実践的なリーダー養成の在り方 働き方改革の実現へ 道研所内アカデミー 67人受講
(道・道教委 2019-04-02付)

道研所内アカデミー
講師の立教大・中原教授は、組織開発の重要性を説いた

 道立教育研究所は3月27日、同所で所内アカデミー「実践的なリーダー養成の在り方」研修会を開いた。所員や道教委職員、道内小・中学校教諭など67人が受講。立教大学経営学部の中原淳教授による講義やグループ協議などを通して、働き方改革にかかわる組織開発などついて理解を深めた。

 研修会は、30年度から開始したOutside Lecture研修会の一環。

 人材開発、組織開発の専門家による講演、助言、意見交流を通して、教員の働き方改革を含めた組織や研修機関の在り方について研修することで、今後の研修事業の改善・充実に資することがねらい。

 開会に当たり、北村善春所長があいさつ。

 「自分たちの学びは自分たちで確立する」という中原教授の考え方に共感したことを話し「道研も、自立した学びに向けた研修を目指し、所内アカデミーを開いている」と説明。その上で、「課題の設定や解決の力、実務のスキルアップなどを目指してきた。1年間の総括の時間になれば」と期待した。

 続いて、「大人の学びを科学する」をテーマに組織における人材開発・組織開発について研究している中原教授が「組織開発とは何か?―働き方改革を事例として」と題して講義。組織開発の原理や、学校における働き方改革のポイントなどについて、事例を交えながら解説した。

 長時間残業が増える背景について説明する中で、残業が個人の責任論とされ〝仕事術〟で片づけられてしまう風潮があることを指摘。残業が発生するメカニズムとして「職場の同調圧力によって帰れない雰囲気に感染し、その働き方が下の世代に遺伝されてしまう」と説明し、「残業は個人ではなく職場で生まれる。組織ぐるみの組織開発・体質改善が必要不可欠」と強調した。

 組織開発を行うための原理として、①自分の組織の問題を可視化する「見える化」②可視化された問題を関係者一同で真剣に話す「対話」③これからどうするかを関係者一同で決める「未来づくり」―の3ステップを提示。

 改革で何を残して、何を削るか決める際には「民間企業のやり方をまねしても学校は変わらない」と指摘。「まず自分たちの働き方を知って議論し、自己決定の上で取り組まなければ働き方改革は実現しない」と強調した。

 最後に、組織開発を行う際に大切なことについて、「見える化した現実が直接現場を変えるのではない。その現実を現場の人間が対話して自己決定し、意味付けされて初めて現場が変わる」と話した。

 講義後は、受講者から感想と質問が続出。学校で働き方改革に取り組む際の難しさや継続する難しさ、取り組む上でのキーマンの大切さ、改革による子ども側への影響などの話題が挙がった。

(道・道教委 2019-04-02付)

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