全道代表高校長研・道教委説明事項―第1回 目指す資質・能力提示を 総合的な探究の時間実施で (道・道教委 2019-04-24付)
道教委主催の31年度第1回全道代表高校長研究協議会(11日、道庁別館)では、各課等の担当者がそれぞれ所管事項を説明した。高校教育課所管事項では、教育課程の編成・実施について、総合的な探究の時間を通して、育成を目指す資質・能力を示すことや、他教科等で育成を目指す資質・能力との関連を重視して取り組むよう要請。年度当初に予定した授業時数の確実な実施や主権者教育の一層の充実、英語力向上に向けた取組の充実などを求めた。説明概要はつぎのとおり。
《高校教育課》
【公立高校入学者選抜】
▼31年度入学者選抜
31年度公立高校入学者選抜は、多くの学校において円滑に実施していただいたが、一部の高校において、実施要領や各校の入選マニュアルどおり実施しなかったことによるミスや個人調査書の紛失、中学校において個人調査書の評定の誤りが発覚し、全道調査した事例があった。
▼31年度入学者選抜の概要(第2次募集合格発表時)募集人員は、全日制が3万3690人、定時制が2090人、合計3万5780人。入学予定者数(第2次募集の合格発表時)は、全日制が2万9418人、定時制が885人、合計3万303人。
定員に対する充足率は、全日制が87・3%、定時制が42・3%。全定合わせて前年度より2・0ポイント減の84・7%となった。
▼学力検査結果の口頭による開示
開示件数は、前年度より492件多い7948件。
開示実施率は、前年度比3・08ポイント増の31・80%。
▼32年度入学者選抜における学校裁量にかかる事項
学校裁量にかかる事項の調査は、31年3月20日付教高第2498号によって依頼した。調査結果については、道外からの出願の受け入れを実施する学校を含め、6月中旬を目途に公表する予定。
【入学者選抜の改善】
入学者選抜の改善については、前年度、社会の状況の変化や教育改革の動きなどを踏まえ、庁内の検討組織や有識者会議において検討し、31年3月26日付教高第2609号高校教育課長通知「道立高校入学者選抜における改善の方向性について」によって、改善の方向性を示した。
今後、地域別検討協議会に合わせて改善の方向性を説明し、学校関係者や保護者などから意見を聴取した上で、ことし6月中を目途に道立高校入学者選抜における改善の基本方針を通知する予定。
【国旗・国歌の実施】
今春の卒業式においても、式次第や進行などは適切に実施されており、各学校の取組に感謝申し上げる。
入学式などにおける国旗の掲揚および国歌の斉唱については、学習指導要領および30年9月13日付教義第619号通知に基づき、今後も、適切に実施していただきたい。
【教育課程の編成・実施】
▼新高校学習指導要領に伴う移行措置
新高校学習指導要領が告示され、本年度から総則等で移行措置が行われる。特に、総合的な探究の時間については、各学校における教育目標を踏まえ、総合的な探究の時間を通して育成を目指す資質・能力を示すことや、他教科等の目標および内容との違いに留意しつつ、他教科等で育成を目指す資質・能力との関連を重視して取り組んでいただきたい。
また、道徳教育については、全体計画を作成し、校長の方針のもとに、道徳教育の推進を主に担当する道徳教育推進教師を中心とした全教師による道徳教育が求められることから、学校においては、道徳教育推進教師の役割を明確にするとともに、生徒や学校の実態に応じ、道徳教育にかかる指導の方針や重点および各教科・科目等との関係を明らかにして取り組んでいただきたい。
▼教育課程の編成・実施
31年2月13日付教高第2210号通知に基づき、教育課程等の点検を確実に行っていただきたい。本年度も、指導主事による学校教育指導の中で、各学校の状況を把握させていただく。
▼授業時数の確保
1単位当たりの実施すべき各教科・科目の標準の授業時数は、学習指導要領において35単位時間と明確に示されており、公立の教育機関としてこの基準を順守するのは当然。各学校においては、定期的に授業の実施状況を確認し、年度当初に予定した授業時数を確実に実施していただきたい。
▼教科書採択
教科書の選定に当たっては、対外的に説明責任を果たすことができるよう、教科書選定委員会において、教科書採択に関する基本方針および教科書採択に関する観点などに基づき適切に実施するとともに、資料を整備・保存していただきたい。
