天塩町30年度教育行政執行方針 ICT機器の導入検討 遠隔指導で部活動を支援
(市町村 2018-03-27付)

天塩町野崎浩宜
天塩町教委・野崎浩宜教育長

 【留萌発】天塩町教委の野崎浩宜教育長は、三月上旬の第一回町議会定例会で三十年度教育行政執行方針を説明した。新学習指導要領の実施を見据え、ICT機器の導入やネット環境の整備を検討するほか、地域に在住する外国語指導助手の積極的な活用、遠隔指導による部活動支援などを進めていく考えを示した。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼学力向上の推進

 小・中学校の校長と教頭で組織している町学力・学習状況調査研究所では、学力調査などの結果の分析に基づいた課題共有によって、検証改善サイクルを確立させ、児童生徒の学力向上と教員の指導力向上の取組を継続的に進めている。

 各学校では家庭学習の定着を図るとともに、個に応じた習熟度別学習や振り返り学習を行っており、夏季・冬季休業期間には、児童生徒の基礎学力・学習意欲の向上対策として、町学習サポート推進委員会によって、子どもたちの学びをサポートする学習サポート教室を実施している。

 放課後には放課後学習塾として補充指導を実施し、児童生徒一人ひとりの学習状況に応じた学力向上の取組を進めている。

 このように、子どもたちの学習意欲を高めるとともに、自立した生き方を支える基礎的・基本的な知識・技能の習得と学習習慣の確立、学び方を身に付けさせ、確かな学力の向上に努めていく。

▼教育環境の整備充実

 新学習指導要領では、プログラミング教育が新たに位置付けられ、前年度から導入している人型ロボットPepperを活用したプログラミング教育を引き続き実施していく。

 ICT機器の利活用は、教育の質の向上や教員の事務的負担軽減のほか、児童生徒数の減少に伴う教員減少を補うためのツールとしての活用や、子どもたちの学習のパフォーマンスを上げることも期待できる。今後、新学習指導要領を見据え、タブレット端末などのICT機器の導入やネット環境の整備を検討していく。

 学力の現状と学校教育での指導の現状を踏まえ、学校教育現場の外から教育援助をする公設民営塾の開設について検討を進める。

▼特別支援教育の充実

 特別支援教育については、一人ひとりの障がいの状態・特性などを十分配慮して発達段階に応じた適切な指導や支援を行うため、小・中学校に配置された教育支援員を活用し、特別支援学校や医療、福祉機関、家庭などとしっかり連携し、専門的な知識や技能を共有するなど、よりよい状態で教育できるよう指導や支援に努めていく。

 障がいのある子どもが地域の学校で一人ひとりの教育的ニーズに応じた支援を受けることができるよう、関係機関と連携し、障がい児に対するインクルーシブ教育の推進に努めていく。 

▼外国語教育の充実

 新学習指導要領では、小学三年生から外国語活動が始まり、小学五年生からは教科としての英語を受けることとなる。小学校、中学校では、すべての領域において「英語を使って何ができるようになるか」という観点から学校での教育目標を示すことになる。

 これらの状況も踏まえ、早い時期から基礎的な語学力を身に付けることができるよう、地域に在住する外国語指導助手を積極的に活用した授業への取組を図る。また、教職員の語学力の向上を目指した研修会への参加を積極的に進め、社会教育施策を実施することで外国語教育の充実に努める。

▼体力、運動能力の向上

 二十九年度から小学校に体育専門の教員が配置され、体力・運動能力調査の結果を踏まえた体力向上を図るための授業を実践している。

 併せて、子どもたちが楽しみながら体力づくりに取り組むことができるよう、ダンス教室、天塩小学校のクライミングウォールの活用や、歩くことを含めた生活習慣の定着と学校や家庭、地域が一体となって体力向上に努めていく。

 ICT機器を活用して、知識や経験が豊富な外部指導者による、オンライン動画での遠隔指導による部活動支援を行い、少年団活動の支援にも努める。

▼地域に開かれた教育の振興

 各学校では、広く住民の意見を取り入れ地域に開かれた学校づくりを推進していく。学校評議員制度を活用しながら学校・家庭・地域が連携を図り、学びを通じたコミュニティの形成を積極的に進め、特色ある教育課程の編成と実施に努めていく。 

