道小 校長退職者動向アンケート 再任用3割で増加傾向 定数外配置で新採用枠確保を(関係団体 2019-07-10付)
道小学校長会(大石幸志会長)は、令和元年度校長退職者の動向等に関するアンケート調査結果をまとめた。勤務の現状では「再任用で勤務中」が31%、「再就職で勤務中」が50%。ここ数年間で「再任用で勤務中」が増加傾向、「再就職で勤務中」が減少傾向にある。再任用の勤務内容は「教科専科やTT」が約6割と増加が続き、校長・教頭としての勤務は2・6%だった。再任用に関してはこれまでの経験を生かせるという声がある一方、新規採用枠を狭くすることへの懸念もあり、定数外(加配等)での再任用が望ましいとしている。
アンケートは、札幌市を除く道内の公立小学校のうち、ことし3月31日に退職した142人を対象に実施。83・1%に当たる118人から回答を得た。
▼退職前の就職の計画や希望
再就職を希望する割合は前年度と比べ11・9ポイント下降し41・9%。一方、再任用での希望が32・5%とやや増加した。役付再任用の希望は2・6%と減少している。
▼現在の状況
「再就職で勤務中」がやや減少し50・8%でここ数年下降傾向にある。一方、「再任用で勤務中」は31・4%でここ数年上昇傾向が続いている。
▼再任用・再就職を希望しない理由
「健康上の理由」「介護の必要な近親者がいる」などの回答がわずかに増加。「精神的・肉体的に疲労し、勤労意欲が湧かなかった」「再任用や就職しなくても、生活に窮することがないから」が減少傾向にある。
▼役付再任用制度希望
前年度から新設した項目で、希望しない割合は6・7ポイント上昇し88・9%。希望しない理由として「精神的に疲労が大きい」「住んでいる管内に制度がない」「後進に道を譲る」「フルタイムでの勤務は希望しない」「責任の重さ」などが多かった。
▼再任用の勤務内容
「教科専科やTT」との回答が約6割と最も多い。「校長・教頭」の回答が前年度のゼロから2・6%と増加。「学級担任」は前年度の22・2%から10・3%と減少に転じた。
▼再任用の勤務地
前年度までは「退職時の市町村以外(管内)」が増加傾向にあったが、本年度は「退職時の市町村」が24・1ポイント上昇し79・2%となった。
▼再就職の勤務内容
「教育委員会関係(アドバイザー・補導員など)」が47・8%と高い傾向が続いている。「社会教育関連施設(公民館・児童館など)」は5・8ポイント上昇し16・4%となった。
▼再就職の週当たり時間数
「30時間以内」が半数以上で、「37時間以上」「36時間以内」と続く。道小はフルタイムに近い形での勤務が多いと推察している。
▼再就職の1ヵ月当たりの給与
月額15万円から20万円の回答が全体の7割近くを占める。25万円以上の回答もあり、前年度と同様の傾向が続いている。
▼再任用・再就職に関する満足度
9割以上が「満足している」「普通」と概ね肯定的な回答となっている。特に、「満足している」との回答は12・8ポイント上昇し41・8%となった。
▼退職時の不安解消のために必要なこと(複数回答)
「再就職に関する情報提供」が39・4%、「年金支給までの健康保険の延長」が38・7%となり、いずれも前年度より減少したものの、高い傾向が続いている。また、「定年延長制度」を希望する割合が減少し12・0%となった。
▼考察
前年度より役付再任用制度が導入されたが、希望は全体の2・6%に過ぎなかった。
希望しない理由は「管内に制度がない」などの制度的な問題のほか、「精神的な疲労」「責任の重さ」など職責の重さや体力面や精神面の不安に言及する声も聞かれており、校長職に対する重圧を感じつつ日々の職務に当たっていることを反映しているものと考えることができる。
また、「後進に道を譲る」との声も多く聞かれ、学校数が減少する中、教頭の校長採用枠の確保を重視していることも伺える。さらに、「趣味やレジャーの満喫」「介護の必要」「生活の安定」など、退職後のライフステージを意識した回答も多かった。
勤務の現状については、再就職での勤務が約5割に達しているが、再任用での勤務も約3割に上昇している。「退職しても子どもと接することができる」など、これまでの経験を生かせるという声がある一方で、「現校長の学校経営上の支障とならないか」「定数内での再任用となると新規採用枠を狭くする」「学級をもてるのか。指導できるのか」などの声も上がっており、校長が現状の再任用制度の中では、管理職での経験を十分生かすことが難しいと感じている回答もみられる。
「新採用枠を圧迫することになる」ということから定数外(加配等)での再任用が望まれる。
再就職では、教育委員会関係と社会教育関連施設の仕事が合わせて6割を超えており、教育に携わっていたこれまでの経験を少なからず生かすことのできる職業に就く傾向は今後も続くことが想定される。
給与については、「年金受給までの生活収入を得ること」も再任用・再就職する理由となっているが、給与の支給額が満足するものではないとの声が多く上がっている。
引き続き、「役付再任用制度」「定年延長制度」などの動向、教職員定数における「基礎定数」と「加配定数」の配分など、今後の社会情勢と照らし合わせながら、調査結果の推移をみていく必要がある。
(関係団体 2019-07-10付)
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