(=道特連、池田哲也理事長)は二十四日、札幌市内のかでる2・7で三十年度定期総会を開いた。九月に稚内市で全道大会を開くことなどを盛り込んだ事業計画を決定した。 ...

(2018-03-01)  全て読む

北教組石狩支部が年次大会開く 新支部長に舟崎氏選出 スローガン・運動方針決定

北教組石狩支部年次大会  北教組石狩支部(杉浦浩支部長)は二月二十三日、札幌市内の道教育会館で二〇一八年度年次大会を開いた。「平和憲法・〝47教育基本法〟の理念に基づき、〝教え子を再び戦場に送るな!〟の決意のもと、...

(2018-03-01)  全て読む

道特別支援学校長会が理事研 役員選考・宮崎会長を再任 コンプライアンス高めて

道特支理事研宮崎真彰JPG  道特別支援学校長会は二十六日、道庁別館で二十九年度第二回理事研究協議会を開いた。開会に当たってあいさつした宮崎真彰会長は「児童生徒、地域の人たちの信頼があってこその学校であることを意識して...

(2018-02-28)  全て読む

11月に40周年記念講演会 日本教育会道支部が理事研開く

日本教育会理事研  日本教育会道支部(諏江康夫支部長)は二十二日、ホテルライフォート札幌で二十九年度第三回理事研修会を開いた。十一月に札幌市内で四十周年記念講演会を開くことなどを申し合わせた。  理事研修会...

(2018-02-26)  全て読む

渡島小中学校長会が理事研修会 学校運営充実へ研鑚 7校への教育実践表彰も

渡島小中学校長会理事研修会  【函館発】渡島小中学校長会(竹嶋充会長)は九日、北斗市総合文化センターで理事研修会開いた。会員約四十人が出席。渡島教育局の西村和彦義務教育指導監が講話したほか、十月に函館で開かれる全国連合...

(2018-02-26)  全て読む