愛されている幸せ 少年の主張渡島地区大会 長万部中3年・黒谷さん
(道・道教委 2018-06-27付)

 【函館発】渡島総合振興局、渡島教育局など共催の少年の主張渡島地区大会が十五日、森町公民館で開かれた。管内十一市町の中学校から十三人の生徒が登壇し、自分の考えや思いを訴えかけた。審査の結果、最優秀賞には長万部町立長万部中学校三年生の黒谷心優さんの「愛されている幸せ」が選ばれた。

 黒谷さんは、体調不良で自分が倒れた際、迎えに来た父親の言葉を聞き、自分が愛されているということを強く感じるようになった。この経験から、親に愛されていることを誇りにもつこと、愛されていることに対して感謝を述べることの大切さを訴えた。

 黒谷さんの発表内容はつぎのとおり。

 皆さんは、親に愛されていることを当たり前だと思っていませんか?もし思っている方がいるなら、私の思いを聞いて下さい。ある日、私がテレビを見ていたときのことです。とあるニュース番組を見ていると、画面に映っていたキャスターの方が、とんでもないニュース原稿を読み始めたのです。

 「二歳の長女を殺害した疑いで、母親が逮捕されました。母親は“言う事を聞かなかったので、腹が立って刺した”と、容疑を認めています」

 私は言葉が出ませんでした。こんなにも無責任な親がいるなんて知らなかったからです。私はその瞬間、自分の親がどれだけ私を愛してくれていたのかを知り、何だか怖くなりました。

 「私が今まで口にしてきた親への感謝は、心からの気持ちであっただろうか…私は、ありがとうもまともに言えない偽善者だったのか?」

 ただただ自分を責めることしかできなかった私は、寝る前に布団に入ると涙が止まらない、そんな人生を送っていました。ですがある日、私の人生を大きく変える出来事が起こったのです。

 それは、中学二年生のとき、いつもより元気に学校へ行った日のことです。学校祭の合唱コンクールに向けて練習をしていました。すると、突然視界がぼやけはじめ、周りの音が何も聞こえなくなったつぎの瞬間、私は気を失って倒れました。幸い、二、三分で意識が戻り、親がすぐに学校に迎えに来てくれましたが、倒れたときに打った頭の痛みと、親の顔を見ることができた安心感とで気持ちがぐちゃぐちゃになり、涙が止まりませんでした。すると、父が私にこう言ったのです。

 「朝から、心優になんかあるんじゃないかって…嫌な予感がしてたんだよね」

 この言葉を聞いた私は、確信しました。私は正真正銘、この人の子どもなんだ。口だけの偽善者なんかじゃない!

 それからは、一人でひっそりと涙を流すことはなくなり、今までよりも親への感謝の気持ちが強くなりました。

 私は、このような体験を通して、大きく分けて二つのことを学びました。それを皆さんにお伝えしたいと思います。一つ目は、親子の間で一番大切なのは、お互いに愛し合う事だ、

ということです。私たち子どもにとって、親に愛されることほど嬉しいことはありません。親に愛されている子どもは、自然と親を愛します。私もそうです。ですが、先ほどのニュース原稿にもあったとおり、この世には親に愛されなかった子ども、子どもを愛せなかった親がたくさんいます。ですから、子どもに愛されている親は誇りを、親に愛されている子どもは幸せを自覚してください。皆さんには、愛す・愛されるということがどれほど素晴らしいことなのか、一度考えてみてほしいと思います。

 二つ目は、親への感謝についてです。これに関してはおそらく、「親に感謝をしろって言いたいだけでしょ」と思う方がいるかもしれません。ですが、それは違います。私は皆さんに、なぜ親に感謝するべきなのかを考えていただきたいのです。きっと、この問いの答えは人によって異なるでしょう。なぜなら、この問いに正解はないからです。親に愛されている自覚がある方は、自分なりにこの問いの答えをみつけ、自分なりの形で親に感謝を伝えてください。私も、親に感謝をすべき理由は「愛されているからだ」と分かり、自分が幸せであることを自覚することができました。これからは、親への感謝を愛で伝えていきたいと思います。

 最後に一言、心からの感謝を言わせてください。お父さん、お母さん、いつもありがとう。

(道・道教委 2018-06-27付)

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