32年度に使用する教科書の選定に当たっては、教育長の採択後に教科書の変更や追加がないよう、教育課程表との整合を図るなどして、十分に確認していただきたい。
▼道高校教育課程改善会議構成員
『高校教育課程編成・実施の手引』の作成などに協力いただく副校長、教頭および教諭については、道高校教育課程改善会議構成員として年度当初に依頼。各学科に共通する各教科においても構成員の依頼を検討する予定。
▼主権者教育の一層の充実
▽主権者教育の一層の充実
各学校においては、生徒が政治参加の重要性や選挙の意義についてより理解を深めるとともに、有権者として自らの判断で権利を行使することができるよう、引き続き、学校における指導の充実を図ることが必要。
各学校においては、作成した指導計画に基づき、国が作成した副教材の効果的な活用や、選挙管理委員会や地域の関係機関等と連携した取組を進めるほか、29年10月6日付教高第1217号「選挙にかかる啓発資料について」で通知した啓発資料や道議会事務局が作成している高校生向け議会広報紙『みんなの道議会』を公民科の授業等で活用するなどして、主権者教育の一層の充実を図っていただきたい。
なお、主権者教育を実施する際、31年3月1日付教高第2405号通知「学校における主権者教育を実施する際の留意点について」を参考にするなどして、適切に実施していただきたい。
高校教育課のWebページで紹介している他校の取組事例なども参考とするとともに、各学校の効果的な取組事例を、学校Webページに積極的に掲載していただきたい。
▽政治的中立性の確保
28年8月29日付事務連絡「高校等における政治的教養の教育について」のとおり、学校は、教育基本法第14条第2項に基づき、政治的中立性の確保等が求められる。
各学校においては、政治的教養を育む教育が適切に行われるよう、教職員に対し、指導を徹底していただきたい。
▼北方領土の学習の充実
▽教員の研修の充実等
29年4月28日付教義第189号通知「北方領土問題に関する研修や事業等の周知について」に基づき、北方領土対策協会などが行う研修や事業への教員等の参加について、本年度も配慮いただきたい。
また、各学校において、同協会のウェブページに掲載されているつぎの動画などを活用していただきたい。
・動画「北方領土エリカちゃん」
・教材『北方領土学習教材集』
▽ポスターコンテスト等への協力
「北方領土の日」ポスターコンテスト、「北方領土を考える」高校生弁論大会について、生徒に対し応募を働きかけるとともに、こうした事業の周知を通して、北方領土問題への関心を高めさせるなど、北方領土に関する学習の充実を図っていただきたい。
▽アニメ映画「ジョバンニの島」の活用
北方領土における実話をもとに制作された映画「ジョバンニの島」は、北方領土に関する生徒の興味を高め、理解を深める上で有効な素材。
この映画については、26年12月25日付教義第1485号通知「北方領土を舞台にした映画“ジョバンニの島”の活用などについて」のとおり、芸術鑑賞会などでの上映の検討や図書館用DVDおよび原作図書の配置などに配慮いただきたい。
▼生徒の英語力向上に向けた取組
道教委では、高校卒業段階で英検準2級以上を取得している生徒、または同程度の力を有していると考えられる生徒の割合を50%以上とすることを目標としている。
30年度の英語教育実施状況調査では、高校卒業段階の英検準2級以上を取得している生徒、または同程度の力を有していると考えられる生徒の割合は、昨年12月の調査において、前年度の37・6%からは増加したものの、依然として低く38・4%という状況。なお、本年度の国の調査では、生徒の英語力の基準が「CEFRA2レベル以上を取得している生徒、または同程度の力を有していると考えられる生徒の割合」に基準が変更になっている。
生徒の英語によるコミュニケーション能力の向上に向けては、英語による言語活動の充実によって授業を実際のコミュニケーションの場面とすること、自校におけるパフォーマンステストを実施すること、英検などの外部検定試験の活用を図ることなどによって、生徒の英語力をより客観的に把握し、把握した生徒の英語力を踏まえて生徒の英語によるコミュニケーション能力の育成を図っていただきたい。
また、高校の英語教員に求められる英語力として、国ではCEFRB2以上の資格を取得している高校の英語教員の割合を75%以上とすることを目標としている。昨年12月の調査において、CEFRB2以上の資格を取得している高校の英語教員の割合は、49・2%であり、前年度の基準である英検準1級以上を取得している高校の英語教員の割合50・7%から減少した。
