4種校長会長インタビュー③ 北海道高等学校長協会 宮下聡氏 「何が最適か」考え経営 最善のリーダーシップ追究(関係団体 2019-07-12付)
北海道高等学校長協会・宮下聡会長
―会長としての抱負
本年度、新たに道高校長協会会長に就任した。押し寄せる教育課題に対して、迅速かつ的確に、その時々における最善のリーダーシップを発揮し対応できるよう、会員の校長先生方の協力や情報、英知をいただきながら、本道の高校生の輝く未来を創造するために誠心誠意、力を尽くす所存である。
今日、学校を取り巻く様々な改革が進む中、各校長には、学校経営から学校に求められる様々な教育の指導等に至るまでリーダーシップを発揮し、速やかな課題解決が求められている。しかし、この発揮すべきリーダーシップは決して一つの形ではなく、学校の主役である生徒や教職員を長く輝かせ、つぎの校長に趣旨を理解し、引き継いでもらえるリーダーシップであることが必要である。
教育課題や学校課題の解決に求められるスピードが速くなっているからこそ、これは大変重要。各校長には、自校において発揮すべきリーダーシップは「何が最適か」を常に考えながら学校経営に尽力いただきたい。私も会長として発揮すべきリーダーシップについて、その時々の状況に応じた最善のリーダーシップを追究したい。
昨年、佐賀県で開催された全国高校PTA連合会大会に参加した。幕末の中心的な役割を担った同県で「維新150年」として、グローバル化がますます進展する社会を力強く生き抜くための様々な教育施策に力を注いでいることが分かり、少なからず衝撃を受けた。
本道は「命名150年」、この150年の歴史の差を埋め、本道の子どもたちが、わが国のリーダーとして活躍するために、今後はより一層高い志をもって子どもたちを育てていく覚悟が学校にも教育行政にも必要である。
私の任期は前会長の残した1年で、私自身もそれが満了して退職であり、その役割はつぎの世代への橋渡しと考えている。つぎの方々がやりやすい環境を整えて、その役割と職責を適切につないでいきたい。
―課題と対策
1つ目は、後継者の発掘と養成。
近年、管理職、特に教頭候補の確保が大きな課題となっている。来年度は大量の校長退職を控え、教頭となる人材を確保し、教頭未配置校をつくらないことが必要。
行政職や他の学校種のように管理職での役付再任用を活用するほか、学校と行政が一体となって幅広い視点から現状を詳細に分析し、総合的に効果ある対応策を打ち出していく体制の整備が急務である。
一方、各学校において教職員の学校経営への参画意識を高めるなどミドルリーダーの育成を継続的に行うとともに、協会が主催する採用校長や昇任教頭を対象とした事前研修会や各支部単位の現職研修を充実するなど、資質・能力の一層の向上、管理職間のネットワーク構築を進めたい。
2つ目は、学校における働き方改革。
国が示した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」では、令和3年度を目途に1日の勤務時間を超えた時間の1ヵ月の合計が45時間を超えないようにすることが求められている。
本道でも平成30年から「北海道アクション・プラン」に基づき、様々な取組が行われてきた。5月末には第1回学校における働き方改革促進会議が開かれ、北海道アクション・プラン改定案、夏季休業期間から全道立学校において導入を予定している留守番電話や緊急連絡メールについて説明された。
教育の質を低下させずに学校における働き方改革を推進するためには、勤務管理にとどまらない対策が必要である。現状の取組を生徒や保護者、地域等の方々がどのように評価しているか、情報を収集し、プランの改定や新たなシステムの導入によって学校が混乱することのないよう、実効ある運用について道教委と協議を深めていきたい。
3つ目は、服務規律の保持の徹底と不祥事の防止。
本年度がスタートして3ヵ月が経ち、多くの学校で生徒、教職員が一丸となって地域に愛され、信頼される学校づくりに日々取り組んでいる。
そのような中、5月末に道立高校教職員による飲酒運転事故が発生した。服務規律の厳正な保持については、各学校で再三にわたり指導の徹底を図り、不祥事防止に取り組んでおり、特に、飲酒運転の根絶については全道民を挙げて取り組んでいる。
これまで積み上げてきた各校の努力を崩壊させる今回の事故は極めて遺憾なことであり、今後は、各学校において同様の事故の再発防止に努めることはもとより、服務規律の保持について、引き続き指導の徹底を図る。
―本年度の重点
1つ目は協会の活動方針について。
協会は昨年70周年事業を終え、ことしはつぎの節目に向けて動き出す最初の年となった。本年度活動方針の主題を「北海道の新たな時代を拓く高等学校教育の創造」、副題を「新高等学校学習指導要領が目指す教育を実現する」と修正した。
また、教育課題、経営課題、協会運営ごとに設定した重点目標については、急速な社会の変化や高校教育における喫緊の課題等を踏まえて一部見直した。引き続き、本部と支部・ブロックとの連携を図り、本協会の活動を充実しながら、重点目標の実現に努めたい。
2つ目は、文教施策要望について。
文教施策要望については、その時々の教育改革の動向や本道の高校教育にかかる課題などを考慮し、要望の具体化、焦点化、継続化の観点から要望書を作成し、道教委と意見交換し、要望が早期に実現するよう働きかけてきた。本年度は子どもたちの教育にかかわる事項に重点項目を絞り込むなど一層の焦点化を図る。
支部長研、理事研での協議、教頭・副校長会および事務長会との3者連絡協議会、道教委関係課との最終調整等を経て、要望書を取りまとめる予定。8月下旬に道教委関係各課と懇談会を予定している。
3つ目は、調査研究活動の充実について。
協会では教育改革の動向や喫緊の課題等に適切に対応していくため、学校経営力の向上を目指した研修の充実と調査研究の推進を協会運営の重点目標の一つとして掲げ、調査研究部を中心に活動を行ってきた。
本年度も5月中旬に第1回主査・委員長研究協議会を開催し、調査研究部の委員会・小委員会の研究主題・副題の設定経緯、調査研究の内容、今後の日程等について協議を深めた。
本年度のテーマは、教育課程委員会が「よりよく課題を発見し解決していくための資質・能力の育成(新規)」、管理運営委員会が「次代を担う管理職育成を目指して」、生徒指導委員会が「新たな時代を共に生きる生徒指導の在り方(新規)」、進路指導委員会が「地域の未来をつくるキャリア教育の在り方」、高大接続小委員会が「共通テストや高大接続に関する課題に対応した学校経営の在り方」となっている。
調査研究の成果を各校長が学校経営に役立て、本道の高校教育の充実・発展につなげてくれると信じている。
みやした・あきら
昭和58年筑波大卒。平成19年滝川高教頭、21年道教委学校安全・健康課主幹、22年健康・体育課主幹、23年苫小牧高専学生課長、25年釧路明輝高校長、27年札幌白陵高校長を経て、29年から札幌北高校長。
昭和34年11月22日生まれ、59歳。釧路市出身。
(関係団体 2019-07-12付)
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