津別町の30年度教育行政執行方針 公設学習塾の通年開設検討 地域ならではのCS推進へ
(市町村 2018-03-13付)

 【網走発】津別町教委の宮管玲教育長は五日、第一回定例町議会で三十年度教育行政執行方針を説明した。津別高校振興対策として長期休業中に開講している公設学習塾について、通年開設のニーズの把握・検討を行う考えを明らかにした。また、地域全体で子どもたちを育むため、「津別だからこそできるコミュニティ・スクールの検討を始める」との方針を示した。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼自らを高め、社会を生き抜く力を育む学校教育の推進

 確かな学力を育むために、タブレット端末やプロジェクターなどのICT教育環境整備を推進し、学び手である子どもたち一人ひとりが考えをもち、話し合い、教え合い、伝え合うといった思考・発信型の授業への転換を支援する。また、学校図書館の蔵書充実や小中学生新聞の配備、「よむ日のススメ」「読書ノート」の取組を継続し、言語活動の活性化を支援する。

 豊かな心を育むために、道徳の時間はもとより、一人ひとりのよさを褒め励ます学校の全教育活動を通じてコミュニケーション力を高め、生命を大切にする心や他人を思いやる心、善悪の判断などの規範意識を身に付けさせることを重視する。

 健やかな体を育むために、こども園や小学校からのコーディネーショントレーニング出前授業など、運動指導の要請に応え、子どもたちの体力向上を支援する。

 特別支援教育については、一人ひとりの支援ニーズに応えるため、学習や生活をサポートする支援員を小学校に一人増員し、個々の能力や才能を伸ばす多様な自立支援や学習活動を充実させる。

 新学習指導要領の移行期間に入ることから、小学校では今後も引き続き、すべての外国語活動の時間に外国語指導助手を派遣し、担任とのチームティーチングによる活動の充実を支援する。

 中学生の国際交流については、台湾彰化県立二水国民中学校との相互交流事業が一巡し、三十年度は二水郷に中学生を派遣する。検証結果に基づき、さらに改善を加え、友好親善を深め、異文化にふれる体験によって国際感覚を育む。

 校種間の交流や連携を支援し、幼・小・中・高の各ステージがスムーズにつながる連続性・一貫性のある教育を目指す。特に、小・中学校間では、家庭におけるテレビやゲーム、スマホなどに興じる時間が多いことへの対応や、中一ギャップの解消および特別支援教育の連携を重視する。

 学校運営の改善については、道共同利用型校務支援システムを導入し、校務のICT化によって教職員の事務処理の効率化を図る。

▼郷土愛を育む教育の推進

 学校教育、社会教育の両面から、地域を支える産業や自然・資源を理解し、地域を誇りに思う心の醸成に努める。事業所見学や中学生、高校生の職場体験学習、各教科および総合的な学習の時間と関連した体験学習などによって、本町の魅力を実感する機会の拡大に努める。

 木育授業は、愛林の町つべつの林業や木の文化の理解を深める津別ならでの学習活動であり、林業関係者の協力を得ながら改善充実を検討する。

 学校給食では町内生産者と提携し、オール津別産食材での給食を工夫提供する。

▼安全・安心な教育環境づくりの推進

 子どもたち同士が互いのよさを認め合う教育活動を通じてコミュニケーション力を高めるとともに、各学校のいじめ防止基本方針をもとにアンケート調査などを計画的に実施し、教職員の目が行き届く教育環境づくりに努める。

 さらに、関係機関の指導協力のもと、交通事故や各種の災害、インターネットなど、社会の危険から自分自身を守る力を育む。

 開かれた学校からさらに一歩踏み出し、地域が学校を支援し、学校が地域の期待に応える、津別だからこそできるコミュニティ・スクールの検討を始める。

 津別高には、地元中学校卒業生の多くが進学する。より多くの地元中学生に選択される高校となるよう、教科書代や制服購入費、各種検定料の補助、国公立大学入学一時金の給付等の各種支援を継続する。

 公設学習塾については、さらに希望者が増えることを想定し、継続開催していく。町内在住で津別高以外に通学している生徒も受講対象とし、津別高振興対策に主眼を置きつつ、将来の通年開設のニーズも把握・検討する。

▼愛情と地域連携で育む家庭教育の推進

 親子が一緒に参加できる体験活動の参加奨励など、家庭教育の充実を図る。特に、テレビやゲームの時間を少し削って読書活動に振り分ける「よむ日のススメ」を学校や公民館図書室と連携して働きかける。乳幼児へのブックスタートに加え、就学予定児童にも絵本をプレゼントし、読み聞かせや読書といった家庭における言語環境の整備や、幼児家庭教育学級の自主的活動を引き続き支援する。

