生命を尊重する心の育成―札幌市教委 自殺予防へ研究深め 幌西小が5年授業を公開(関係団体 2019-10-28付)
今教諭は、ペアの活動や資料から傾聴の大切さを伝えた
札幌市教委は23日、市研究開発事業「自殺予防等、生命を尊重する心の育成」に関する実践研究の一環として、札幌市立幌西小学校(足立教校長)の授業を公開した。同校が5年生の学級活動の授業を公開。研究協議を実施するなど、自殺予防に関する教育の充実に向けて研究を深めた。
市教委は自殺未遂といった緊急事態への対応のほか、日常における自殺予防教育も重要と考え、平成27年度から北海道大学と共同で研究を実施。SOSの出し方教育をテーマとした授業づくりや研修を実施したほか、ゲートキーパーに関する教職員向け指導資料などを作成した。
事業は、自殺予防など、生命を尊重する心の育成に当たって、共同研究の成果を生かした教材の開発および指導方法の工夫などについて研究するもの。札幌市立西岡北中学校の須藤勝也校長を委員長とする実践研究会を設置している。今回、事業の一環として公開授業が行われた。
同校の今絵里加教諭が5年3組(児童数35人)の学級活動「日常の生活や学習への適応と自己の成長および健康安全」を公開。「温かい人間関係を築く教育」をテーマとしたほか、活動のねらいを「満足度の高い話の聞き方について考える活動を通して、傾聴が大切であるということを捉え、日常生活の中で実践していこうとする態度を養う」と設定した。
今教諭は、「好きな〇〇」についてペアで会話させたあと、話をきいてもらった満足度をマグネットに書かせ、黒板に貼った。
「(満足度が)100%の人が多い」「(満足度が)低い人もいる」「人によって感じることが違うのかな」など、満足度がそれぞれ違うことに問題意識をもたせた上で満足度が高い聞き方について問いかけた。
全体交流では「目線を合わせる」「相槌を打つ」「真剣に聞く」「否定しない」「笑顔」「姿勢をよくする」などの発表から、「真剣に」「否定しない」「相槌やうなずき」と満足度の高い聞き方のポイントを板書。ポイントが傾聴のポイントであることを説明したほか、聞き方について目標を立てさせた上で再度ペアで会話させた。
「頷いてくれてすごく話しやすかった」「共感してくれた」など聞き手の良かった点を交流するなど傾聴の良さを実感させた上で、自殺を考えている人のほか、震災や台風などの被災者の人たちの相談を受けるゲートキーパーを紹介した。
ゲートキーパーの大切な役割として傾聴があること、市教委の平成30年度いじめアンケートの結果から、いじめられた場合に誰にも相談しない割合が小学校高学年で10%近くいることを説明。傾聴と相談の大切さを理解させることで、日常生活で実践できるように取り組んだ。
授業後は研究協議。今教諭の授業について「名前が分からないようにマグネットを活用するなどの配慮がよかった」「傾聴について共感の部分を強調した方がよい」などの意見が寄せられていた。
(関係団体 2019-10-28付)
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