CEFRB2以上等を取得している高校の英語教員の割合の向上に向けては、各試験団体による英語教員を対象とした特別受験制度を活用し、積極的に受験していただくよう指導助言いただきたい。
グローバル化に対応した英語教育指導力向上研修は、道内公立高校のすべての英語担当教員を対象に、英語指導力の向上を図ることを目的として27年度から31年度まで実施することとしているものであり、本年度は最終年度となることから、対象教員の参加に配慮いただきたい。
【各種事業】
▼道高校学力向上実践事業の終了
前年度までの3年間、本事業に理解・協力いただき感謝する。
前年度まで作成した教材や授業実践講座にかかる授業実践例など、高校教育課ウェブページに掲載しているので、積極的に活用していただきたい。
生徒用と教師用の2種類の教材のほか、新たに教師用の指導案例と小テスト用問題を作成し、4月4日付で高校教育課のWebページに掲載した。
▼文部科学省「教科等の本質的な学びを踏まえた主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点からの学習・指導方法の改善の推進事業」
拠点校(夕張、静内、遠別農業、帯広柏葉)を中心に各種研究協議会等の開催や日ごろから精力的に取り組んでいただいたことに感謝する。
本年度は、最終年度であり、事業実践報告書等を作成することから、指定校や圏域の実態に応じた評価指標の設定、その結果に基づく分析・検討することが必要。各指定校の取組内容や進捗状況などについて、担当指導主事が学校を訪問し情報収集に努めるとともに、担当の先生方と協議させていただくこととしているので、よろしくお願いする。
▼地域医療を支える人づくりプロジェクト事業
▽医進類型指定校等連絡協議会
本年度の医進類型指定校等連絡協議会は、6月6日に実施する予定。指定校および協力校においては、関係の職員の出席について、配慮いただきたい。
▽メディカル・キャンプ・セミナー
8月6~9日、ネイパル深川、札幌医科大学および旭川医科大学を会場に実施する予定。
内容等については、今後、各医育大学および関係機関等と調整し決定次第知らせる。各学校においては、教員の派遣および生徒の参加について、配慮いただきたい。
▽高校生メディカル講座および地域医療体験事業
医進類型指定校のない管内においては、協力校を指定して、高校生メディカル講座および地域医療体験事業を実施する。
これらの取組については、指定校および協力校において、高校教育課や教育局と連携し、医育大学や総合振興局、道医師会などの協力を得て、内容の充実を図っていただきたい。
また、医学部への進学を目指す生徒が在籍する学校においては、生徒の参加について、配慮いただきたい。
▼「地域との協働による高校教育改革推進事業(グローカル型)」―新規
▽登別明日中等教育学校
地域課題の解決等の探究的な学びを実現する取組を推進することで、地域振興の核としての高校の機能を強化する。特に、グローカル型においては、グローバルな視点をもってコミュニティーを支える地域のリーダーの育成を目指す。
▼高校英語力向上事業
学科の特性等に応じて英語の活用場面を想定した3タイプの学習プログラムの開発を通じて英語の授業の改善充実を図る高校英語力向上事業を実施している。本年度は3年目で最終年度。
これまで、指定校がプロジェクト会議において、英語運用能力を高める取組や外国人に商品を販売するなどの取組を周知するとともに、指定校の取組を紹介したりする取組の改善・充実について協議した。各指定校および協力校の積極的な取組に感謝申し上げる。
前年度からの継続校は2校、新規校は9校を指定する予定。また、指定校ごとに、指定校の近隣の学校または指定校と同一の大学科を設置する学校の英語担当教員を構成員とするプロジェクトチームを編成し、取組を推進するので、協力いただきたい。
▼道グローバル人材育成キャンプ
本道のグローバル化の推進に資するため、国際社会に対応できる英語力や国際理解能力を備えた人材の育成を図ることが目的。定員は、各会場30人程度。
・道央会場=8月6~8日、札幌市内道第2水産ビル
・道南=7月29~31日、ネイパル森
・道北=8月5~7日、ネイパル北見
・道東=令和2年1月7~9日、ネイパル足寄
▼高校生留学フェア・グローバル語り部事業
11月に札幌を会場に、海外大学進学・留学フェアを半日の日程で開催する予定。詳細が決定次第知らせるので、各学校においては、生徒の参加について配慮いただきたい。
