30年度十勝管内教育推進の重点 十勝局が管内公立高校長等会議開く 十勝らしい学びを実現へ 不退転の決意で学校経営に
(道・道教委 2018-04-27付)

十勝局管内公立高校長等会議
参加者は自校の学校経営の充実につなげようと説明に耳を傾けた

 【帯広発】十勝教育局は二十日、幕別町内の十勝教育研修センターで三十年度管内公立高校長・特別支援学校長会議を開いた。大橋則之局長が本年度の管内教育推進の重点を説明。「社会で活きる力の育成」「豊かな人間性と健やかな体の育成」「学びを支える家庭・地域との連携・協働」「学びをつなぐ学校づくりの実現」「学びを活かす地域社会の実現」「十勝らしい一人ひとりの学びの実現」の六点を提示し、具体的な取組を進め、自校の学校経営につなげるよう求めた。

 

 管内教育推進の重点はつぎのとおり。

【国・道の教育施策の動向】

 これからの社会は、IoTやビッグデータ、人口知能をはじめとする急速な技術革新や、グローバル化の一層の進展などによって、大きく変化することが予想され、次を担う子どもたちには、こうした社会の変化に主体的に向き合いながら、自らの可能性を発揮し、未来を切り開く力を身に付けていくことが求められている。

 こうした中、本年度は小・中学校において新しい学習指導要領の移行措置期間となるが、高校においても社会に開かれた教育課程の理念に基づいた教育課程編成・実施の準備をする必要がある。

 また、本道が「北海道」と命名されてから百五十年という節目の中、道教委では、子どもたちがふるさとへの誇りと愛着をもち、世界に視野を広げ、多様性を尊重し、ともに支え合いながら、将来の北海道を支えるたくましい人材に育っていくことができるよう、本道教育の基本理念や目標、施策の方向性などを定めた新しい教育計画を策定した。

 こうした国や道の動向を踏まえ、①確かな学力、豊かな心、健やかな体の調和の取れた育成②家庭や地域の協力を得た十勝らしい教育の充実―を管内教育推進の二つの基本的な考え方として、校長の皆さんとの連携を一層深め、教育施策を推進していく。

【十勝管内教育推進の重点】

▼社会で活きる力の育成

 公教育を担う学校には、子どもたちに社会で生きる力を確実に身に付けさせるため、学校全体で教育の質を向上させ、社会にはばたく力を身に付けさせることが求められている。

 学校全体で教育の質を向上し、社会にはばたく力を身に付けさせることができるよう、本年度、特に取り組んでいただきたいことを二点申し上げる。

 一点目は「学校全体で教育の質を向上する」である。

 このことについて、二項目申し上げる。

 「社会に開かれた教育課程の実現」について。

 よりよい学校教育を通じて、よりよい社会をつくるという目標を学校と社会とが共有し、連携・協働しながら学校教育の質を高めていくためには、社会に開かれた教育課程を実現する必要がある。

 教育局としては、教育局長・次長・主幹・高校教育指導班による役割を明確にした継続的・計画的な指導助言、新学習指導要領の趣旨を踏まえた教育課程の編成・実施に向けた支援、組織的な取組を促進するための十勝教育局独自のミドルリーダー研究協議会の開催などに取り組んでいく。

 各学校においては、学校の教育目標や教育課程の編成方針を地域や家庭と共有する取組、主体的・対話的で深い学びの視点を具現化する授業改善の推進、学校評価の複数回実施など、短いスパンとスピード感をもって学校運営を見直す取組をお願いする。

 「検証改善サイクルに基づく組織的な学力向上の取組」について。

 学力向上の取組を組織的に進めていくためには、子ども一人ひとりの学習状況を適切に把握し、指導の改善に生かすとともに、教育活動による成果を組織的に検証し、その姿を保護者と共有していく必要がある。

 教育局としては、学力の向上を図る道学力向上実践事業や各種研究指定事業の成果の普及、教員の指導力向上に向けた教員研修の充実などに取り組んでいく。

 各学校においては、学力テスト、定期テストなどの分析による成果と課題の明確化、学習内容の確実な定着を図る習熟度別指導・少人数指導やTTによる指導の改善・充実、授業評価を活用した組織的、計画的な授業改善をお願いする。

 二点目は「社会にはばたく力を身に付けさせる」である。

 このことについて、二項目申し上げる。

 「地域の未来を担うグローバルな人材の育成」について。

 変化の激しい社会を生きる子どもたちには、これまで以上に地域の未来を担う人材を育成するという観点を明確にし、ふるさとへの誇りと愛情をもち、新しい時代を切り拓く資質や能力を身に付けた子どもを育成する必要がある。

 教育局としては、グローバル人材育成キャンプ(道東)の実施、高校英語力向上事業の成果の普及による授業改善の推進、小中高の学校間の連携と学びの接続を図るふるさとキャリア教育の推進などに取り組んでいく。

