新たな研究開発事業「がん教育」―札幌市教委 よりよい指導へ情報共有 中の島中で協議、公開授業(市町村 2018-10-31付)
白川教諭は、がんの予防に向けてできることを考えさせる授業を展開
札幌市教委は二十四日、札幌市立中の島中学校(秀島起也校長)で「がん教育」にかかる公開授業を行った。本年度から新たに実施している研究開発事業の一環。市保健福祉局からの情報提供があったほか、研究協議を実施するなど、がん教育の推進に向けて研鑚を積んだ。
市教委では、本年度新たにがん教育の在り方に関する研究を開始。がんに対する正しい知識や命の大切さに対する理解等を深化させ、がん予防や早期発見につながる生活習慣に資する指導などについて研究を進めている。
公開授業後の研究協議では、中の島中校長でがん教育実践研究会の秀島委員長があいさつ。がん教育において「がんに対する正しい知識と、がん患者に対する正しい認識」をもつよう求められていることを紹介した。中の島中では、公開した保健体育の授業を中核に位置付け、特別活動や道徳の授業でも、がんについて相互に関連した授業を進めていることを説明。研究が「がん教育の普及に役立てられたら幸い」と話した。
また、市保健福祉局保健所の荒戸譲治健康推進係長が、がん対策推進プランについて説明。施策にがん教育推進支援が盛り込まれていることなどにふれ、本年度、市教委と連携して“がんの語り手”を市立学校に派遣する取組を試行的に実施することなどを伝えた。
このあと、公開授業について協議。同会のアドバイザー委員を務める道教育大学札幌校の前上里直准教授による講評などを通し、がん教育の推進に向けて研鑚を積んだ。
◆3年保健体育「がん予防」 生活改善の方法考える
研究協議に先立ち、公開授業を実施した。同校の白川敦教諭が三年四組保健体育「健康的な生活と疾病の予防“がんの予防”」を指導。本時は六時間扱いの六時間目で、目標を「がんの予防や健康な生活についての課題を発見し、学習した知識を活用したり自他の生活と比較したりして、がんにかかるリスクを軽減させ、健康の保持増進をする方法を考え選択し、それらを伝え合うことができるようにする」と設定した。
白川教諭は、前時を振り返ったあと、暴飲暴食や喫煙など、自身が不規則で不健康な生活を送る様子を収めたVTRを上映。ワークシートを配布し、気になる点を生徒に書かせた。
上映後、「このような生活を続けていたら二十年後はどうなってしまうのか」と発問。「生活習慣病」「がんになる」という生徒の答えを引き出したあと、本時の課題「がんにならずに生きるためには、どうしたら良いか」を板書した。
ワークシートに、生徒が考えた生活の改善策などを書かせたあと、グループ交流。白川教諭へのアドバイスなどをホワイトボードにまとめるよう呼びかけた。
グループごとの意見を発表させ、ホワイトボードを掲示。喫煙を「減らす」「止める」という二つの意見があることに着目させたあと、がんを促進または予防する生活習慣などをまとめた資料を配布し、喫煙は様々ながんになるリスクが最も高いことなどを理解させた。
生徒のアドバイスどおりに生活することで「がんになることはないか」と問題提起し、がんは生活習慣のほか、遺伝や感染症でも発症することを説明した。
また、ホワイトボードに「がん検診に行く」と書かれていることを取り上げた。がんを早期に発見することで五年生存率が高まることを説明したあと、日本人のがん検診受診率が国際的に比較すると低いことなどを示す資料を提示した。
つぎに、この授業を受けた上で「今自分にできること、将来に向けてできること」をワークシートに記入させた。全体交流では、生徒の「家族にがん検診について話す」「自分の生活習慣などをよく知る」といった意見を評価。がんの知識を深め「(がんに関する)発信者になって」と呼びかけた。
(市町村 2018-10-31付)
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