31年度オホーツク管内教育推進の重点 高・特校長会議で松本局長説明 組織的取組で授業改善へ
(道・道教委 2019-04-23付)

 【網走発】オホーツク教育局は16日、オホーツク合同庁舎で管内高校・特別支援学校長会議を開いた。松本邦由局長が本年度管内教育推進の重点を説明。「社会の変化に対応する教育の推進」「豊かな心と人間性を育む教育の推進」「心身の健やかな成長を促す教育の推進」「学びを支える家庭や地域との連携・協働の推進」「学びをつなぐ学校づくりの実現」の5つの重点を示し、これからの時代に求められる資質・能力の育成などの取組の推進を求めた。管内における教育推進の重点はつぎのとおり。

松本局長が管内教育推進の重点を説明した。

【重点1】社会の変化に対応する教育の推進

 主体的・対話的で深い学びを実現し、子どもたちが未来を切り拓くために必要な資質・能力を身に付けさせるとともに、科学技術の進展、高度情報化社会など社会の変化に対応する教育の推進、さらにキャリア教育や特別支援教育を推進し、社会的・職業的に自立するための力を育むことが重要である。

 こうしたことから、これからの時代に求められる資質・能力の育成について特にお願いしたいことは、各種調査結果の分析をもとに、学校の課題を明確にし、改善を図る具体策を立てて実行するなど、学校が学力向上に向けて組織的に取り組むことである。

 そのため、義務教育段階の学習内容を含めた基礎学力の確実な習得と学習意欲の喚起を図るため、多様な学習成果を測る多面的な評価の充実を図ること、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を推進するため、教科等を超えて授業改善の視点を共有することや、習得・活用・探究という学習過程の中でICTを効果的に活用することを重視した校内研修を実施すること、国において進められている高大接続改革等の方向性を見据え、学習・指導方法の充実や学習評価の改善に向けた取組を推進するなど、3点について取り組むようお願いする。

 特別支援教育の充実について特にお願いしたいことは、幼児期から学校卒業後までの切れ目のない一貫した指導や支援の充実に向けて、校種間の連携を図った支援体制を確立することのほか、校内研修の充実を図り、教職員の専門性を向上させることである。

 管内においては、個別の指導計画や教育支援計画を作成し、学校種間での引き継ぎに活用されてはいるものの、十分な状況であるといえないことから、幼児期から就労に至るまでの各段階において、保護者等の理解のもと、各計画を効果的に活用していくことが必要である。

 そのため、特別な教育的支援を必要とするすべての幼児児童生徒に対して個別の教育支援計画を作成し、家庭や地域、関係機関と連携しながら、本計画を活用することを通して、長期的な視点で教育的支援を行う取組を推進すること、小・中学校、高校などにおけるすべての教員等が特別支援教育に関する指導や支援についての知識や技能を身に付けることができるよう、校内研修プログラムや実践事例集等を活用した校内研修の充実に向けた取組を推進すること、高校における通級による指導の制度化を踏まえ、国や道のモデル事業の成果等を活用して、通級による指導の充実に向けた取組を推進すること、特別支援学校において、障がいの重度・重複化、多様化に対応できるカリキュラム・マネジメントを確実に行うほか、各障がいに関する実践的な研究・研修の充実に向けた取組を推進するなど、5点について取り組むようお願いする。

 外国語教育の充実について特にお願いしたいことは、高校卒業段階において英語で少なくとも日常的なコミュニケーションができる力を育成する取組を進めることである。

 管内においては、国や道の研究指定校において実践的な英語力を育成する指導方法等の研究が進められていることから、成果を普及するとともに、その活用を促し、外国語の指導方法等の工夫改善に取り組むことが必要である。

 そのため、高校において、スーパーグローバルハイスクールの研究成果等を活用するなどして、学科の特性に応じて英語の活用場面を想定した学習プログラムを開発し、授業改善を図るようお願いする。

 情報教育の充実について特にお願いしたいことは、情報および情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力を身に付ける学習指導の充実を図ることである。

 そのため、分かる授業づくりの実現に向け、各教科等の指導における実物投影機やタブレットなど、ICT活用の内容を取り扱う校内研修や遠隔研修を実施し、教職員のICT活用指導力の向上を図るなど、3点について取り組むようお願いする。

