厚岸町の30年度教育行政執行方針 ふるさとを思う心育成 小中9年間で防災教育推進
(市町村 2018-04-05付)

厚岸町教委酒井裕之
厚岸町教委・酒井裕之教育長

 【釧路発】厚岸町教委の酒井裕之教育長は、三月上旬の町議会定例会で三十年度教育行政執行方針を説明した。『厚岸町版津波防災教育のための手引き』を活用した小中九年間の防災教育によって防災意識を高めていくほか、地域の教育力を最大限に生かした教育活動を通して、ふるさと厚岸を大切に思う心を育てていくことを示した。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼確かな学力の育成

▽学力向上に向けた授業改善と個に応じた指導の充実

 学習指導要領に示された内容が子ども一人ひとりの主体的な学びを通じて、分かった、できたと実感できるよう、各学校において組織的な授業改善を継続していく。各教科の指導に当たっては、習熟度別少人数指導や複数の教員が役割を分担しながら授業を行うチーム・ティーチングなど、個に応じた効果的な指導の充実に取り組んでいく。

 さらに、各種学力調査結果の分析から課題となる観点や領域を明らかにし、授業改善や学習習慣の確立を通して基礎学力の定着と活用力の育成を図っていく。

▽外国語教育の充実

 小・中学校ともに、外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方の育成がさらに重視されることから、町内の教員に対し外国語教育研修会への参加を促すとともに、三十年度も二人のALTを小・中学校に派遣し、外国語によるコミュニケーション能力の基礎を養っていく。

▼豊かな心の育成

▽郷土の歴史・文化・産業・施設を生かしたふるさと教育の推進

 厚岸音頭は市中パレードへの参加から児童生徒へ一定の普及が図られているが、そのほかの郷土の伝統文化を継承するとともに、厚岸町が有する豊かな自然、多様な産業、特色ある教育・文化施設を積極的に活用し、地域の教育力を最大限に生かした教育活動を通して、ふるさと厚岸を大切に思う心を育んでいく。

▼健康な体の育成

▽家庭と連携した児童生徒の生活習慣の改善および情報端末機器等の適切な利用の啓発

 全国学力・学習状況調査、全国体力・運動能力等調査のほか、町独自のアンケート調査の結果・分析をもとに望ましい生活習慣の確立を図るため、積極的に情報提供に努めていく。

▽学校給食の充実

 学校給食を一層楽しんでもらうため、地元の伝統的な料理や全国各地の郷土料理、食育の授業で児童生徒が考案した料理など、工夫を凝らした給食の提供や、セレクト給食を実施し、食への興味・関心を深めるよう努めていく。

 さらに、多機能加熱機器のスチームコンベクションオーブンを更新し、幅広い献立対応と迅速で正確な調理によって、学校給食のさらなる充実を図っていく。

▼信頼される学校づくり

▽コミュニティ・スクール事業の推進

 これまでのPTAや学校評議員の機能に、地域や関係団体などの協力を得て学校運営協議会を組織していく。児童生徒の健やかな学校生活を保障していくために保護者・教職員・地域関係者・教育委員会が連携して、学校や地域の実態に応じた活動を計画・推進していく。

▼安全教育の推進

▽防災および安全に関する教育の充実

 子どもたちの命を守ること、そして、子どもたちに生きぬく力を育むことは学校教育における最大の責務。『厚岸町版津波防災教育のための手引き』を活用した小中九年間の防災教育を通し、状況に応じて自ら判断し行動する危機回避能力を身に付けさせるとともに、高い防災意識をもたせるよう努めていく。

▼今日的教育課題への対応

▽環境教育の推進・充実

 学校における環境教育を充実させるため、豊かな環境を守り育てる基本計画と連携し取組を進めていく。学校版マネジメントシステムの認定を受け、学校での実践を家庭・地域へ広げていく実践的持続型の環境教育を推進していく。

 また、厚岸の自然環境や施設を活用した教育活動を積極的に推進するとともに、町環境教育推進委員会との連携のもと、小・中・高校にわたる環境教育の充実に努めていく。

▽ICT教育の推進

 二十八年度に太田小学校と太田中学校に導入した教育用携帯型情報端末の授業活用における教育効果の検証を継続するとともに、その成果と有効性を町内の学校に広く周知していく。

 また、情報技術の進歩に対応した学校教育の充実に向け、教員のICTに関する研修の推進と環境整備に努めていく。

▽キャリア教育の充実

 地域の人材や町内企業の協力を得ながら、小学校においては従来の施設や職場見学に加えて、町内企業から講師としてゲストティーチャーを招き、就業に至るまでの目標設定や努力の講話を依頼していく。

▽学校における読書活動の充実

 三十年度は、真龍小学校に非常勤の学校司書を配置し学校図書館の効果的な活用とその役割検証を進めていく。

▼教育環境の充実および支援

▽適切な教育環境を提供するための施設等の維持管理と整備

 三十年度は、老朽化したスクールバス一台を更新して通学環境の整備に努めていく。

(市町村 2018-04-05付)

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