4種校長会長インタビュー② 北海道中学校長会 新沼潔氏 授業改善、学校改善へ寄与 「オール北海道」の意識醸成(関係団体 2019-07-11付)
北海道中学校長会・新沼潔会長
―道中学校長会長としての抱負
昭和24年7月に北海道中学校長会という名称で活動を始めた本会も、創立70数年を迎えている。
会の創立以来、中学校長の職能向上を図り、北海道中学校教育の振興を図ることを目的として、それぞれの時代の課題に真摯に向き合い、たゆまぬ努力で歴史を刻んできた本会の会長を拝命することは、大変光栄なことであると同時に、その職責の重さを強く感じ、身の引きしまる思い。
副会長の校長先生方をはじめ、運営委員・理事・幹事の校長先生方、そして、全道20地区、571人の会員の皆さんの支援と協力をいただきながら、道中の歴史と伝統を引き継ぎ、諸課題に対し全力で取り組んでいきたい。
また、昨年は私たちが暮らすこの土地が「北海道」となり150年という節目の年だった。風雪や困難に立ち向かってきた先人たちに思いを馳せながら、ふるさと北海道への誇りや愛着をあらためて認識したところである。
9月27日と28日に開催される第61回道中学校長会研究大会空知・岩見沢大会では、AIの普及によって第2の産業革命ともいわれる今の激しく変化する社会にあって、直面する様々な課題に対応しさらなる前進をすべく、すべての会員で決意を固められる場としていきたい。
主管される空知校長会の校長先生方には多大な苦労をおかけするが、大会の成功を目指したい。
平成29年3月31日、新学習指導要領が告示された。社会に開かれた教育課程の実現を目指し、学習指導要領が、学校、家庭、地域で共有して活用できる学びの地図としての役割を果たせるようなカリキュラム・マネジメントの実現が求められている。
そのような中、本年度は新学習指導要領の移行期間に入っている。2年後の全面実施に向け準備を進め、特に対話的で深い学びの実現に向けた授業改善への研修を深めるとともに先行実施となる「特別の教科 道徳」などの扱いについて各校で論議や学習を深めている。
そのために各校長は常に学校改善に寄与できる校長でなくてはならない。
―課題と対策
本年度、道中の会員数は571人となり、少子化と人口減少社会の到来は今後ますます加速していく。
また、政令市への税源移譲に伴い、会則を①会員規定を各地区中学校長会の連合体とする②札幌市を1つのブロックとして独立させ6ブロック体制にする③平成30年度から会長は札幌市を除く5人の副会長による互選とする④4つの部に関しては各地区で担当し、原則3年間継続して担当する―と改正した。
これまで札幌市の校長が中心を担ってきた役員・事務局員が新体制となって2年目を迎え、現在は札幌・石狩・空知・胆振・後志で担う体制となっている。今後はさらに他地区の協力も得ながら運営していく方向で検討を進めていかなければならないと考える。そして、さらに「オール北海道」という意識を醸成していきたい。
地区校長会の多くは、小学校長会と中学校長会が一体となった校長会で運営されており、今後その形態は増えていくことが予想される。
また、小学校における教科担任制が検討される動きがあり、小中一貫校・義務教育学校開設の増加も予想される。
今後は小・中学校の垣根がさらに低くなっていくことからも、小・中学校が連携して取り組んでいく体制が求められる。現在は小・中役員による合同研修会を月に一度行っているが、今後はできるだけ小中連携を視野に入れた教育改革にかかる議論をしなければならない。
―本年度の重点
ことしのスローガンは「覚悟をもち、新たな道へ進む道中」とした。これまでも「激しく変化する時代」という言葉が多く使われてきたが、これから迎える社会は比べ物にならないほどの大きな変化が待ち受けている。
これからの子どもたちはAIを使いこなし、世界的な規模での競争力を身に付けるためにプログラミング的な考え方や主体的・対話的で深い学びが求められている。これらは、これから迎えるSociety5・0の社会では必須であるといわれている。
各学校には子どもたちが未来の社会を切り拓くための資質・能力を一層確実に育成することや子どもたちに求められる資質・能力とは何かを社会と共有し、連携する社会に開かれた教育課程を実現すること、教育課程に基づき組織的・計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくこと、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら、子どもの主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善が求められている。
あと2年で全面実施を迎える新学習指導要領。その円滑な、そして改訂の意図を正しく生かした取組を覚悟をもって進めることを道中として1つ目の重点として活動していく。そして、北海道中学校研究大会空知・岩見沢大会では4ヵ年継続研究主題「社会を生き抜く力を身に付け、未来を切り拓く日本人を育てる中学校教育」のまとめの年として実践研究の成果と課題を各地区から持ち寄り、熱心な討議が展開されることを大いに期待している。
2つ目の重点として学校の働き方改革の推進を上げた。これまで私たち教員は「子どもたちのため」という信念で、休みも時間も後回しにして働いてきた。
しかし、今、そのことが大きな問題として認識され、教員採用試験では非常に低い倍率となり、教育の質の維持に黄色信号がともる非常事態となっている。特に、中学校では部活動の問題がクローズアップされている。
道教委は「北海道アクション・プラン」を出し、改革に真剣に取り組んでいただいている。
今このときを逃せば、今後数十年の北海道の教育に大きな禍根を残すことになる。
道中は、すべての中学校で働き方改革に向けて覚悟をもって学校改革を進めていかなければならないと考え、重点とした。
新たな元号「令和」の時代となり北海道の中学校教育の振興のために、これまで各地区、各学校で積み重ねてきた実践とその成果を十分に踏まえ、保護者・地域社会の理解と協力を得、各関係機関・団体と協働し、「チーム北海道」の一員として粘り強く確実に歩みを進める決意である。引き続き会員各位・関係者各位の理解と支援をお願いしたい。
にいぬま・きよし
昭和59年道教育大函館分校卒。平成12年壮瞥町立壮瞥中教頭、15年伊達市立達南中教頭、18年伊達市立伊達中教頭、20年むかわ町立穂別中校長、23年壮瞥町立壮瞥中校長、27年より登別市立緑陽中校長。
昭和34年5月6日生まれ、60歳。室蘭市出身。
(関係団体 2019-07-11付)
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