また、生徒の海外留学や海外進学への意欲を高めるため、留学経験者および海外勤務経験者などによる講演会を開催する「グローバル語り部事業」(仮称)を道立高校8校で開催する予定。実施校を募集した段階では国費事業として実施する予定であったが、本事業の名称が国の要項からなくなったことから、事業名などを変更する可能性がある。
▼高大連携による「Hokkaido Study Abroad Program」
道内大学と連携し、留学生と道立高校生を相互に派遣し合い、北海道にいながら擬似的に留学を体験できる機会を創出し、交流を通じて生徒の英語力のスキルアップを図るとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を育成する。本年度2年目。
現在、実施時期および内容について、大学と協議中。各学校においては、生徒の参加および大学生の受入れについて配慮いただきたい。
【修学旅行の協議】
31年3月7日付教高第2456号通知「道立学校修学旅行実施基準の一部改正について」によって修学旅行の目的が変更になるとともに、修学旅行A(宿泊研修)を学校裁量で実施できることとなった。32年4月1日からの施行だが、31年4月1日から本実施基準に準じた実施が可能となる。
定時制について、定時制高校教育修学指導事業として引き続き宿泊研修を実施する必要があることに留意。31年3月7日付高校教育課主幹事務連絡「道立学校修学旅行実施基準の一部改正について」を参照願う。
修学旅行の実施に当たっては、生徒の安全を確保することが重要であることから、特別な配慮を必要とする生徒が在籍し、旅行中に個別に対応する必要があるため、配分基準教員数を超えた人数を要望する場合などには、早めに教育局を通じて高校教育課と協議願いたい。
【特別支援教育】
▼高校における特別支援教育支援員配置事業
教育上特別な支援を必要としている生徒の状況および支援の状況の把握についての調査結果に基づき、13校に支援員を配置する。
6月調査に基づく9月配置については、今後検討。
▼高校等における通級による指導
実施校4校(札幌工業、北見北斗、上士幌、大樹)、各校に国の加配あり。
ことしも通級指導担当教員派遣事業を実施、5月に各校へ周知予定。
通級による指導にかかる調査(実施希望調査)は、これまで1月に実施してきたが、本年度は11月に実施予定。
▼日ごろからの適切な学習指導
教育上特別な支援を必要としている生徒に対しては、日ごろからチーム・ティーチングや個別指導などによるきめ細かな学習指導に努めるとともに、必要に応じて補習を行うなど、生徒の実態に即した様々な方策を講じていただきたい。
単位の認定に当たっては、障がいのあるなしにかかわらず、授業における生徒の取組状況や課題の提出状況、補習の出席状況など、個々の生徒の学習状況を十分に考慮しながら、多面的に評価を行っていただきたい。
【キャリア教育】
▼インターンシップなどの体験的な学習の充実
30年度のインターンシップ実施状況等調査では、3年間に1回以上インターンシップを経験した生徒の割合は64・1%となっており、前年と比べて1・5ポイント下降した。この要因としては、地震などの影響によって、実施できなかった学校が8校あったことによるものと承知しているが、本年度は確実に実施するようお願いする。
道教育推進計画では、キャリア教育の充実にかかわり、令和4年度までに道立高校生全員がインターンシップなどの体験的な学習活動を経験させることとしており、平成30年度における割合は70・0%。
各学校、特に定時制課程を設置する学校においては、一人ひとりの社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を育てるため、引き続き、体験的学習活動の充実を図っていただきたい。
▼職場への定着にかかわる指導の充実
前年度の道労働局の調査によると、道内新規高卒者が卒業後から3年間に離職する割合は44・8%となっており、5年連続して減少。その要因は一概には言えないが、新規高卒者の道内求人倍率が2・57倍と高止まりの傾向にあることはもとより、高校就職促進マッチング事業などを活用した職種・職業へのマッチングが定着してきたほか、各学校における生徒一人ひとりに対するきめ細かな進路指導の充実が功を奏したものと考えられる。
