札幌市の円山動物園基本方針案　教育プログラム開発盛る　動物、環境の教材開発も

（市町村 2018-12-27付）

　札幌市は、円山動物園基本方針「ビジョン２０５０」案をまとめた。開園百年を迎える二〇五〇年までの動物園の役割や野生動物に向き合う姿勢を示すもの。学校教育に関する事項では、小・中学校で活用できる教育プログラムの開発などを盛り込んだ。来年一月にパブリックコメントを実施したのち、本年度中に同方針を策定する予定だ。

　市では、十九年に円山動物園基本構想を策定。構想に基づく計画に沿って、園内の施設整備や事業を推進してきた。近年、動物福祉や生物多様性の保全など、国内外の動物園を取り巻く環境や役割が変化していることから、基本構想に変わる新たな基本方針を策定することとした。

　同方針案は、開園百年を迎える二〇五〇年までの動物園の役割や野生動物に向き合う姿勢などを示すもの。方針に基づく具体的な取組については、計画期間を五年とする実施計画を策定し推進することを明記した。

　案をみると、基本理念に「命をつなぎ　未来を想い　心を育む動物園」を提示。基本理念をもとに、生物多様性の「保全」「教育」「調査・研究」、再創造を意味する造語「リ・クリエーション」を重点項目として進めていくことを示した。また、取組の根幹には、動物の生活の質を高める工夫を探求し取り入れていく「動物福祉」を据えている。

　重点項目のうち、教育に関しては、自然の大切さと動物の魅力を伝えるため、世界中の野生動物のことを発信し、総合的なフィールドミュージアムとして地域の教育拠点を目指すことを記している。

　学校教育に関する事項では、小・中学校で活用できる教育プログラムを開発することを明示。また、博物館や教育機関とともに、動物や環境への理解を促すための教材開発に取り組むことも盛り込んだ。

　このほか、子どもや高齢者、障がいのある人でも安全で安心して過ごせるよう園内整備を進める方針も示した。

　来年一月にパブリックコメントを実施し、本年度中に方針を策定する見通しとなっている。

(市町村 2018-12-27付)