少年の主張渡島地区大会 過去を乗り越えて 北斗市茂辺地中2年・房田さん(関係団体 2019-07-02付)
【函館発】少年の主張渡島地区大会が6月中旬、鹿部町中央公民館で開かれた。渡島管内各市町の中学生13人が、日ごろの考えや思い、自分の将来像などを発表した。最優秀賞には北斗市立茂辺地中学校2年生の房田心玖さんの「過去を乗り越えて」が選ばれた。
房田さんは、自身が小学生のときに経験した不登校と対人関係の過去を振り返り、特認校制度を利用して茂辺地中に転校したことを説明。今も過去のトラウマと戦っていることや両親への感謝の気持ちを伝えた。
房田さんの発表内容はつぎのとおり。
私は、現在茂辺地中学校に通っています。茂辺地中は少人数ながらも英語活動が盛んな学校で毎日楽しく過ごしています。小さいけれど生徒会の副会長を務めています。
でも私は、本来通うはずの中学校ではなく、特認校制度というものを利用し、校区外通学をしています。私が校区外通学を決めた最初のきっかけは、小学校のころの不登校でした。
不登校という言葉の響きは今も私の心の中で様々な感情を呼び起こします。
ですが今回、自分自身の気持ちと向き合いたいと考えました。この場を借りて、2年間の私の気持ちの変化についてお話したいと思います。
学校に通えなくなったのは、小学校5年生のときに、突然陰口を言われたのがきっかけでした。クラスで一番仲の良かった子が私のことを陰でいろいろ言っていると。最初はうそだと思い、信じていませんでした。けれど、徐々に私への態度、行動、話し方に違和感を覚えていき、実際に聞いてしまいました。なんでそんなふうに悪く言うんだろう、仲良くしていたのに、私が何かしたの?。
それからはうまく友達と付き合えなくなり、人に自分がどう思われているのか気になって、不安ばかり感じるようになりました。
不登校中の自分は、このままで中学校に行けるのか、自分はこの先大丈夫なのかと、不安ばかり募っていました。今思うと、私は学校に行くことで、人に会うことで、人の目が気になってしまったのだと思います。
人の目を気にして、学校へ通えない自分は入学してもまた通えなくなると思いました。けれど、誰かとかかわりたいという思いは強く、全く新しい環境でもう一度学校生活をやり直そうと決心したのです。
両親が市内の学校をたくさん調べてくれたり、私の心の状態や気をつけるところを話してくれたりしました。いくつかある中で私の胸に響いたのが、少人数の茂辺地中でした。
自分が転校という選択ができたのは、両親のおかげでもあります。ですが、自分自身でも決断できたのは、新しい環境に行けば自分を変えられると思いました。すべてやり直し、つぎこそは一人ひとりとのコミュニケーションを大切にしたいと思いました。
中学校の1年を振り返ると、やはり壁にぶつかることやクラスメイトとのすれ違いも多くありました。そのときは、学校に行きたくないと過去の自分の顔を出すことがあります。ですが、お互いに話すことで、気まずいままじゃ周りによくない雰囲気になると分かりました。同時に元の関係に戻りたい、もう一度仲良くしたい、そう思える友達なんだと思えました。そして、待っているだけじゃ変わらないので、自分から良い形にしていきたいと思い、いろいろあっても仲間と楽しく過ごしています。
それでも自分はまだ「信用」というものが怖いです。どれだけ時間が過ぎても、トラウマは改善されていません。誰に対しても「裏切り」を考えてしまう自分自身を「怖い」と思います。
もちろん変われたこともあります。人の顔を見て話せるようにもなり、コミュニケーションを楽しめるようになれました。人のすれ違いに傷ついても、もう一度その人と向き合おうと、前を向けるようになれたことが自分なりの成長だと感じています。
人を信じることが怖くなった自分が、最後まで信じることができたのは、父と母でした。支えてくれた両親がいてくれたからこそ、私は不登校を乗り越え、今の学校生活を送れているのだとあらためて思いました。
経験したトラウマにずっといても、自分の世界は閉じられたままでした。それでも世界を変えようと思えたのは、両親の存在が大きいです。
最後に、過去の自分から抜け出せるきっかけをくれたクラスメイト、お父さん、お母さん、本当にありがとう。
(関係団体 2019-07-02付)
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