札幌市　医療的ケア児の実態調査　保護者等実施が７８％　経管栄養と吸引　大半占める

（市町村 2019-03-27付）

　札幌市は、医療的ケア児の実態調査結果をまとめた。児童生徒の通学先での医療的ケアの実施者（複数回答）は、保護者と学校の看護師がそれぞれ七八％で、教職員が五六％。実施している医療的ケアの内容（複数回答）では、体外から消化管内に通したチューブを用いて流動食を流すといった経管栄養と痰などの吸引がそれぞれ約七〇％だった。

　市は、医療的ケア児とその家族を地域で支えられるようにするため、関係者が地域の課題や対応策について継続的に意見交換や情報共有を図ることを目的に、札幌市医療的ケア児支援検討会を設置。十九日、同検討会において実態調査結果を報告した。同会では、実態調査結果を、市内の医療的ケアが必要な子ども等への効果的な施策を検討するための資料として活用していく。

　調査は、医療機関や訪問看護ステーション、幼稚園、学校などが対象者に調査票を配布。配布数は一千三十六で、同一の対象者に複数の関係機関から配布した数も含まれている。回収数は百二十、市における医療的ケア児の推計値は二百五十～三百人となっているため、捕捉率を四〇～四八％とした。

　実態調査結果をみると、回答があった百十八人のうち、医療的ケアが必要な子ども（〇～十八歳まで）は、七歳が十二人と最も多く、八歳が十一人、三歳が十人と続いた。

　通学先での医療的ケアの実施者（複数回答）は、保護者と学校の看護師がそれぞれ七八％と最も多く、教職員が五六％と続いた。

　通学先で実施している医療的ケアの内容（複数回答）については、経管栄養が六九％、吸引が六七％など。

　日常生活で必要とする医療的ケアの内容（複数回答）については、経管栄養が六三％、吸引が六〇％などとなった。

　また、一日の実施回数については、吸引が平均十八・七回と最も多かった。

　障害福祉サービス等の利用状況（複数回答）については、学校に就学している障がい児に、授業の終了後または休業日に生活能力の訓練、社会との交流の促進などを行う放課後等デイサービスが四八％と最も多く、相談支援が四二％、居宅介護（ホームヘルプ）が四一％と続いた。

　障害福祉サービス等について利用を希望しているが利用できない理由として、相談支援は「見つからない」、放課後等デイサービスは「医療的ケア児を受け入れる事業所が少ない」などが挙がった。

(市町村 2019-03-27付)