福島町教委が歴史図書作成へ　３２年度の発刊目指す　歴史・文化伝え郷土愛育成

（市町村 2018-11-28付）

１１月２０日の関係者協議では、今後の作業日程や留意事項を確認した

　【函館発】福島町教委は、小学校四年生以上を対象とした歴史図書の作成を進めている。町ゆかりの偉人の功績や歴史・文化を伝え、郷土愛を育もうというもの。松前神楽や伊能忠敬、千代の富士など八つのテーマで構成し、三十二年度の発刊を目指す。

　同町は北海道出身の横綱第一号となった千代の山、昭和の大横綱の一人で国民栄誉賞を受賞した千代の富士の出身地として知られるほか、津軽海峡をはじめ世界の海峡を泳いで渡った冒険家・中島正一を輩出。北海道漁業の始祖と言われる花田傳七と中塚金十郎も、同町を拠点に活躍した。

　また、ことし没後二百年を迎える伊能忠敬の全国地図測量は同町吉岡地区から始まったとされ、町では銅像をシンボルとした記念公園を整備。四月には伊能の子孫らも出席し、銅像の除幕式が催された。

　伊能のほか、松浦武四郎や間宮林蔵といった偉人が足跡を残す「殿様街道」も現存。さらには、国指定の重要無形民俗文化財となった松前神楽を継承してきた福島大神宮宮司の常磐井家、蝦夷キリシタンと深いかかわりを有する千軒地区など独自性の高い歴史・文化を有している。

　町の財産とも言えるこうした偉人の功績、歴史・文化をしっかりと後世に伝えようと歴史図書の作成を企画。ことし六月、町史研究会の中塚徹朗会長を委員長に、福島小学校の飯田典紀校長、福島大神宮の常磐井武典宮司、文化財調査委員をメンバーとする編集委員会を立ち上げ、発刊に向けた作業を開始した。

　その後、各編集委員らが原稿の作成作業に着手。一方で、挿絵の作成を函館在住のイラストレーター・瀧江直子氏、編集およびデザイン全般を地域研究工房（小磯修二代表理事）事務局長の関口麻奈美氏に依頼した。

　二十日には中塚委員長、瀧江氏、関口氏が参加して関係者協議を開催。町教委からは前田勝広教育長、鎌田一志事務局長、阿部孝憲生涯学習係長、鈴木志穂学芸員が参加した。

　協議では今後のスケジュールについて、三十年度に四テーマの原稿案と八テーマの挿絵イメージ画、三十一年度にはすべての原稿案と挿絵を完成させ、三十二年度に校正やデザイン検討を経て発刊することを確認。そのほか、表記の統一や出典の明確化の必要性、表紙の仕様などについて意見があり、今後の作業に向けて具体化していくこととした。

　なお、完成した冊子は町内全戸と四年生以上の小学校児童、福島中学校、福島商業高校の生徒に配布する予定。

(市町村 2018-11-28付)