30年度後志管内教育推進の重点―後志局が管内公立高校長等会議 持続可能な運営体制充実 教員が支え合う組織づくりを
(道・道教委 2018-04-26付)

後志局管内公立高校長等会議
原局長が「社会で活きる力の育成」など管内教育推進の重点を説明した

 【倶知安発】後志教育局の原光宏局長は二十日、後志合同庁舎で開いた三十年度管内公立高校長・特別支援学校長会議で管内教育推進の重点を説明した。「社会で活きる力の育成」「豊かな人間性と健やかな体の育成」「学びをつなぐ学校づくりの実現」の三本の柱を掲げた上で、「一人ひとりの資質・能力を伸ばす教育活動の推進」「特別な教育的支援を必要としている生徒のニーズに応じた指導や支援の充実」「いじめ・不登校等への取組の充実」「持続可能な学校運営体制の充実」などに取り組む考えを示した。

 管内教育推進の重点はつぎのとおり。

【はじめに】

 道教委では、ことし二月、本年度の教育行政執行方針を公表した。教育局としても、教育行政執行方針に沿って、その中に掲げられた施策の推進に全力で取り組んでいく。

 加えて、二十九年度の管内における課題などを踏まえて三十年度管内教育推進の重点を定めたので、その概要について説明する。

【管内教育推進の重点】

▼社会で活きる力の育成

 はじめに「Ⅰ・社会で活きる力の育成」について。

 このことについて、教育行政執行方針では、子どもたちが、これからの時代を生き抜く力を身に付けるためには、各学校がよりよい学校教育を通してよりよい社会をつくるという目標を社会と共有し、必要な資質や能力を、社会との連携・協働によって育成する社会に開かれた教育課程の理念を踏まえ、主体的・対話的で深い学びの視点に基づく授業改善を進めるとともに、教育効果を高めるカリキュラム・マネジメントを実践することが重要であると示されている。

 このため、教育局として、つぎの三点について重点的に取り組んでいく。

▽一人ひとりの資質・能力を伸ばす教育活動の推進

 重点1は「一人ひとりの資質・能力を伸ばす教育活動の推進」。各学校においては、新学習指導要領の趣旨を生かした教育課程の編成・実施や主体的・対話的で深い学びの視点に基づく授業改善を推進するとともに、学力向上の取組を推進してもらいたいと考えている。

 「新学習指導要領の趣旨を踏まえた教育課程の編成・実施」については、地域の豊かな資源や人材を活用するなど、地域の特色を生かした教育課程の編成・実施や、高大接続改革の方向性を見据えた指導計画の見直しなどに取り組んでもらうようお願いする。

 「主体的・対話的で深い学びの視点に基づく授業改善の推進」については、教育課程編成・実施の手引や授業実践講座の活用による授業改善、ICT機器を活用した指導の工夫などに取り組んでもらうようお願いする。

 「学力向上の取組の推進」については、学力テストや道高校学習状況等調査の結果を踏まえた授業改善、家庭学習習慣の定着に向けた指導の促進などに取り組んでもらうようお願いする。

▽特別な教育的支援を必要としている生徒のニーズに応じた指導や支援の充実

 重点2は「特別な教育的支援を必要としている生徒のニーズに応じた指導や支援の充実」。各学校においては、個別の教育支援計画および個別の指導計画に基づく支援の充実を図るとともに、校種間連携による情報共有や引き継ぎなどの充実を図ってもらいたいと考えている。

 「個別の教育支援計画および個別の指導計画に基づく支援の充実」については、個別の教育支援計画・個別の指導計画の作成と活用や特別支援教育の視点を生かした授業づくり、すなわち、すべての生徒にとって分かりやすい授業づくりなどに取り組んでもらうようお願いする。

 「校種間連携による情報共有や引き継ぎ等の充実」については、特別支援教育の理念や在り方などの全教職員の理解促進や、特別支援教育充実セミナーへの積極的な参加などに取り組んでもらうようお願いする。