 子どもたちが放課後や土曜日、長期休業中の時間を安心かつ有意義に過ごせるよう、力いっぱい遊ぶ場としての児童館だけではなく、ほっと一息つける憩いの場としての児童館となるよう努める。地域の人材の積極的な活用やこども芸術劇場の開催、土曜日開催の体験活動アソビバとの連携など、心を耕す事業内容の充実によって、自主性や社会性の向上や基本的な生活習慣の定着を図る。

(市町村 2018-03-13付)

その他の記事( 市町村)

北斗市の30年度教育行政執行方針 特別支援学習支援員を増員 2ヵ年で全小中にタブレット導入

北斗市教委永田裕  【函館発】北斗市教委の永田裕教育長は、六日開会の第一回市議会定例会で三十年度教育行政執行方針を説明した。社会で生きていく実践的な力を育成するため、三十一年度までに全小・中学校でタブレット端...

(2018-03-13)  全て読む

札幌市の有形文化財 旧札幌控訴院を指定

旧札幌控訴院  旧札幌控訴院(現・札幌市資料館)が八日、札幌市有形文化財に指定された。建造物の指定文化財としては、昭和五十九年に指定された「旧黒岩家住宅」以来、三十四年ぶりの指定となった。  同館は大正...

(2018-03-13)  全て読む

札幌市教委など オリパラ教育推進事業報告会開く 推進校の実践成果を共有 国際パラ委公認教材の研修も

オリパラ教育推進事業報告  札幌市教委などは六日、市内WEST19でオリンピック・パラリンピック教育推進事業報告会兼パラリンピック教育研修会を開いた。市内小・中学校、特別支援学校の教職員二十六人が参加。オリパラ教育実...

(2018-03-13)  全て読む

積丹町30年度予算案 学校教育推進に1391万円

 【小樽発】積丹町は一日、三十年度予算案を発表した。一般会計は前年度当初比二・六%減の二十七億千八百十一万円。うち、教育費は二・七%増の二億一千百六十二万円となった。主なものでは、学校教育推...

(2018-03-13)  全て読む

余市町30年度予算案 東中の屋上防水に1400万円計上

 【小樽発】余市町は二月下旬、三十年度予算案を発表した。一般会計は前年度当初比四・六%増の八十六億四千万円。うち、教育費は一一・一%減の六億一千二十四万円となった。  主なものでは、中央公...

(2018-03-13)  全て読む

札幌市教委が1年次宿泊研修廃止 負担軽減へ1日日程に 別日で保護者対応研修など

 札幌市教委は三十年度、一泊二日の日程で実施していた初任段階における研修(一年次研修)の宿泊研修を一日日程で実施することとした。宿泊を伴わないことで教員の負担軽減を図るもの。研修では、野外炊...

(2018-03-13)  全て読む

長沼町の30年度予算 児童館整備に4.4億円 小学校統合へ児童交流事業

 【岩見沢発】長沼町の三十年度予算が決定した。一般会計は前年度当初比〇・九%増の八十一億一千万円。うち、教育費は、九・四%増の十億五千五百万円となった。  新規事業をみると、小学校統合関係...

(2018-03-13)  全て読む

砂川市の30年度予算案 プログラミング教室を開催 新たにALTを配置

 【岩見沢発】砂川市は二月下旬、三十年度予算案を発表した。一般会計は前年度当初比二・九%減の百十七億七千五百万円。うち、教育費は三八・四%減の七億八千五百万円となった。町営野球場改修の終了が...

(2018-03-13)  全て読む

芽室町の30年度教育行政執行方針 外国語指導助手を増員 少人数学級を小5・6年に拡大

1芽室町武田孝憲  【帯広発】芽室町教委の武田孝憲教育長は二日、町議会三月定例会において三十年度教育行政執行方針を説明した。小学校の外国語活動について「新学習指導要領への移行を円滑に進められるよう、外国語指導...

(2018-03-13)  全て読む

教育研究実践表彰・学校文化活動奨励賞 帯広市教委 2団体・2個人を選出 取組の成果たたえる

 【帯広発】帯広市教委は、二十九年度教育研究実践表彰および学校文化活動奨励賞の受賞者を決定した。教育研究実践表彰において、団体では啓西小学校(小林寛佳校長)、個人では明星小学校の片山剛教諭が...

(2018-03-13)  全て読む