各学校においては、引き続き、入学当初から計画的に進路相談を実施するとともに、今後配布する前年度の就職指導の改善に関する研究の成果を取りまとめた事例集を活用するなどして、キャリア教育の視点に立った就職指導の改善・充実に努め、職場への定着を図っていただきたい。
▼道ふるさと・みらい創生推進事業
高校OPENプロジェクトについては、前年度のプロポーザル審査を経て、15校が地域課題の解決に向けて取り組んでおり、ことし10月末には、事業への理解促進を図ることを目的として、札幌市内で中間発表会を開催する予定。
各学校では、生徒が地域の一員であるとの意識を高めることができるよう、こうした取組を参考として、総合的な探究の時間において、地域や社会とのかかわりを重視した探究的な学びを実現するよう取り組んでいただきたい。
総合的なインターンシップ実践プロジェクトについては、農業、林業、漁業、建設産業等にかかわる体験学習ができるインターンシッププログラムを提供するものであり、昨年は15校233人の生徒が参加した。
本年度も引き続き、6月を目途に、関係の知事部局が実施する実習内容をまとめて通知するので、進学者の多い普通科高校などにおいても、多くの生徒が道の産業への理解を深めるよう、学習機会の拡充に努めていただきたい。
▼キャリア教育・職業教育推進事業
キャリアサポートセミナーについては、ビジネスマナーや労働法にかかわる講義などのほか、希望する職業についての体験講座を行うこととしており、前年度は3会場で実施し、7校63人が参加した。
本年度も引き続き、5会場を予定しているので、多くの生徒に参加を促していただきたい。
【進路指導】
▼31年3月公立高校卒業者の就職決定状況(3月末現在、道教委調査)
就職希望生徒数は、前年同期比317人減の7975人。就職決定生徒数は7807人で292人減少した。
就職未決定生徒数は25人減の168人。就職決定率は97・9%で0・2ポイント増加した。
▼就職未決定のまま卒業した生徒に対する指導
調査によると、就職未決定のまま卒業した生徒は2・1%で、前年度と比較すると0・2ポイント減少している状況。
関係の高校においては、就職が未決定のまま卒業した生徒の個々の状況を把握し、国や道が行う就職支援策を情報提供したり、ハローワークやジョブカフェ北海道が行う就職相談等の活用を働きかけたりするなどして、就職支援の取組に努めていただきたい。
就職未内定の生徒の状況把握については、当該年度の12月、3月および卒業後の6月と翌年の3月に実施する予定。
▼進学や就職などの進路希望を設定できないまま卒業した生徒に対する指導
道教育推進計画では、キャリア教育の充実にかかわり、34年度までに道立高校生全員が卒業時に進学や就職などの進路希望を設定できることとしており、30年度における人数は90人。
関係の高校においては、総合的な探究の時間を活用し、職業や自己の進路に関する課題を設定した探究活動を行うほか、必要に応じてキャリアプランニングスーパーバイザーを活用するなどして、一層の進路指導の充実に努めていただきたい。
▼就職支援教員
31年度の研究指定校には、砂川、千歳北陽、室蘭栄(定時制)、浦河、上磯、遠別農業の6校を指定し、就職支援教員を配置する。
指定校では、昨年に引き続き、卒業後3年以上がたった卒業生を対象として、離職を思いとどまった理由について調査を行うほか、ハローワークやキャリアプランニングスーパーバイザーなどの関係者間での連携会議を開催することとしていることから、研究指定校と同じ管内の学校は、依頼に応じて調査等への協力をお願いする。
▼来年3月新規高校卒業者の就職に関する申し合わせ事項
来年3月新規高校卒業者の就職に関して、ことし1月末に開催された道高校就職問題検討会議において申し合わせが行われ、31年2月14日付教高第2185号によって通知した。
来年3月新規高校卒業予定者の就職のための推薦および選考開始期日などについては、近日中に通知する予定。
▼高校就職促進マッチング事業
全管内で生徒や保護者、進路指導教員を対象に、企業・業種に対する理解促進を図る企業見学会を実施。前年度は99社に、生徒927人、保護者9人が参加。
各学校においては、引き続き、生徒や保護者が地域の企業情報を適切に入手できるよう、積極的に参加を働きかけていただきたい。
▼高校生等労働教育啓発事業等
道経済部では、就労前の高校生等を対象に、労働法の基礎知識や働く者の人権に関する知識を養い、将来の安定した職業生活の確保に資するため、大学教授や社会保険労務士などが講師となり講演を行う高校生等労働教育啓発事業を、引き続き実施することとしていることから、積極的に活用いただきたい。