▽今日的な課題に対応した教育の推進

 重点3は「今日的な課題に対応した教育の推進」。各学校においては、英語などによるコミュニケーション能力を育成する教育を推進するとともに、ふるさと北海道への誇りや愛着をもち、社会的・職業的自立に向けたキャリア教育を推進してもらいたいと考えている。

 「英語等によるコミュニケーション能力を育成する教育の推進」については、英語教員および生徒の英語力の向上に向けた取組の推進や、地域の関係機関・団体などと連携した地域行事等への積極的な参加などに取り組んでもらうようお願いする。

 「ふるさと北海道への誇りや愛着をもち、社会的・職業的自立に向けたキャリア教育の推進」については、地域の資源を活用した教育活動の推進や、地域と連携したインターンシップの推進などに取り組んでもらうようお願いする。

 以上、第1の柱「社会で活きる力の育成」について申し上げたが、教育局としては、重点1にかかわっては、新学習指導要領の理念に基づく教育課程の編成・実施に向けた指導・助言や主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善にかかる指導助言の充実などを、重点2にかかわっては、保健福祉部局と連携した発達障がい支援成果普及事業の推進および成果の普及などを、重点3にかかわっては、英語力向上に向けた指導助言の充実や「北海道みんなの日」の趣旨を踏まえた教育の推進などに取り組み、子どもたちが変化の激しいこれからの社会で生きていくための基盤となる力をしっかりと身に付けることができるよう支援していく。

▼豊かな人間性と健やかな体の育成

 つぎに「Ⅱ・豊かな人間性と健やかな体の育成」について。

 このことについて、教育行政執行方針では、子どもたちの健やかな成長のためには、豊かな情操や道徳心、正義感、責任感、規範意識、他者への思いやりや自己肯定感などを育むとともに、充実した人生を送るための基盤となる健康の保持増進や体力の向上が重要であると示されている。

 このため、教育局として、つぎの二点について重点的に取り組んでいく。

▽いじめ・不登校等への取組の充実

 重点1は「いじめ・不登校等への取組の充実」。各学校においては、いじめの未然防止、早期発見・早期対応や不登校生徒への支援を充実させるとともに、確かな生徒理解に基づく組織的な生徒指導を推進してもらいたいと考えている。

 「いじめの未然防止、早期発見・早期対応」については、ことし二月に改定した北海道いじめ未然防止基本方針に基づく学校いじめ防止基本方針などの点検・見直しや、基本方針を踏まえた適切な実態把握と早期発見・早期対応などに取り組んでもらうようお願いする。

 「不登校生徒への支援の充実」については、児童生徒理解・教育支援シートなどを活用した組織的・計画的な支援体制の確立や、早期の段階からの相談・指導の充実などに取り組んでもらうようお願いする。

 「確かな生徒理解に基づく組織的な生徒指導の推進」については、管理職を中心とした組織的な対応や、教育相談体制の充実などに取り組んでもらうようお願いする。

▽健やかな体を育成する体育・健康に関する指導の充実

 重点2は「健やかな体を育成する体育・健康に関する指導の充実」。各学校においては、新体力テストの結果の分析に基づく体力向上に取り組むとともに、健康教育、安全教育を推進してもらいたいと考えている。

 「体力向上の取組の推進」については、新体力テストの結果の分析に基づく保健体育の授業の改善などに取り組んでもらうようお願いする。

 「健康教育、安全教育の推進」については、学校保健委員会の活性化や、防犯教育および防災教育の充実などに取り組んでもらうようお願いする。

 以上、第2の柱「豊かな人間性と健やかな体の育成」について申し上げたが、教育局としては、重点1にかかわっては、いじめ問題等対策連絡協議会の重点に基づく指導助言をはじめ、高校生ステップアップ・プログラムの成果の普及、組織的かつ速やかな危機管理体制の在り方に関する指導助言などを、重点2にかかわっては、管内生徒指導研究協議会における事例研究、管内学校安全推進会議の開催による安全教育の充実などに取り組み、子どもたちが豊かな心をもち、心身ともに健康に過ごすことができるよう支援していく。