 地域の住民が学校経営に参画するコミュニティ・スクールは、啓徳小学校では二十八年度に指定され、実施しているが、天塩小と天塩中学校は本年度の設置を目指す。

 学校だよりの発行や地域参観日を設定して授業を広く公開するなど、地域に開かれた教育の振興に努めていく。

▼教職員の資質向上・研修の充実

 新学習指導要領の趣旨を生かした授業を展開するには、教職員が新教材や指導法について十分理解する必要がある。今後、教職員が自ら課題をみつけ、自ら学ぶことをバックアップし、各種研修会などへの参加を積極的に進めていく。

(市町村 2018-03-27付)

その他の記事( 市町村)

札幌市子ども未来局 若者の社会的自立促進事業を新たに実施 地域発で教育格差解消へ 学力習得目指し支援・相談

 札幌市子ども未来局は三十年度、若者の社会的自立促進事業を新たに実施する。高校中退者などを対象に、高校卒業程度の学力習得を目指す学習支援・相談を行うもの。現在、文部科学省の学びを通じたステッ...

(2018-03-28)  全て読む

小平町の30年度教育行政執行方針 ICT機器を計画的に整備 農業・漁業など体験学習支援

 【留萌発】小平町教委の仙石景章教育長職務代理者は、三月上旬の第一回町議会定例会で教育行政執行方針を説明した。新学習指導要領においてICT環境設備の必要性が明記されたことを受け、機器の計画的...

(2018-03-28)  全て読む

芦別市30年度教育行政執行方針 CS31年度導入へ準備 小中一貫教育の実現目指す

芦別市福島修史  【岩見沢発】芦別市教委の福島修史教育長は三月上旬、市議会定例会で三十年度教育行政執行方針を説明した。三十一年度からのコミュニティ・スクールの導入に向けて準備を進めていくことを表明。小中連携...

(2018-03-28)  全て読む

占冠村30年度教育行政執行方針 小中連携教育を発展 CS体制の整備さらに促進

占冠村藤本武  【旭川発】占冠村教委の藤本武教育長は、三月上旬の第一回村議会定例会で三十年度教育行政執行方針を説明した。占冠中央小学校と占冠中学校による小中連携教育を発展させていくとともに、村内の全学校に...

(2018-03-28)  全て読む

江差町30年度教育行政執行方針 江差中校区でもCS導入 江差北中校区の小中連携強化

江差町太田誠  【函館発】江差町教委の太田誠教育長は、三月上旬の定例町議会で三十年度教育行政執行方針を説明した。江差北中学校区で小中連携を強化し、学校運営協議会の活動充実・発展を目指していくことを表明。江...

(2018-03-27)  全て読む

外国人英語講師1人増員 清里町の30年度教育行政執行方針 小中に校務支援システム導入

清里町岸本幸雄  【網走発】清里町教委の岸本幸雄教育長は三月中旬の第一回定例町議会で三十年度教育行政執行方針を説明した。国際理解教育の推進に向け、外国人英語講師を一人増員。新学習指導要領への対応や、日常的に...

(2018-03-27)  全て読む

札幌市教委の30年度教育方針概要(上)

 札幌市教委の三十年度教育方針説明会(三月一日付1面既報)で、引地秀美学校教育部長、和田悦明児童生徒担当部長、檜田英樹教職員担当部長、山根直樹生涯学習部長が所管事項について説明した。概要を連...

(2018-03-27)  全て読む

1定札幌市議会予算特別委(30年3月19日)

 十九日の札幌市議会第一回定例会第二部予算特別委員会(スポーツ局)で、教育に関する質疑が行われた。 ◆ウインタースポーツ塾 実施事業を拡充し夏季休業中も開講へ  ウインタースポーツ塾につ...

(2018-03-27)  全て読む

新冠町の30年度教育行政執行方針 学習支援員を全校に配置 小中一貫教育、具体的検討へ

新冠町山本政嗣  【浦河発】新冠町教委の山本正嗣教育長は、三月上旬の第一回町議会定例会で三十年度教育行政執行方針を説明した。習熟度に合わせたきめ細かな指導を行うため、学習支援員を全校に配置することを表明。学...

(2018-03-27)  全て読む

岩内町の30年度教育行政執行方針 31年度CS導入へ準備 ICT活用した授業を充実

岩内町吉田勲  【倶知安発】岩内町教委の吉田勲教育長は、三月上旬の第一回町議会定例会で三十年度教育行政執行方針を説明した。三十一年四月のコミュニティ・スクール(CS)導入に向けた準備や義務教育学校の実現性...

(2018-03-27)  全て読む