 キャリア教育の充実について特にお願いしたいことは、生徒一人ひとりの社会的・職業的自立に向けて必要となる資質・能力を育成することである。

 高校においては、就職や進学といった進路決定に終始するような指導ではなく、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現し、キャリア発達を支援していくことや、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことを踏まえ、社会で求められる資質・能力を生涯にわたって探究する未来の創り手を送り出していくことがこれまで以上に求められている。

 そのため、公民科はもとより、各教科・科目、総合的な学習の時間、特別活動などにおいて、現代社会の諸課題について多面的・多角的に考察する学習を推進する必要がある。

 そのため、各学校段階において、児童生徒の発達の段階を踏まえ、学ぶことと働くことの意義を意識して学習の見通しを立てたり、振り返ったりすることができる指導の充実に向けた取組を推進するなど、2点について取り組むようお願いする。

【重点2】豊かな心と人間性を育む教育の推進

 道徳教育、ふるさと教育、読書活動などを通じて、基本的な倫理観や規範意識を身に付けさせ、ふるさとへの誇りと愛着、思いやりの心や美しいものに感動する心など、豊かな心の育成を図るとともに、各種の体験活動を通じて、自然の大切さや自分の価値を認識させ、他者と協働することの重要性などへの理解を促したり、いじめや不登校などの未然防止と早期発見・早期対応に取り組んだりすることが重要である。

 こうしたことから、道徳教育の充実について特にお願いしたいことは、各学校において、道徳教育の全体計画を作成し、校長の方針のもと、道徳教育推進教師を中心に、全教師が協力して道徳教育を展開すること。

 このことは、前年度の高校学習指導要領の改訂によって、新たに規定されたものであり、高校などにおける道徳教育の充実に向けては、重点には示していないが、様々な体験や思索の機会などを通して、人間としての在り方生き方についての考えを深めることに留意するようお願いする。

 ふるさと教育の充実について特にお願いしたいことは、生徒が自分の住む地域についての理解を深め、郷土への誇りや愛着をもつことができるよう取組を進めることである。

 管内においては、アイヌの人たちの歴史・文化や北方領土にかかる指導が計画的に実施されているものの、施設や人材を活用した学習が十分に行われていない状況がみられるなど、生徒が関心を高め、正しい理解ができるよう、指導の工夫改善を図ることが必要である。

 そのため、アイヌの人たちの歴史・文化等および北方領土について、教育課程に基づき計画的に指導するとともに、児童生徒の関心を高め、正しく理解できるよう各種指導資料や外部講師等を活用した学習の充実を図るなど、2点について取り組むようお願いする。

 読書活動の推進について特にお願いしたいことは、学校において生徒の自主的、自発的な読書活動を促進することである。

 そのため、司書教諭や学校司書を中心に学校図書館の読書環境を整備し、利活用の充実を図るなど、2点について取り組むようお願いする。

 いじめ・不登校を解消する取組の充実について特にお願いしたいことは、いじめの未然防止、早期対応および不登校への取組の充実に向けて、校内体制を確立するとともに、関係機関と連携して対応するなど組織的な取組を進めることである。

 管内においては、いじめの積極的な認知による早期解決に向け迅速に対応していただいているが、いじめが原因で不登校になる重大事態が校種問わずどこの学校でも起こり得るということを教職員全員で認識することや、不登校の対応が時間の経過とともに学級担任任せになってしまわないようにすることなど、関係機関との連携を含めた組織的な取組を進めることが必要である。

 そのため、道いじめ防止基本方針を踏まえ、児童生徒理解・教育支援シートや子ども理解支援ツール「ほっと」等を活用するなどして、いじめ・不登校の早期発見・早期対応に向けた関係機関との連携による支援体制を確立すること、小・中・高校生が主体的にいじめの問題等について考える子ども会議を開催するなど、児童生徒が互いの考えや気持ちを認め合い、思いや考えを適切に表現することができるよう、学校内外において生徒のコミュニケーション能力を育成する取組を推進するなど、2点について取り組むようお願いする。

