青少年科学館で理科モデル授業―札幌市教委 札苗中2年生を対象に実施 空間、展示物を最大限活用(市町村 2018-11-07付)
瀬田教諭は、サイエンスホールのスクリーンに、気圧を下げる実験を上映した
札幌市教委は二日、札幌市青少年科学館を活用した理科授業プログラムにおけるモデル授業を行った。札幌市立札苗中学校(遠藤壽廣校長)の二年生百三十人を対象に「気象とその変化」の授業を実施。同校の瀬田悠平教諭がサイエンスホールでの空間を生かした実験を行ったほか、展示物を活用して雪の性質について考えを深めさせる授業を展開した。
市教委では、教育振興基本計画の教育アクションプラン(前期)の施策に「科学的リテラシーを育む学びの充実」が掲げられていることなどから、青少年科学館の展示物と学習指導要領との関連性などについて調査・検討した。
二十九年十月には、理科を専攻する市内小・中学校の教職員などで構成する青少年科学館理科授業プログラム作成委員会を設置。小学校三年生から中学校三年生を対象に、同館の展示物を活用し、観察など体験活動を取り入れた学習プログラムや授業展開例を作成した。
作成した授業展開例をもとに、八月から小・中学生を対象に同館でモデル授業を行った。
この日、札苗中の二年生百三十人を対象に、二クラス合同の授業を二回行った。
授業は、同館職員の協力のもと、瀬田教諭が「気象とその変化」(五時間扱いの三・四時間目)を、同館内サイエンスホールで指導。本時の目標を「科学館の展示物を利用して雪の学習を深め、札幌における雪との適切なかかわり方を学ぶことができる」と設定した。
三・四組の合同授業では、瀬田教諭が、はじめに雲や霧が発生する映像などをスクリーンに上映しながら前時を振り返ったあと、ガスコンロでビニール袋の中の空気を温める実験を実施。温められた空気の入ったビニール袋がサイエンスホールの天井まで昇ると、生徒から歓声が上がった。
このほか、気圧が下がると気温も下がることなどを説明。透明な容器に空気の入った袋や、温度計などを入れ、気圧を下げる実験を行った。容器をスクリーンに投影し、気温が徐々に下がっていく様子などを観察した。
さらに気圧や温度が下がると、空気中の水蒸気が氷の粒になり、粒が連結すると雪になることを説明。雪と聞いて連想するものや疑問について生徒に問いかけ、学習課題「雪はどのような特徴があるのか調べてみよう」を表示した。
雪への疑問を考えさせたあとに班交流。班内で、個人で調べるテーマを設定させた。館内には雪に関する展示があることを紹介し、展示物から分かったことをワークシートにまとめるよう指示した。
生徒は、館内の展示物を実際に動かすなどして、理解したことをまとめていた。
このあと、班内で情報を共有。瀬田教諭は各班を回り、アドバイスしつつ、生徒の情報を把握した。
全体交流では、生徒に発表させた。生徒は情報をまとめたワークシートをスクリーンに表示しながら、雪の結晶の種類や、時間の経過によって変わる雪の性質などについて説明した。
生徒の発表を受け、雪には多くの特徴があることを確認したほか、雪が降るとどんな気持ちになるか発問。「楽しい」「(雪かきなどが)大変」といった生徒の意見から、人口約二百万人の都市で年間約六㍍の雪が降るのは、世界的にも珍しいことなどを説明した。また、今後どのように雪と付き合っていくべきなのか問題提起し、雪の利活用の事例を紹介するなど生徒の考えを深めさせた。
市教委では、今後二回モデル授業を行ったあと、授業の成果や課題を整理して、本年度中に理科授業プログラムを策定することを目指している。
(市町村 2018-11-07付)
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