31年度後志管内教育推進の重点 高・特校長会議で野上次長説明 他者と協働し生き抜く力を(道・道教委 2019-04-23付)
野上義秀次長
【倶知安発】後志教育局の野上義秀次長は17日、後志合同庁舎で開いた31年度管内公立高校長・特別支援学校長会議で管内教育推進の重点を説明した。「社会で活きる力の育成」「豊かな人間性と健やかな体の育成」「学びをつなぐ学校づくりの実現」の3本の柱を掲げた上で、「一人一人の資質・能力を伸ばす教育活動の推進」「特別な教育的支援を必要としている生徒のニーズに応じた指導や支援の充実」「いじめ・不登校等への取組の充実」「持続可能な学校運営体制の充実」などに取り組む考えを示した。管内教育推進の重点はつぎのとおり。
【Ⅰ 社会で活きる力の育成】
子どもたちが、未来を拓くために必要な資質・能力を身に付けるためには、グローバル化、科学技術の進展、高度情報化社会など社会の変化に対応する教育を推進することが重要である。
このため、つぎの3点を管内の重点とした。
▼一人一人の資質・能力を伸ばす教育活動の推進
これまでも、各学校においては、新学習指導要領の趣旨を踏まえた教育課程の編成・実施に努めていただいているが、令和4年度の新学習指導要領の実施に向けて取組の一層の充実を図る必要があることから、新学習指導要領の趣旨を踏まえた教育課程の編成・実施および主体的・対話的で深い学びの視点に基づく授業改善を推進していただきたい。
▼特別な教育的支援を必要としている生徒のニーズに応じた指導や支援の充実
特別支援教育の視点を生かした、すべての生徒にとって分かりやすい授業づくりについて、学校の取組に差がみられることから、各学校においては、個別の教育支援計画および個別の指導計画に基づく支援の充実を図るとともに、校種間連携による情報共有や引き継ぎなどの充実を図っていただきたい。
▼今日的な課題に対応した教育の推進
管内においてもグローバル化が急速に進展する中、外国語を通じて積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成や社会の中で自立し、他者と協働しながら生き抜く力の育成などが求められていることから、各学校においては、英語等によるコミュニケーション能力を育成する教育を推進するとともに、ふるさと北海道への誇りや愛着をもち、社会的・職業的自立に向けたキャリア教育を推進していただきたい。
教育局としては、重点1では新学習指導要領の理念に基づく教育課程の編成・実施に向けた指導助言や主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善にかかる指導助言など、重点2では特別支援教育にかかる研修会の開催など、重点3では高校英語力向上事業の推進および成果の普及や北海道ふるさと・みらい創生推進事業の推進などに取り組み、各学校を支援していく。
◆近隣中学校と連携強化
【Ⅱ 豊かな人間性と健やかな体の育成】
子どもたちの健やかな成長のためには、基本的な倫理観や規範意識を身に付けさせるほか、思いやりの心や美しいものに感動する心など、豊かな心を育むとともに、生涯にわたって健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現するための体力・運動能力の向上を図るなど、健康教育の充実に取り組むことが重要である。
このため、つぎの2点を重点とした。
▼いじめ・不登校等への取組の充実
いじめの未然防止に向けた子どもが主体的に取り組む活動や組織的・計画的な支援体制の確立に今後も取り組む必要があることから、各学校においては、いじめの未然防止、早期発見・早期対応に努め、不登校生徒への支援の充実を図るとともに、確かな生徒理解に基づく組織的な生徒指導を推進していただきたい。
▼健やかな体を育成する体育・健康に関する指導の充実
調査結果の分析に基づく体育授業の改善や危機管理マニュアルの検証について、学校の取組に差がみられることから、各学校においては、体力向上の取組を推進するとともに、健康教育、安全教育を推進していただきたい。
教育局としては、重点1では、いじめ問題等対策連絡協議会の重点に基づく指導助言や、高校生ステップアップ・プログラムの成果の普及など、重点2では管内学校安全推進会議の開催による安全教育の充実などに取り組み、各学校を支援していく。
【Ⅲ 学びをつなぐ学校づくりの実現】
学校が、保護者や地域住民の期待に応え、子どもたちの力を最大限伸ばすためには、教員の資質・能力の向上や学校段階間の連携、働き方改革の推進など、学校運営の改善を進めることが重要である。
このため、つぎの3点を重点とした。
▼持続可能な学校運営体制の充実
高校段階における学びの共通性の確保や地域の実情に応じて他者と協力しながら課題を解決し未来を創り出す人材の育成が求められていることから各学校においては、近隣中学校との連携を強化させるとともに、地域の特性を生かした特色ある学校づくりを推進していただきたい。
▼教職員の能力が発揮できる環境づくり
教職員の資質・能力の一層の向上が求められていることから、各学校においては、働き方改革の推進をはじめ、教職員の指導力の向上や服務規律の徹底を確実に行っていただきたい。
▼財務会計事務の適正執行
以前、管内においても私費会計事務の取扱いなどの重大事故が発生した。道民の教育に対する信頼を損なうこととなる不祥事の再発防止が求められていることから、各学校においては、事務長会や事務職員協会と連携し、実効性のある研修会などを実施するとともに、会計指導などにおいて、各学校における適正な事務処理の遂行を確実に行っていただきたい。
教育局としては、重点1では学校運営に係る学校教育指導の充実をはじめ、コミュニティ・スクールの成果の普及など、重点2では、学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」の周知徹底など、重点3では財務会計事務の適正執行のための研修会の実施などに取り組み、各学校を支援していく。
地域の活性化や人口減少などの課題に対し、これからの地域の人材育成を担う教育の役割がますます重要となっている。
学校には、保護者や地域から大きな期待が寄せられており、その信頼に応えるため、教職員一人ひとりが倫理観や使命感、専門性を一層高めていく必要がある。
さらには、個々の教員の指導力に委ねることなく、学校組織としての総合力をもって、深く信頼される集団としての学校づくりが求められている。
そのため、学校のあるべき姿をとらえ、常に改善しようとする課題意識をもって、リーダーシップを発揮し、取組を積極的に推進するようお願いしたい。
教育局としても、管内教育のさらなる充実に向けて、各種施策を効果的に展開し、学校はもとより、保護者や地域の方々とも認識を共有しながら、重点の確実な推進に努める。引き続き、皆さんの理解と変わらぬ協力をお願いする。
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(道・道教委 2019-04-23付)
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