【重点3】心身の健やかな成長を促す教育の推進

 生涯にわたって健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現させ、体力・運動能力の向上を図るとともに、健康教育の充実に取り組んだり、食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付ける食育を推進したりすることが重要である。

 こうしたことから、体力・運動能力の向上について特にお願いしたいことは、学校における保健体育の授業の一層の充実を図るとともに、授業以外における運動機会の確保などによって、生徒の運動習慣の定着を図ることである。

 そのため、新体力テスト等の結果の分析を踏まえた体育・保健体育の授業の改善に組織的に取り組むとともに、課題のある種目を複数回実施するなど、学校全体で体力・運動能力の向上に向けた検証改善サイクルを確立するなど、3点について取り組むようお願いする。

【重点4】学びを支える家庭や地域との連携・協働の推進

 基本的な生活習慣や豊かな情操など、すべての教育の出発点である家庭と次代の郷土をつくる人材や地方創生など、社会総がかりで教育の実現の中核となる地域との連携・協働を推進することが重要である。

 こうしたことから、家庭との連携促進について特にお願いしたいことは、学校と家庭、地域が協働して、生徒の望ましい生活習慣や学習習慣の確立に向けた取組を進めることである。

 そのため、家庭学習や運動の習慣をはじめ、ルールをもとにした電子メディアの適切な利用など、望ましい生活習慣の定着を図るため、学校・家庭・地域が連携・協働し、保護者等を対象とした学習機会や情報の提供などの取組を推進するなど、2点について取り組むようお願いする。

【重点5】学びをつなぐ学校づくりの実現

 変化の激しい社会において、生徒を取り巻く状況の変化や、新たな教育課題に対応するため、教員の資質・能力の向上、学校段階間の連携や学校運営の改善を進めることが重要である。

 こうしたことから、学校段階間の連携・接続の推進について特にお願いしたいことは、生徒に必要な資質・能力をバランスよく育むよう、円滑な接続や教科等横断的な学習を充実させることである。

 そのため、高校において、必要に応じて学び直しの視点を踏まえた教育課程を編成するなど、生徒の現状や地域の実情に応じて中学校との連携の充実を図るようお願いする。

 学校力の向上について特にお願いしたいことは、学校が今日的な課題の解決に向けて、効果的・効率的に対応できるよう、校内体制を見直し改善を図るなど組織的な取組を一層強化することである。

 管内においては、校長のリーダーシップのもと、学校における働き方改革が着実に進められているが、改革をさらに一歩先に進めるためには、複雑化・多様化する学校課題を解決するための組織や業務の在り方を検討するなどして、「チームとしての学校」をつくり上げていくことが必要である。

 そのため、北海道アクション・プランや北海道の部活動の在り方に関する方針を踏まえ、市町村における校務支援システムの導入・活用などによる業務改善の推進や部活動休養日等の完全実施などによって、学校教育の質を高められる環境を構築し、学校における働き方改革を推進するなど、4点について取り組むようお願いする。

 学校安全教育の充実について特にお願いしたいことは、学校安全に関する取組や教職員の危機管理意識の向上を図る取組を進めることである。

 管内においては、通学路の交通安全の確保にかかる推進体制の構築の遅れが明らかになるとともに、昨年9月に発生した北海道胆振東部地震による大規模停電の発生によって学校教育活動に支障が出るなど、生徒の安全を確保する上で課題がみられたことから、各学校は、地域や学校の実態に応じて適切な対策を講じることが必要である。

 そのため、学校安全の3領域である生活安全・交通安全・災害安全に関する内容を適切に位置付けた危機管理マニュアルを生徒や地域などの実態を踏まえ不断に見直すとともに、事件・事故災害を想定した避難訓練などの年間複数回の実施や、通学路の安全確保に関する推進体制を確立するようお願いする。

 皆さんには、「不易」と「流行」をしっかりとみつめ、学校組織のトップとして、経営手腕を大いに発揮していただくことを期待している。オホーツク教育局としても、皆さん一人ひとりと、これまで以上に連携を密にしながら、オホーツク教育の質の向上に努めていくので、一層の協力をお願い申し上げる。

(道・道教委 2019-04-23付)

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