道高教組2019年度運動方針(関係団体 2019-03-13付)
道高教組第百二十一回定期大会(二・三日、札幌市中央区民センター)で決定した二〇一九年度運動方針の概要はつぎのとおり。
【運動の基調】
▼「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンのもと、九条改憲を絶対に許さず、憲法を守り、生かすたたかいを進める
▽憲法を生かし、平和と民主主義を守る共同のたたかいを推進する。とりわけ、憲法九条改憲を国民共同の力で阻止するとともに、教育を国民の手でつくり上げる取組を進める。
▽安倍「教育再生」による教育の政治支配を許さず、国民の教育権の保障と教職員の自由で活発な教育活動を尊重する教育行政の確立を求める運動を推進する。
▽政治的教養を育むべき政治教育は、すべての子どもたちに保障されなければならないことから、「主権者教育」を豊かに積み重ねていく実践に取り組む。「教職員の政治活動の自由」と「教育活動」を区別し、保護者、地域、教職員の合意形成を図りながら、取組を進める。
▼連帯と助け合いの職場づくり、仲間づくりと職場活動の活性化を目指す
▽道高教組七十周年の節目をきっかけとして、組合員がつながりを強める。また、全教共済の加入促進とも結んで、すべての教職員を対象にした対話と組合加入の呼びかけに踏み出し、要求の実現、職場での支え合いを通して、組織強化・拡大の飛躍をつくる。
▽道高教組の存在と役割を確信につなげ、教職員を分断し「管理・統制」の教育を押し付ける教育政策に対峙し、職場で「つながる」「配る」「声を上げる」取組を進める。
▽これまで築いてきた組合運動、教育実践、子ども観などを次世代の組合員に継承し、青年層、中堅層、ベテラン層の互いの良さを生かした共同の取組を進める。
▽誰もが安心して働ける「あたたかい職場づくり」「連帯と助け合いの職場づくり」を目指す。事務職員、現業職員、臨時職員などの少数職種における要求を掘り起し、具体的な要求に基づいたつながり、学習、運動を重視する。
▼憲法と教育の条理に立脚した、子どもの「いま」から始める学校づくりを目指す
▽すべての子どもの成長と発達を保障する教育の実現を目指し、子どもの声を聴き取り、子どもの実態を重視して、一つ一つの学校・地域から多様で多彩な参加と共同の学校づくり、教育課程づくりを推進する。
▽幅広い国民的対話と共同、合意づくり運動を重視し、国の責任による三十五人以下学級の早期実現、無償教育の前進を目指す国民的な運動を推進する。
▽すべての教職員の賃金改善、長時間過密労働解消、命と健康を守る課題など、切実な教職員の要求を実現するため、職場での対話と共同を重視する。
▽「いま学校で何が起きているのか」、地域の労働者、保護者、住民へと広げるため、懇談会やミニ学習会を開催し、その実態を地域で共有し、子どもの「いま」から始める学校づくりへの合意を広げる。
【教育】憲法と子どもの権利条約が息づく学校づくり
▼憲法と教育の条理に立脚した教育を実現する取組
▽日本国憲法、子どもの権利条約の意義・内容を子ども・教職員・保護者・地域に広げる。個々の生活との接点と日々抱えている課題を大切にし、どの子どもも大切にされる教育制度・政策への転換を求める共同の運動を広げる。
▽改訂学習指導要領・高大接続改革・学びの基礎診断をはじめとする諸課題の学習を進め、人格の完成を目指した教育課程づくりについて、教職員、地域、保護者とともに合意形成の取組を進める。職場討議資料などを用いて、支部教研や地域教研、学校・職場づくり学習会、全道合研を中心とした連続した取組を意識し、学習会を行う。
▽教育の完全無償化・高校統廃合・子どもの貧困など教育に関する諸課題を保護者・地域に広げ、多様で多彩な参加と共同の学校づくりを意識した教育課程づくりを推進する。民主的な団体と連携し、全道合研をはじめ学習会を計画し、民主的な教育に対する理解を進め、共同の運動を広げる。
▽障害者権利条約の理念に基づいたインクルーシブ教育を実現する取組を進める。高校における特別支援教育についての議論を深めるとともに、合理的配慮や特別なニーズに応じた特別な支援について学習・討議して、認識の共有を進める。
▽発達段階や個々の実態に応じて主権者教育を進める。子どもや保護者との合意形成を図りながら丁寧に行うとともに、教育実践を掘り起こし、教育課程全体へ位置付けされるよう、学校で議論しながら取組を進める。
