職能開発の時間確保を 道小第2回理事研で大石会長(関係団体 2019-07-04付)
大石幸志会長
1日に開かれた道小学校長会の第2回理事研修会(3日付1面既報)における、大石幸志会長のあいさつ概要はつぎのとおり。
▼第3回全国連合小学校長会常任理事会
勤務時間の管理については、1月25日に出された中央教育審議会答申「働き方改革における総合的な方策」において、2020年度初めまでに勤務時間を客観的に把握する仕組みの導入が予定されているが、東京都においても自治体格差が生じている。
また、運動会については、教育課程や猛暑対策、働き方改革の観点からその在り方が見直されている動きがある。ちなみに札幌市は、本年度、6割以上が午前開催で実施している。
全国学力・学習状況調査については、4割の学校が、事前に傾向と対策を取っている。子どもたちの資質・能力を測る調査において、その意義等が曲がり角に来ているかもしれない。
経済財政運営と改革の基本方針2019(原案)骨太の方針の第2章「Society5・0時代にふさわしい仕組みづくり」では、初等中等教育等の内容として、遠隔教育の活用を重視すること、ICT環境に自治体間格差がみられることが述べられている。
内閣府の出した骨太の方針の中に、ICTの自治体間格差が記述され、国も懸念していることが分かる。学校における働き方改革においては、1年単位の変形労働時間制の導入について述べられている。中教審答申「働き方改革における総合的な方策」の工程表においては、2021年4月から実施予定となっている。この点については最近話題になっていなかったが、ここに明記されたことで、国として法制化をきちんと進めていくことが分かる。
東京都の校長会からの参考資料では、週当たり在校時間が60時間以上の教諭の割合と都本庁平均、中央省庁平均との比較が出ている。小学校は37・4%、中学校は68・2%であるが、都本庁では1%程度、中央省庁では6・3%となっており、いかに教員の勤務時間が長いかを表しているデータである。月当たりの平均超過勤務時間の棒グラフをみると、小学校は60時間を超えているが、都本庁、民間、中央省庁でも多くても30時間に達していない。教員の長時間勤務の実態が客観的に理解できる資料である。
▼全連小の要望活動
8日に文部科学省、財務省、総務省に要望活動を行っていく。私も常任理事として、文科省に行く予定である。
「子どもと向き合う時間を確保するために、教員の定数改善や人的措置、諸条件の整備を講じられたい」との要望事項では、教員1人当たりの持ち授業時数の考え方の導入が要望の一つに挙げられている。その根拠データとして挙げられているのが、OECDと比較した教員1人当たりの児童数である。小学校で日本は17人、OECDは平均15人となっている。また、1学級は日本27人に対して、OECDは平均24人となっている。OECDのデータのほか、教員勤務実態調査の数値も根拠として活用している。
「教員の免許更新制について実質化を図られたい」との要望事項がある。先の柴山文科大臣の中教審への諮問内容に、教員免許更新の実質化という文言が挙げられていた。この実質化について、文科省の回答によると、「教員のニーズに合った研修」「都道府県教委の研修を免許更新の単位とする」との考えがあるようだ。ただし、教員免許更新制はなくならないとのことである。この項目での根拠データは、全連小・教員養成委員会の調査結果によるものである。
「大学での教員養成課程」に関する部分でも、全連小・教員養成委員会の調査結果を根拠としている。大学で身に付けてほしい能力として、コミュニケーション能力、社会人としてのマナーの割合が増えているのは、現場の感覚と一致する。
「施設・設備・教材等の整備・拡充」に関しては、根拠データとして、全連小・施設設備教材等委員会の調査結果を活用している。道小も協力して行う全国調査がエビデンスとして要望書に反映されていることをあらためて認識することができる。
本年度も、間もなく調査活動が実施される。道小では、研修部が中心に行う活動であるが、各地区の協力をよろしくお願いする。
▼OECD国際教員指導環境調査
日本の教員の現状と課題ということで、大きく3点が挙げられている。
1つ目は、学級において規律が整っており、良好な学習の雰囲気があること、2つ目に、教員の仕事時間は参加国中で最も長く、人材不足感も大きいこと、3つ目に主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善やICT活用の取組等が十分でないことである。特に、教員の開発ニーズでは、職能開発のニーズが高い教員が多く、参加の障壁として、仕事のスケジュールや家庭でやらなくてはならないことがある割合が高くなっている。
校長として、職能開発ができる時間を生み出せるように、業務をスクラップ&ビルドしていくことが重要であると考える。
▼京都大会の大会大綱
新しい研究主題となる令和2年度の全国大会は京都で開催される。
第12分科会「自立と共生」では、今まで、特別支援教育と環境教育が視点となっていた。京都大会では、特別支援教育と多様性を尊重する共生社会を実現するための教育活動に視点が設定されている。北海道に割り当てられた研究発表は、第2分科会「組織・運営」と第13分科会「社会との連携・協働」となっている。
(関係団体 2019-07-04付)
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