札教組 給特法廃止求め決議 働き方改革は労働者の視点で(関係団体 2019-06-18付)
札幌市教職員組合(=札教組、鈴木誠幸執行委員長)の第3回中央委員会(12日、札幌市内北海道教育会館)で採択された特別決議の概要はつぎのとおり。
【義務教育費国庫負担制度堅持・負担率2分の1への復元、教職員の長時間労働解消に向け「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」の廃止を求める特別決議】
教育の機会均等と義務教育無償の原則は、憲法26条で定められており、全国どの地域においても、すべての子どもたちに無償で一定水準の教育の機会を保障するために、義務教育費国庫負担制度が設けられている。
しかし、2006年、文部科学省が義務教育費国庫負担率を2分の1から3分の1と改悪したことで、教育の機会均等の原則が揺るがされている。財務省は「厳しい財政事情」を盾に「“子どものため”という名目で感覚的に教育関係予算の額を増大させることに着目するのは正しい政策判断とは言えない」とした。
その考えによって編成された予算案は、30人以下学級を願う私たちの求める定数増に遠く及んでおらず、教職員不足は全国的に見ても深刻な問題である。自治体の自助努力だけでは抜本的な改善にならず、教育行政の地域間格差は拡がっていくことから義務教育の国庫負担率は早急に2分の1に復元しなければならない。
また、1971年に定められた、いわゆる「給特法」は、制定当時の教員の平均的な1週間の超過勤務時間が1時間48分であったことをもとに制定されたもの。さらに給特法は、給与の4%に相当する教職調整額を支給する代わりに教員の勤務時間外手当を支給しないと定めている。これは現在の勤務実態とは大きくかけ離れている。
こうした中、文科省は、2017年6月、中央教育審議会に「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」を諮問し、同審議会は学校における働き方改革特別部会を設置して検討、2019年1月、諮問された内容について答申した。
しかし、その内容は「教員の残業時間を月に45時間以内とする」など、超勤状態を改善するどころか残業を助長しかねないものとなっている。同年3月、答申を受けて文科省は、各首長・教育長あてに「学校における働き方改革に関する取組の徹底について」を通知したが、その内容は「勤務時間管理の徹底」や「人事評価を活用した教職員の意識改革」など、教員の超勤多忙が抜本的に改善されるとは考えられない。
さらに、一連の答申、通知には教員に時間外手当を認めていない給特法についての言及がなされていないことも大きな問題である。
学校における働き方改革を進めるに当たっては、労働者の視点に立った改革が進められるべきであり、所定の勤務時間に収まるように授業時数・業務の削減を進めていく方向で論議されなければならない。そして、教職員にかかる勤務時間管理の根幹をなす給特法については廃止することを目指すべきである。
義務教育費国庫負担制度の堅持と教職員の多忙・超勤実態の解消は喫緊の課題であり、そのためには、教職員の無制限・無定量の超過勤務を常態化させている「給特法・条例」の廃止を求めていくことが重要である。
私たちは、任命権者である市教委に対して、実効性のある教職員の超勤・多忙化解消の早期実現を図るよう強く求めるとともに、国に対しては、日教組・関連団体等と連携し、当面は負担率2分の1への復元を目指した義務教育費国庫負担制度の堅持、給特法の廃止に向け、組織の総力を挙げて取り組むことをここに決議する。
(関係団体 2019-06-18付)
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