▽「道徳の教科化」「教科書検定・採択制度改悪」「教育への不当な介入」に反対し、子どもたちの思想・信条の自由、良心の自由などを守る取組を進めるとともに、高校生の政治活動の自由を保障する取組を進める。「日の丸・君が代」の押し付けを許さず、憲法一九条を立脚点に、子ども、教職員の内心の自由を守る取組を進める。
▽道教委による教職員への権利侵害と、自主的研修・教育活動への不当な管理統制を許さない組織的な取組を進める。また、教特法第二二条二項の本来の趣旨を職場に浸透させ、研修権の積極的行使によって教職員の自主的な研修権を守る取組を進める。
▼教育条件整備と修学・進路保障を求める取組
▽国の責任による三十五人以下学級の早期実現と、教職員定数改善計画の策定、給付制奨学金や無償教育の前進を目指す運動を推進し、「ゆきとどいた教育を求める全国署名」はもちろん、「みんなのえがお署名」にも総力を挙げて取り組む。
▽ゆきとどいた教育、民主的な地方教育行政の実現を求め、道教組や民主団体などと共同して、地方自治体・議会・教育委員会への要請行動などの働きかけを進める。
▽道教委の高校「多様化」再編・統廃合を許さず、地域の高校・教育を守り育てる運動を子ども・保護者・教職員・地域の人々と共同し進める。「これからの高校づくりに関する指針」の問題点を明らかにし、抜本的に見直す取組を進める。
▽特別支援学校の増設や、障害児教育、高校での通級指導にかかわる条件整備を求める取組を進める。特別支援学校の過密・過大の解消を目指し、保護者、関係団体と共同を広げ、障害児学校の「設置基準」策定を求める運動を進める。
▽貧困の格差拡大を許さず、高校生・若者の就職を保障し、労働者の雇用と「八時間働けばまともな暮らしができる社会」の実現を目指して取組を進める。また、『めざせ!ディーセントワーク(労働者の権利手帳)』などを活用した労働教育の実践を広げる。
◆実態に合った超勤縮減要求
【労働】賃金・労働条件改善を求めて
▼賃金改善を求める取組
▽道公務共闘などに結集し、すべての労働者の賃金改善、命と生活を守るため、最低賃金の引き上げや最低生計費調査の普及などを通して、官民共同のたたかいを進める。
▽職場の声や教職員の生活実態に基づく要求を拾い集め、具体的要求にまとめるとともに、「署名」「カンパ」の取組を通して職場に広げ、運動を大きく、強く進める。
▽人事評価制度に反対し、教育条理を守る立場で道教委対応を行う。この制度とその「活用」について学習を深め、面談への取組を職場に広げ同僚性を強める。また、学校現場の声を集め、この制度の問題点を明らかにし、制度の廃止も含めた改善を求める。
▼命と健康を守る取組
▽国・道教委に、学校現場の実態に合った超勤縮減の取組を早急に行うよう求める。
①中教審が示した「一年単位の変形労働時間制」や文科省が策定を目指す「勤務時間の上限ガイドライン」の導入に反対し、署名や討議資料を通して、職場にその問題点を広める。
②長時間労働の歯止めになっていない給特法改正を国に求める。
③部活動指導の負担軽減のため、外部指導者の活用、休養日設定の徹底などを求めるとともに、保護者・地域への理解・啓発が進むよう求める。
④遠隔者寮・教育寮の宿日直業務の過酷な勤務実態が明らかになったことから、疲労回復と負担軽減のための具体的な対策を早急に求める。
⑤過重労働防止対策やストレスチェック制度が実効ある対策となるよう求める。また、総括労働安全衛生委員会で、時間外勤務の実態を明らかにするよう求める。
⑥勤務時間の客観的把握について、あくまでも労働者保護の観点での実施とさせ、業務負担軽減や実質的な長時間労働の解消となるよう求める。
⑦長時間過密労働是正のため、人事委員会に対する「措置要求」なども検討する。
▽すべての職場で超勤解消を課題として取り組む。
①統一職場要求書をもとに、超勤解消に向け校長交渉・話し合いを行う。
②超勤解消への具体的な課題を職場で議論し、合意形成を図りながら働き方改善の雰囲気を醸成するとともに、職員会議などで意見を述べ、業務の精選・削減に取り組む。
③組合員が積極的に衛生管理者になり、労働安全衛生活動の活性化を進めるとともに、長時間勤務解消のための委員会や校内組織にかかわり、実効ある取組を進める。
▼労働条件の改善に向けて
▽希望者全員の再任用の保障、寒冷地手当支給など雇用と賃金改善に取り組むとともに、公務労組連絡会の運動に結集し、定年延長に伴う賃金や労働条件の充実と整備を求める。