労働に関する教育内容を一層充実する観点から、授業やホームルーム活動などにおいて、道労働局が実施している労働法説明会の出前講座や、道経済部が作成した『働く若者ルールブック』、厚生労働省が主催する高校教員等向けの労働法教育に関するセミナーの活用を図っていただきたい。
▼雇用要請の充実
当課では、前年度、道高校PTA連合会と連携し、雇用促進等にかかわる協力要請を実施。
支部長、ブロック長を中心として、教育局高校教育指導班とも連携の上、こうした取組の実施について検討をお願いする。
【寄宿舎の宿日直業務の適正な執行】
30年1月26日付教高第1908号で通知および事務連絡した趣旨に基づき、校長が業務内容の説明を行うことや、業務の見直しを行い縮減を図ることなど、適切に実施していただきたい。
【専門高校で学ぶ生徒の学習成果の発表】
専門高校生が活躍する研究発表大会などの各種大会やフェアなどの日程等を当課のウェブページで公開している。
各学校においては、PTA総会や学年懇談会など、保護者が学校に集まる機会を活用して、専門高校の取組について、保護者や地域の方々などに周知を図るようお願いする。
▼水産部会
▽実習船一般公開=6月16日、小樽港―水産高校の生徒が普段乗っている大型船への乗船など
▼農業部会
▽ガーデニング甲子園=6月22~30日、大通公園―ガーデニング作品の展示
▼工業部会
▽2019サイエンスパーク(工業フェスタ)=7月30日、札幌駅前通地下歩行空間―製作したロボットの操作体験や工作教室
▼家庭部会
▽第4回道地区高校生介護技術コンテスト=8月23日、北翔大学―課題に基づいた介護技術を競う
▽道高校家庭クラブ連盟研究発表大会=10月2・3日、札幌北高校―学習活動の成果を発表
▼商業部会
▽道高校商業教育フェア=9月13・14日、新さっぽろサンピアザ光の広場―開発商品の販売や試作品の発表
【海外からの教育旅行の受け入れ】
グローバル化が進展する中、海外の高校生等が日本を訪れた際に学校を訪問する教育旅行を受け入れることは、諸外国の人々と互いの歴史や文化、習慣等を理解し合い、異なる文化や生活習慣をもつ人々と協調して生きていく態度を育成する上で、意義があるもの。各学校においては、受け入れ機会の拡大について、積極的に検討いただきたい。
【日本の次世代リーダー養成塾】
31年度の日本の次世代リーダー養成塾は、7月26日から8月8日までの期間、福岡県および佐賀県で開催予定であり、道として、参加者の募集や参加費減免などを実施。
31年3月14日付事務連絡によって、次代の北海道を担う青少年育成協議会の依頼を各学校へ送付。各学校においては、生徒に情報提供するとともに、参加を働きかけていただきたい。
【国や道が制定している日・週間】
国や道が制定している日・週間について、道教委で資料を作成し、31年3月27日付教高第2642号で各学校に通知するとともに、道教委Webページに掲載した。
各学校においては、様々な教育活動を通じて、国や道が制定している日・週間について、生徒の理解が深まるよう、本資料の積極的な活用をお願いする。
【31年度の学校運営費等】
31年度予算の施設等維持費を含めた一般運営費は、燃料費単価高騰分および電気料金高騰分が特殊事情として別途、認められたこともあり、一般財源ベースで前年比約4・2%増となった。
しかしながら、例年と同様に、費目によって5~10%の執行保留が予想されており、これまでと同様に歳出の削減と効率化が求められている。
学校予算の当初配分については、燃料費単価および電気料金増に伴い需用費を増額配分しており、前年比で1校当たり123万7000円増となっているものの、燃料費単価等の変動に左右されることから、依然として厳しい予算状況であると考えている。
各学校においては、日ごろから経費削減に尽力していると承知しているが、引き続き配分された予算の範囲内で計画的な執行に努めていただきたい。
【公立高校配置計画の策定】
公立高校配置計画案については、6月に公表予定。
22日から5月15日にかけて、通学区域ごとに地域別検討協議会を開催している。
【多様なタイプの高校づくり】
▼単位制の新規導入
本年度、新たに函館西高校、稚内高校の普通科および商業科に単位制を導入。
次年度は、岩内高校の商業科に導入予定。
▼教育課程の編成・実施
