通常学級の要支援児童生徒等調査―道教委まとめ 要支援者が小学校で大幅増 発達障がいへの理解浸透で(道・道教委 2018-03-16付)
道教委は、二十九年度「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒等に関する調査」の結果をまとめた。校内委員会において、特別な教育的支援が必要と判断した児童生徒(以下、要支援者)が「いる」と回答した学校の割合は、前年度比六・〇ポイント増の六六・八%。要支援者数は一千七百九十三人増の一万一千二百三人で、特に小学校で大きく増加。道教委では「発達障がいへの教職員の理解が深まり、支援が必要かどうかを見極める力が学校に備わっている」と分析している。「個別の指導計画」を作成している割合は、要支援者全体の九〇・六%。三・一ポイント減少した。「個別の教育支援計画」では、四二・一%と六・〇ポイント増加した。
要支援者の在籍状況や支援状況などの実態を把握し、特別支援教育の施策を検討する基礎資料とするため、二十五年度から継続して実施しているもの。
調査対象は、札幌市を除く道内の公立幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高校、中等教育学校など一千六百九十校・園。幼児児童生徒数は三十三万三千百四十七人。
本年度から新たに、公立認定こども園、調査への協力を表明した私立幼稚園も対象に加え、対象幼児数は三倍以上となった。また、新規に調査項目を追加したほか、項目を細分化した。
調査の実施期間は昨年十一月からことし一月。校内委員会の構成、特別支援教育コーディネーターの指名状況と活動状況、校内研修の状況、要支援者の学習・生活面での困難な状況や支援状況などを調査した。
▼実態把握
要支援者の状況の調査結果をみると、校内委員会において特別な教育的支援が必要と判断した児童生徒が「いる」と回答した学校の割合は六六・八%(前年度六〇・八%)。要支援者数は、全校種合わせて一万一千二百三人(同九千四百十人)。
特に、小学校が八千四百二十二人(同六千九百七十二人)と大きく増加。在籍者数に占める割合は五・五%(同四・五%)となっている。道教委では「発達障がいへの教職員の理解が深まり、支援が必要かどうかを見極める力が学校に備わっている」と分析している。
▼要支援者の状況
通級による指導を受けている要支援者は、小学校が九・四ポイント増の四六・三%、中学校が〇・五ポイント増の一二・五%。
要支援者のうち、障がいの診断がない児童生徒の割合は七八・六%(同七六・四%)とやや増加している。
校内委員会で要支援者と判断した理由では「知的な遅れはないが、発達の状態による学習面や行動面の困難があるため」が九・三ポイント増の八三・〇%だった。
要支援者の困難な状況をみると「全体への指示や説明を聞いて理解することが難しい」四八・一%、「気が散ることが多い」四一・六%、「自分が分からない状況や困っていることを相手に伝えることが難しい」三九・一%などが多く挙げられた。
▼個別の指導計画
教育課程や指導計画、個別の教育支援計画を踏まえ、一人ひとりの教育的ニーズに対応する指導目標、指導内容・方法などを盛り込んだ「個別の指導計画」を作成している割合は、要支援者全体の九〇・六%で、前年度より三・一ポイント減少した。
活用状況(複数回答)をみると「進級や進学時の引継に活用」九九・六%、「校内委員会やケース会議(支援会議)で活用」八三・〇%、「指導や支援の結果を記録し通知票などの評価に活用」六九・〇%など。
▼個別の教育支援計画
関係機関との連携を図り、長期的な視点から一貫した支援を行うため、障がいのある幼児児童生徒一人ひとりについて作成した「個別の教育支援計画」を作成している割合は、要支援者全体の四二・一%と前年度から六・〇ポイント増加した。
作成していない場合の理由では「保護者の同意が得られないため」が五四・一%で、前年度より一二・九ポイントと大きく減少した。道教委では理由として、校内研修用資料での保護者の同意に関する項目の記載、就学事務担当者研修における説明などを挙げている。
活用状況(複数回答)をみると「就学時、学校間、卒業後の就労先の引継に活用」九九・一%、「校内委員会やケース会議(支援会議)で活用」八二・三%、「個別の指導計画、年間指導計画、学習指導案等の作成に活用」七〇・八%などで、いずれも前年度より増加した。
(道・道教委 2018-03-16付)
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