道徳の授業づくりで講座―釧路市教委 受容的風土など必要
(市町村 2018-11-08付)

 【釧路発】釧路市教委は十月二十五日、釧路市立美原中学校(藤原聡校長)で研修講座「考え、議論する道徳の授業づくり」を開いた。市内中学校の教職員四十七人が受講し、授業公開や研究協議を通して中学校道徳科の授業の在り方について研修。池理砂指導主事が説明に立ち、質の高い指導方法として、道徳的行為に関する体験的な学習など三点を挙げたほか、チェックポイントとして、受容的な風土など七点を示した。

 中学校の重点講座で、中学校道徳科の授業研究や「考え、議論する道徳」の授業づくりについての演習などを通して、今求められている道徳の授業の在り方について研修を深めることが目的。

 池指導主事が「考え、議論する道徳の授業づくり」について説明。道徳教育と道徳科の目標が共通になったことにふれ「児童生徒が自己の生き方をみつめることが大切になり、考え、議論する道徳への転換が求められる」と授業の質的転換の必要性を強調した。

 質の高い指導方法として、①読み物教材の登場人物への自我関与が中心の授業②問題解決的な学習③道徳的行為に関する体験的な学習―の三点を示した。

 実際の授業づくりについては、授業のねらいの明確化や教材の吟味、発問の精選が必要と説いた。

 質の高い道徳科の授業を行うため、①受容的な風土②疑問やズレを感じる提示の工夫③多面的・多角的な思考を生む発想④思いを表出させるための適切な言語活動⑤言語活動を支える教具⑥真を問う「問い返し」⑦四つの対話(教材との対話、先生との対話、子ども同士の対話、自分自身との対話)―の七つのチェックポイントを示し、「受容的風土や問い返しなどは不可欠」と学級経営や授業力の大切さを指摘した。

 評価について「大事なことは、児童生徒一人ひとりのよさを伸ばし、成長を促すための評価を充実させることで、指導に生かされ成長につながるよう評価を進めてほしい」と求めた。

 続いて、美原中の伊藤修教諭が指導する一年生の道徳科「誠実」の授業を公開した。

 資料は「天井の穴」。天井の穴を修理する主人公の心の変化を通して、自律の精神を重んじ、自主的に考え、判断し、誠実に実行して、その結果に責任をもとうとする態度を養うことがねらい。

 伊藤教諭の範読のあと、深々と頭を下げる主人公の気持ちを問いかけた。その考えを深めるため資料に添って主人公の心の変化や弁償の意味を議論し、主人公の思いにつなげた。

 生徒は伊藤教諭の問い返しに、深々と頭を下げる主人公の思いを自分事として考えた。

 このあとの研究協議では、討議の柱「生徒が多面的多角的に考えるための方策について」「授業の中での生徒の見取りについて」の二点について活発な議論が交わされた。

(市町村 2018-11-08付)

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