総合学科校および単位制、フィールド制の導入校において、系列の見直しや選択科目の大幅な増減など教育課程を変更する場合は、早い段階から高校教育企画グループに相談いただきたい。
生徒の興味・関心、進路希望等に応じた幅広い科目の開設、習熟度別指導やチーム・ティーチングによるきめ細かな学習指導の充実を図るとともに、教育課程編成がそれぞれのタイプの趣旨を踏まえ、対外的に説明責任を果たせるものとなっているか、点検していただきたい。
▼広報活動
多様なタイプの学校における特色ある教育活動を広く周知するため、各学校の協力によって作成した「学校紹介ビデオ」を27年度から道教委のウェブページに掲載している。ことし3月、更新希望のあった学校のビデオを更新したので、必要に応じて活用していただきたい。
本道における公立高校の仕組みや多様なタイプの高校の特色などについてより幅広く周知を図るため、例年作成していたパンフレット『北海道の新しい高校づくり』の内容を充実させ、『2019年度版わたくしの進路 北海道の公立高校』に改めた。道教委のWebページにも掲載しているので、必要に応じて活用していただきたい。
新年度において、ホームページの更新や学校案内のパンフレットを作成する際には、それぞれのタイプの特色が保護者や中学生により分かりやすいものとなるよう、工夫・改善を図っていただきたい。
【地域連携特例校・地域連携協力校】
▼地域連携特例校と地域連携協力校等との連携した教育活動
ことし3月、地域連携特例校および地域連携協力校の協力のもと、『地域連携特例校・協力校等取組事例集(30年度版)』を作成した。本取組事例集を参考に、地域連携特例校は、地域連携協力校や他の地域連携特例校、地域とのさらなる連携を図り、教育環境の充実に努めていただきたい。
出張授業および遠隔授業の時間数については、道立高校地域連携特例校・地域連携協力校連携実施要綱や制度の趣旨を踏まえ、両校で組織する連携委員会を効果的に機能させ、課題解決を図るなどして、複数教科(教員)で週当たり8時間程度となるよう、両校間での調整を行っていただきたい。
▼地域連携特例校間における遠隔システムを活用した連携の実施
昨年3月に策定した「これからの高校づくりに関する指針」において、地域連携特例校間での遠隔授業や遠隔システムを活用した生徒会交流・教職員の合同研修の実施について記載し、前年度は5組10校で試行的に遠隔授業を実施した。昨年末には各校の希望等を把握し、地域連携特例校間での連絡・調整の上、本年度の実施予定を集約。地域連携特例校間における遠隔システムを活用した連携を積極的に行っていただきたい。
【道立学校間連携】
前年度、10組19校で実施。年間を通じて教員を派遣し合うなど、相互の教育課程の維持充実を図る取組を推進した。特別支援学校との連携を積極的に進めていただきたい。
前年度末に把握した状況では、本年度、5組10校が実施予定。年度途中でも申請を受け付けているので、各学校においては、積極的に活用していただきたい。
【小規模総合学科校等の高校魅力化推進事業】
小規模となった総合学科校等の創意工夫を生かした取組を支援するため、前年度も、該当するすべての高校で実施した。
前年度から、第1学年2学級以下の総合学科高校において、道公立学校時間講師を任用する経費を予算の範囲内で従前よりも多く措置した。年度中途からでも時間講師の予算措置は可能であるので、該当する推進校においては、時間講師の活用について積極的に検討していただきたい。
【コミュニティ・スクールの設置】
31年3月26日の教育委員会において、新たに4校の学校運営協議会の設置を決定。これによって、31年4月1日現在で道立高校の設置数は12校となった。新たに、1校の設置を予定している。
来年度の設置校については、本年度中に設置の希望にかかる調査を予定しており、設置の基本方針を満たしている学校を選定し、設置を進めていく。
【道教委指導主事の任用の在り方】
30年度に専門的教育職員(指導主事等)採用候補者選考方法を変更した。現在、学校には、多様化する課題に対応するための学校力を一層高めることが大切であり、教職員には、今後ますます専門性の向上と幅広い見識が求められる。
こうしたことから、このたびの選考方法の変更を、自校の教員が指導主事等を経験し、学校力を高めるための経験値を高め、学校に戻ってから学校運営の要として活躍できる人材を育てる方策として活用いただきたい。
(道・道教委 2019-04-24付)
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