 各学校においては、グローバル人材育成キャンプへの積極的な生徒への参加の働きかけ、高校英語力向上事業の成果を活用した各高校における授業改善をお願いする。

 「子どもの教育的ニーズに応じた特別支援教育の推進」について。

 子どもたちがよさや可能性を伸ばし、社会で自立していくことができるようにするためには、これまで以上に子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導の一層の充実を図るとともに、就学から就労まで切れ目のない一貫した指導や支援体制を充実させる必要がある。

 教育局としては、通級指導の充実に向けた教育課程の編成や指導の在り方についての指導助言、特別支援教育コーディネーターを対象とした研修会の実施などに取り組んでいく。

 各学校においては、一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導や支援を行うための校内組織の整備、特別な配慮が必要な生徒および通級による指導を受けている生徒について、合理的配慮を明記した個別の指導計画および個別の教育支援計画の作成をお願いする。

▼豊かな人間性と健やかな体の育成

 子どもたちの健やかな成長のためには、豊かな人間性を育むとともに、充実した人生を送るための基盤となる健康でたくましい体をつくることが大切である。

 豊かな人間性と社会性を育み、健康でたくましい体をつくることができるよう、本年度、特に取り組んでいただきたきたいことを二点申し上げる。

 一点目は「いじめやネットトラブル、不登校の未然防止、早期発見・早期解消の取組の充実」について。

 すべての子どもが安心して学校生活を送り、自己実現を図るためには、学校が家庭・地域との連携を深め、共通の認識をもって、いじめの未然防止の取組や児童生徒理解を進めていく必要がある。

 教育局としては「いじめを見過ごさない子どもを育てる」をテーマとする管内地域いじめ問題等対策連絡協議会の取組の推進、十勝教育を考えるつどいにおける、どさんこ☆子ども地区会議や十勝いじめ根絶強化月間(十一~十二月)と連動したいじめ防止の取組の推進、教育相談やネットトラブルの未然防止などに向けた取組への支援、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの派遣などに取り組んでいく。

 各学校においては、道の基本方針を踏まえた学校のいじめ防止基本方針の見直しと対策組織の活用、いじめについて考える授業や児童会・生徒会が主体となった活動などを位置付けたいじめ未然防止プログラムの改善・充実、十勝いじめ根絶強化月間(十一~十二月)の取組の推進、インターネット上のいじめや不適切な行為を防止するための指導の充実、関係機関と連携した不登校児童生徒の支援をお願いする。

 二点目の「健康でたくましい体をつくる」では、「心身の健やかな成長を促す教育の充実」について。

 健康でたくましい体をつくるためには、子どもたち一人ひとりが自分の体力の伸びを実感するとともに、その成果を保護者と共有していく組織的な体力向上の取組を推進するなど、心身の健やかな成長を促す教育を充実する必要がある。

 教育局としては、体力向上ボトムアップ事業における運動プログラムを活用した授業改善と教員研修の実施、健康指導の充実に向けた献血事業やがん教育の推進などに取り組んでいく。

 各学校においては、学校経営方針やグランドデザインに基づく、体力向上や心身の健康保持に向けた組織的な取組の推進、指定事業などの成果を活用した各高校における授業改善をお願いする。

▼学びを支える家庭・地域との連携・協働

 子どもたちが様々な人々とかかわり、多様な経験を重ねながら、たくましく成長していくためには、学校はもとより、家庭や地域社会が教育の場として子どもの学びを支えることが大切である。

 そのため、家庭や地域と連携して子どもの学びを支えることができるよう、本年度、特に取り組んでいただきたきたいことを二点申し上げる。

 一点目は「家庭と連携して子どもの学びを支える」について。

 子どもの学びを確かなものとするためには、学校教育と家庭が連携し、学習習慣や読書習慣、生活習慣を確立することが大切である。そのため、学校での取組の充実を図るとともに、家庭教育を地域で支援する社会教育を充実し、家庭の教育力を高める必要がある。

 教育局としては、小・中学校の児童生徒を対象としたネット利用や生活習慣の確立に向けた事業の推進、小中学生の保護者を対象とした学習会、研修会の充実に取り組んでいく。

 各学校においては、小・中学校における指導や取組の継続、生徒自らが望ましい生活習慣の確立に取り組む指導の工夫・改善をお願いする。

 二点目は「地域と協働して子どもの学びを支える」について。

 地域全体で子どもたちの成長を支えるためには、学校運営の改善・充実はもとより、地域の方々の幅広い参画が必要である。そのため、社会教育の充実を通して、地域の教育力を高める必要がある。

 教育局としては、コミュニティ・スクール導入推進のための推進協議会の開催と学校のニーズに応じた支援などに取り組んでいく。

 各学校においては、校種間・学校間の連携・地域連携を推進する校務運営体制の整備をお願いする。

▼学びをつなぐ学校づくりの実現

 学校が保護者や地域住民の期待に応え、子どもたち一人ひとりの力を最大限に伸ばすためには、各校種間の連携・接続を図りながら、子どもの学びをつなぎ、信頼される学校をつくることが大切である。

