北数教が小樽で教育研究大会 主体的・対話的学びへ 新研究主題のもと初開催(関係団体 2019-10-31付)
小・中・高3校種が一堂に会して研鑚を積んだ
【小樽発】道算数数学教育会(=北数教、会長・相馬一彦道教育大学旭川校教授)は24日から3日間、小樽市内で第74回道算数数学教育研究大会後志・小樽大会を開いた。新たな研究主題「未来社会を切り拓く力を育む算数・数学教育の探究」のもと開催する初めての大会となり、小学校・中学校・高校の3部会で講習会や特設授業、分科会を実施。主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善など、算数数学教育のさらなる充実を図るべく研究を深めた。
校種別の研究主題は、小学校が「未来を拓く力をはぐくむ算数教育」、中学校が「“数学を学ぶことのよさ”を実感する生徒の育成」、高校が「社会に活きる数学教育の理論的・実践的研究」となっている。
初日、小樽桜陽高校で高校部会を開催。特設授業や道情報大学経営情報学部の椿達准教授による講習会、研究協議を実施した。
2日目に小樽市民会館で行った開会式では、相馬会長があいさつ。「主体的・対話的で深い学びに向けた発表と研究協議の成果が全道各地に広められることを願う」と述べた。
仲倉優大会運営委員長(小樽市立花園小学校長)は、「将来を見据えて算数数学教育をどのように変えるのかを論じ合うことが大切」と、大会の成功を期待。
続いて、後志教育局の櫻井康雄局長、小樽市教委の林秀樹教育長、日本数学教育学会の藤井斉亮会長が祝辞。櫻井局長は「大会の開催は大変意義深く、成果に期待を寄せる」、林教育長は「研究主題の具現化に向けて大いに議論を深めて」、藤井会長は「様々な知見を交流し、実り豊かな大会にして」と述べた。
来年度の第75回道算数数学教育研究大会札幌大会運営委員長を務める札幌市立青葉中学校の佐々木崇博校長も登壇。大会の概要を説明した。
このあと高校部会は市民会館で領域別分科会、小学校部会と中学校部会は花園小、市民会館でそれぞれ講習会を開催。小学校部会では、明星大学の細水保宏客員教授が「算数のよさや美しさ・考える楽しさを味わう授業」をテーマに示範授業と講演、中学校部会では、道教育大学札幌校の佐々祐之教授が「数学的活動をいかにデザインするか」と題して講演した。
また、小学校部会は花園小、中学校部会は小樽市立菁園中学校を会場に特設授業および授業分科会を実施。3日目は、引き続き両校で部会交流会や領域・課題別分科会を行った。
◆小樽市花園小3年1組 おもしろい計算を実感 細水客員教授が示範授業
第74回道算数数学教育研究大会小樽・後志大会の2日目、小樽市立花園小学校で開かれた小学校部会の講習会では、明星大学の細水保宏客員教授が示範授業を行った。3年1組の算数「おもしろい計算」を指導。答えが9の倍数になるなど規則のあるひき算を通して、児童が算数の楽しさを実感できる授業づくりについて提案した。
小学校部会の研究主題は「未来を拓く力をはぐくむ算数教育」、副主題は「主体的・対話的に学び、数学的な見方・考え方を高める問題解決学習の創造」。講習会で細水客員教授が示範授業と講演を実施した。
細水客員教授は花園小3年1組(児童数36人)の算数「おもしろい計算」を指導。
算数のよさや美しさ、考える楽しさを味わう授業づくりに向けて、本時の目標を「2位数の減法の計算の習熟を図るとともに、きまりを見つける力と発見する楽しさ、問題を広げていく楽しさを味わうことができる」と設定した。
はじめに、おもしろい計算の手順を、①2桁の数を選ぶ②10の位と1の位の数をたす③①から②をひく―と説明。子どもたちに好きな数字を挙げてもらい、全員で解き方を確認する中で本時の流れを明確にした。
数問取り組んだあと、細水客員教授は「何かおもしろいきまりはあるかな」と発問。個人で考えさせた上で、児童同士で相談しながら解決に向かうよう交流を促した。
児童は、「答えが9の段の九九になっている」「10の位の数字と1の位の数を足すと9」と発表。細水客員教授は「本当に」などと言葉を投げかけ、子どもたちから根拠を引き出すことで筋道を立てて考える楽しさを味わえるようにした。
補足として、10の位の数字に9をかけると答えが出ることを説明。異なる問題でも必ずそれらの考え方が当てはまる面白さに気付かせた。
授業後は細水客員教授が講演し、算数の良さや美しさに迫る授業づくりのポイントを紹介。子どもたちが考えたい、考えて良かったと感じる場のほか、学び合う空気や学級をつくる大切さなどを説いた。
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児童の意欲を引き出す授業を展開した
(関係団体 2019-10-31付)
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