▼学びをつなぐ学校づくりの実現

 つぎに「Ⅲ・学びをつなぐ学校づくりの実現」について。    

 このことについて、教育行政執行方針では、学校が保護者や地域住民の期待に応え、子どもたち一人ひとりの力を最大限に伸ばすためには、幼稚園・小学校・中学校・高校の各学校段階間の連携・接続を図りながら、管理職がリーダーシップを発揮して学校運営に当たるとともに、教職員がそれぞれの力を発揮できる環境づくりが重要であると示されている。

 このため、教育局として、つぎの三点について重点的に取り組んでいく。

▽持続可能な学校運営体制の充実

 重点1は「持続可能な学校運営体制の充実」。各学校においては、近隣中学校との連携を強化するとともに、地域の特性を生かした特色ある学校づくりを推進してもらいたいと考えている。

 「近隣中学校との連携」については、日常的な授業公開の実施や、中学校との連携による授業の参観や情報交流の実施などに取り組んでもらうようお願いする。

 「地域の特性を生かした特色ある学校づくりの推進」については、地域の声を把握する取組の推進や、地域の資源を活用した教育活動の推進などに取り組んでもらうようお願いする。

▽教職員の能力が発揮できる環境づくり

 重点2は「教職員の能力が発揮できる環境づくり」。各学校においては、働き方改革や教職員の指導力の向上にかかる取組を推進するとともに、服務規律の徹底に向けた取組を推進してもらいたいと考えている。

 「働き方改革の推進」については、部活動休養日等の完全実施や、学校閉庁日の実施などに取り組んでもらうようお願いする。

 「教職員の指導力の向上」については、ミドルリーダーを中心としたメンター研修の推進や、ワークショップ型の校内研修の推進などに取り組んでもらうようお願いする。

 「服務規律の徹底」については、飲酒運転、その他の交通違反・事故の根絶や、体罰などの不祥事防止に向けた研修の充実などに取り組んでもらうようお願いする。

▽財務会計事務の適正執行

 重点3は「財務会計事務の適正執行」。以前、当管内においても重大事故が発生した私費会計事務の取扱いについては、事務長会や事務職員協会と連携し、実効性のある研修会などを実施するとともに、会計指導などにおいて、各学校における適正な事務処理の遂行を確実に行ってもらいたいと考えている。

 以上、第3の柱「学びをつなぐ学校づくりの実現」について申し上げたが、教育局としては、重点1にかかわっては、学校運営にかかる学校教育指導の充実をはじめ、コミュニティ・スクールの成果の普及などを、重点2にかかわっては、学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」の周知徹底などを、重点3にかかわっては、財務会計事務の適正執行のための研修会の実施などに取り組み、各学校が保護者や地域の方々から信頼され、安心して子どもを託すことができる学びの拠点として有り続けることができるよう支援していく。

 【むすびに】

 以上、本年度の管内教育推進の重点について申し上げた。

 学校には、保護者や地域から大きな期待が寄せられており、その信頼に応えるため、教育に直接携わる教職員一人ひとりが子どもたちの手本となれる倫理観や使命感、専門性を高めていく必要がある。

 さらには、個々の教員の指導力に委ねることなく、教員同士がつながり、支え合う学校組織としての総合力をもって、教育活動を展開する指導体制の構築など、深く信頼される集団としての学校づくりも求められている。

 そのため、校長の皆さんには、自校の校風や伝統を大切にしつつも、学校のあるべき姿をとらえ、常に改善しようとする課題意識をもって、学校経営の最高責任者としてのリーダーシップを存分に発揮してもらいたい。

 教育局としても、管内教育推進の重点に基づき、管内教育のさらなる充実に向けて、確かな成果を目指す実効性の高い教育を推進していきたいと考えているので、引き続き、皆さんの理解と変わらぬ協力をお願い申し上げる。

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