 そのため、本年度、特に取り組んでいただきたきたいことを二点申し上げる。

 一点目は「子どもの学びをつなぐ」である。このことについて、二項目申し上げる。

 「校種間の学びをつなぐ取組の充実」について。

 子どもの学びをつなぐためには、学校段階の特徴を踏まえ、目指す子どもの姿を共有するとともに、指導方法や検証方法等の工夫改善に努めるなど、校種間の学びをつなぐ取組を充実させる必要がある。

 教育局としては、地域の子どもを育成するための道立学校と市町村教委との連携の促進などに取り組んでいく。

 各学校においては、小・中学校との授業連携などの取組をお願いする。

 「子どもの安全を確保する取組の充実」について。

 子どもが安全に、安心して学び続けることができるようにするためには、学校や地域における安全教育を充実させ、生徒が自然災害を正しく理解し、自らの的確な判断のもとで、危険を回避する能力を育成するなど、子どもの安全を確保する取組を充実させる必要がある。

 教育局としては、交通安全、防犯、防災にかかわる学校安全教室の開催と、道実践的安全教育モデル構築事業の成果の普及などに取り組んでいく。

 各学校においては、学校安全計画や危機管理マニュアルなどの諸計画の見直しと改善、安全マップの作成や防犯教室の実施など、生徒の危機対応能力を育成する取組をお願いする。

 二点目は、「信頼される学校をつくる」である。このことについて、三項目申し上げる。

 「信頼の基盤となる服務規律の保持・徹底」について。

 管内では、教員によるわいせつ事故、体罰、交通違反、飲酒運転が疑われる事故など学校教育の信頼を失う事案が依然として発生しており、不祥事をゼロにするため、一層の服務管理と服務規律の保持・徹底を図る必要がある。

 教育局としては、管内コンプライアンス会議(五月)を早期に開催し、年間を通した取組の徹底などに取り組んでいく。

 各学校においては、教育公務員としての自覚を促す指導の徹底、透明性の高い指導体制の確立など、不祥事の未然防止に向けた取組のための職場研修の継続的、反復的な実施、教育活動上の課題や兆候を見逃さない管理職の取組と教職員相互のチェック機能の強化、若手・期限付教員を対象とした研修会の充実、学校職員人事評価制度を活用した個別指導の実施をお願いする。

 「十勝の教育を発展させる人材の育成」について。

 管理職の大幅交代期を迎えた中、今後の十勝教育の発展、将来の学校運営を担う優れた人材を育成するため、主任層を学校運営に積極的に参画させるとともに、学校における働き方改革を確実に推進する必要がある。

 教育局としては、中堅教員に対するスクールリーダーの研修会の計画的な開催、ミドルリーダー層の教員を研修会などでの発表者として積極的に活用、十勝教育局独自のミドルリーダー研究協議会の開催などに取り組んでいく。

 各学校においては、実態に応じた校務運営組織の積極的な検討をお願いする。

 「管内教育の活性化を図るブロック間異動の促進」について。

 人事異動の趣旨を周知し、それぞれの教職員が新しい所属においても、高い使命感をもって職務にまい進できるよう、適正な人事交流を推進する必要がある。

 教育局としては、各学校における個々の教職員の専門性や指導力、役割等の把握などに取り組んでいく。

 各学校においては、学校職員人事評価制度を活用した人材育成と、教職員のキャリアアップの視点をもった人事異動の推進をお願いする。

▼学びを活かす地域社会の実現

 学びを生かす地域社会を実現するためには、道民の潤いのある生活と活力ある地域づくりを推進することが大切である。

 このため、地域での多様な学びを推進する社会教育の充実を図り、生涯を通じて学び、その成果を生かせる環境をつくる必要がある。

 教育局としては、道民カレッジ連携講座への登録の促進などに取り組んでいく。

 各学校においては、道民カレッジ連携講座への登録の促進、社会教育に対する貢献をお願いする。

▼十勝らしい一人ひとりの学びの実現

 最後に、すべての重点に共通する取組として、十勝らしい一人ひとりの学びを実現するために、管内の学校、家庭、地域、行政機関、教育団体などが一体となった「十勝教育の日」の趣旨を生かした取組の推進に努め、「十勝はひとつ子どもたちのために」の機運を一層高めていく。

 教育局としては、十勝教育を考えるつどいにおける、どさんこ☆子ども地区会議の充実などに取り組んでいく。

 各学校においては、学力向上にかかわる小中高連携、いじめの未然防止にかかわる地域との連携、ふるさとキャリア教育の推進にかかわる学校間、地域や企業、市町村との連携をあらためてお願いする。

【むすびに】

 本道が「北海道」と命名されて百五十年という節目の中、この地に生きる私たちには、先人が積み重ねた歴史を振り返り、託された貴重な財産を受け継ぐとともに、新しい価値を創造し、この先の未来に引き継いでいく責務がある。

 一校を預かる校長の皆さんには、次代を担う子どもたちが十勝の輝く未来を築き、幸福な人生を歩んでいくことができるよう、不退転の決意で、学校経営にまい進することを期待し、管内の重点の説明を終わらせていただく。

(道・道教委 2018-04-27付)

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