▽現業職員の雇用を守るため、身分の法制化を求める。また、人事異動の強要や職務換えの押し付けを許さず、職務換え後も元の職に戻ることが可能となるよう求める。
▽臨時・非常勤職員の賃金・労働条件の改善・充実を求める。
①二〇二〇年導入の「会計年度任用職員」の賃金・労働条件の充実を求める。
②非常勤給食調理員の職務と労働実態から正規雇用化と賃金改善を求めるとともに、実態どおりに時間外勤務手当を支給すること、また、それら制度の管理職への周知徹底を求める。
▽事務・現業職の36協定締結の意義を職場の該当者に広げるとともに、管理職からの説明を求め、一方的な押し付けとならないよう、職場でのサポートに取り組む。
▽障害者雇用に当たって、必要な設備などの条件整備、サポートのための人員配置など、当事者の実態に応じた合理的配慮を求める。
▽教員免許更新制の見直し・廃止に向けて、全教とともにその対策を検討する。
◆現勢1割拡大の実現目指す
【組織】仲間づくり
▼「新たな三ヵ年計画」を具体化し、「仲間づくり」のつぎなる飛躍を生み出す取組
▽「七十周年記念事業」を高教組の総力を挙げて取り組み、組織の強化、新たな仲間づくりの原動力とする。引き続き、前年度末の組合員現勢の回復を早期に達成し、現勢一割拡大の実現を目指す。
▽「なかま・つながるプロジェクト」で組織強化を図る。「つながるカード」を全組合員から集め、組合員それぞれの中にある「想い」や「願い」への共感を広げる。
▽高教組共済会の仕組みとキャンペーンを学び、全教総合共済五千人、自動車保険五千台加入運動と連動し、すべての支部・分会、専門部で新加入者を迎えることを目指す。
▽青年教職員が全教青年部学習交流集会「TANE〓」に結集し、十年後、二十年後の全教、道高教組の運動を全国の仲間たちと考える。
▽「全教北海道(仮称)」への結集に向けて、持続可能な組織の在り方、運動の在り方について議論を進める。
▼「歓迎会・学習会・交流会」の場をサイクルとした、旺盛な「新採総あたり」の取組
▽三~五月を「春の集中月間」とし、とりわけ、「高教組歓迎会」を新歓期の重要な取組として位置付け、その取組を「はるがく」「なつフェス」の組織化へとつなげる。
▽「高教組歓迎会」「はるがく・なつフェス」「支部教研」「合同教研」を重点声かけサイクルとして位置付け、年度末には”声かけ総仕上げ”の取組を総がかりで行う。
▽新採用・期限付き教職員の総あたりを「高教組歓迎会」などと連動させながら、計画的に取り組み、全教職員を対象とする積極的な「加入の訴え」に取り組む。
▽新採用者・臨時教職員など青年層の加入促進と活動の強化を図る。高教組共済会のキャンペーンを活用し、青年自身の「学びたい」「つながりたい」との要求に基づく、自主的な取組や運動の前進を目指す。
▼「つながる」「配る」「声を上げる」活動を通して、高教組の「見える化」を広げる取組
▽組合員同士の日常的な「声かけ」「つながり合い」を大切にし、困っている仲間を助け合う分会づくりを目指す。また、「分会会議」の定例化や本部からの発送物の共有化などで、組合員間の情報共有と、取組に対する意思統一を図る。
▽『高教組情報』『速報』『分会・支部便り』『職場新聞」『職場討議資料』「組合掲示板」「イメージアップツール」「SNS」「ホームページ」「メーリングリスト」などを最大限活用するとともに、七十周年記念事業と連動した発行物を通して、道高教組の取組や考え方を未組織者に大きく広げ、高教組活動の「見える化」に取り組む。
▽「職場要求アンケート」の取組を通して、教職員の要求を束ね、「職場要求書」づくりを進める。年度始めの「統一要求書」提出に取り組み、校長との交渉・懇談を通して、職場要求の前進を図る。
▼連帯と助け合いの職場づくりに向けて
▽政策的に職場の分断が図られている教育現場において、職場でのコミュニケーションを深めることが求められる。悩みや不安を率直に語り合える民主的な職場づくりに努める。
▽民主的な学校運営、創意あふれる教育活動を進めるために、教職員間の日常的で率直な意見交換はもちろん、管理職との対話も重視し、集団的な議論に基づく合意形成に努める。
▽「職場学習会」「歓送迎会」「レクリエーション」など、すべての教職員を対象とする多様な「集まる場」を追求する。
(関係団体 2019-03-13付)
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